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2016年10月25日06:42

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「ソフト・リバース・エンジニアリング」

 今日はガラッと変わって、久しぶりに「もの作り」のお話。最近の発表によると、アップルの「アイフォン7」にはいわゆる「オサイフ・ケータイ」が追加されると言います。例の「ガラケー」についていた機能ですが、今度の「iphone 7」には通常のタイプA、タイプBに加えて日本限定でフェリカ(JRのスイカ)をアップル・ペイに搭載。「スイカのiphoneへの登録」は「カードの裏に記載されている4ケタのカード番号と生年月日のみ」であり、実際に支払いに使う時は「スイカで支払います」と言って、アイフォンにスイッチを入れなくても「ホームボタンを指で触れながら端末機にかざす」だけという簡単さです。

 アップルの特徴は「顧客ニーズ」を尊重し、「店側のニーズ」を切り捨てたことです。つまり、yahooや楽天、アマゾンのように「購入履歴」を取って、業者に売らない。つまり「顧客の購入動向を業者側が利用して顧客に次の商品の購入を迫る」ことを回避したわけです。また、「店にカード番号を知らせない」ことによって、時々発生していた店側が勝手に「顧客の口座で架空売り上げをする犯罪も防ぐ」ことにしています。その上、アップルはiphoneを紛失しても位置情報で居場所を特定し遠隔地からロックをかけてカード情報を消してくれます。「還元率」や「ポイントのお得」に加えて、「守秘機能」を徹底しました。

 先に表示させていただいたタイプA、タイプBは世界標準のVisaやMasterカードなどのことで、

・iD=後払い式の電子マネー=ドコモや三井住友カード
・QP=クイックペイ=JCB、トヨタファイナンス

 のどちらかに入らねばならないことになって居るそうです。

 さてここからが本題。今から50年以上前に日本で白黒テレビを作ろうと言う時に、アメリカのRCAという会社の大きな(ちょうど今の日本の洗濯機ぐらいの大きさと重さがありました)テレビを買って工場で分解して、どのような構造と原理で電波を受信して絵と音を出しているのかの研究をしていたころを思い出しました。何分チューナーだけで2Lのペット・ボトルぐらいの大きさがあったのです。一番大きな問題はブラウン管で電子銃で映像信号を送り出しても、それをブラウン管の表面に激突させるには非常に高圧の電流を発生させなくてはならず、その高圧電流を発生させるフライバックトランスの性能が安定しなければ、火災が発生するという危険なものでした。そのためにブラウン管周りには大きなお釜のような保護カバーが付けられていて、そのほかにも数多くの真空管が所狭しと立ち並んだシャーシーを見て、途方に暮れたものでした。

 それを大勢で分担して「軽薄短小」化することを、「リバース・エンジニアリング」と言いました。その過程で、いろんな特許が抑えられているのを一つ一つ調べては、その特許を回避する工夫をして部品一つ一つを設計して、多くの試行錯誤を繰り返しながら製品化にたどり着く。これは「目に見えるもの」を見ながら検討するのですが、アップルは「ソフト」という目に見えない世界で、「ガラケー」の機能を「リバース・エンジニアリング」で実現したと思うのです。その時に、我々が苦心惨憺した「特許抜け」の問題は、今度の「JRのスイカの開発者=ソニー」は特許申請していたら請求できるのではないかと思います。RCAの特許料は当時売り上げの4%を超えていましたが、アップルの売り上げはテレビどころではありませんから、莫大な金額になるのじゃないかと思います。

 もう一つの懸念は、「スマホの普及」と「オサイフケータイの追加」によって、小売業者のレジがすっかり変わり、個人のポケットも大きな財布やいろんなカードを持ち歩かなくても済む時代。1円玉を何枚も持ち歩かなくても良い時代がもうそこまで来ているような気がします。当然、三菱UFJニコスや三井住友カード、JCBカード、クレイディセゾンなどのカード会社の再編も始まることになるでしょう。顧客の側も「家計簿」が自動化され、銀行残高もソフトで一元化され、支払いも今のような自動引き落としは禁じられ、一件一件「請求書」がスマホに表示され、顧客の承認ボタンを押すことで支払われる時代へと進むことになると思います。

 それにしても、アップルは貪欲にいろんな会社のハードやソフトに食いつきますね。「我々ももっとどん欲にならなければ」と思います。
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