掻き消せない焦燥感の圧にめりこむ
めりこんだまま幻想の糸を引き延ばす
中和されるより他の生き物が脈打って
淘汰されていく端数がほつれている
一層手に負えなくなる空間から逸脱
到達しない思念を送り出し引き戻し
一進一退が続くなんて思いこんでた
宙に浮く座薬を見えない菊門に捻じ込む
座標軸の中で見失い困惑する中で
またもや投与されるのは過剰な感情
勢いが尽きた後に訪れる虚脱感の姿態
覗きこまれている皮膚の奥の虚無の点
無数の点が撃ち込まれていくが虚しい
無自覚で無慈悲な痛覚を通過していく
倦怠まみれの献体としてはまだ幼虫並み
牽かない嗚咽の波を眼球が小刻みに宥めて
やがて共同で陥没されて脳に助けを求める
巻かれたターバンが解除されて蛇の姿に
くるくる器用に変化していくように脳の皺
空気でしぼんだり希望で膨らんだり
破裂しそうな情報量でもうお腹がいっぱい
破裂するときの合言葉をずっと忘れてる
順を追ってすべてを巻きとろうとすると
そのたびに損傷している記憶の部品を見る
救助されたがる元凶が消えかかっている
拾い上げるべき人形が逃げたがっている
昔の中の存在にもたれかかろうとしすぎて
今に戻ってきたときの自分の名前を忘れる
検証と妄想の海をずぶずぶ潜っていって
財宝と汚物をひたすら選りわけていたのに
どんどん合体して混じってしまっている
ぼくとおれが混ざり合ってなまめかしくて
ひどくみすぼらしく美しい生き物が泳ぐ
自分自身と出会えないのに誰かがいて
あなたは誰ですかと誰にでも言っている
認証試験はいつだってあやふやな部屋で
焦燥感と安心がせめぎあってうまれた
ゆっくりゆっくり整理されて混乱されて
どこへ行こう打ち上げられたのは浜辺
どこを見よう打ち上げられたのは花火
どこに居よう打ち上げられたのは絶望
ひとりよがりな孤独の螺旋は施錠しない
なのにいつも異常を知らせているようで
毛布の中で次の毛布にくるまれていた
電灯の下に畳の下に意識の下に芽生える
わたしの姿をどうにか浮かび上がらせて
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