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2015年11月30日18:32

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EXPO’70鉄鋼館の記録

(これはクラシック音楽鑑賞会:70年代前半の音楽の書き込みと同文です)

スペース・シアター
EXPO’70鉄鋼館の記録

武満徹  :クロッシング
高橋悠冶 :エゲン
クセナキス:ヒビキ・ハナ・マ

東京混声合唱団女声部
高橋悠冶(ピアノ、チェレスタ)
安倍圭子(ヴィブラホーン)他

小澤征爾・若杉弘(指揮)
日本フィルハーモニー交響楽団
(1969年11月、1970年1月録音)


1970年は僕が高専に入学した年だ。

国立高専の入試及び合格発表は公立高校のそれに比べて一か月程早かった。
高専の合格発表を受けた僕は、滑り止めにしていた公立高校の試験を受ける気もなかったので、その夜はゆっくり寝た。

翌朝、「いつも授業中に居眠りをしていた罪滅ぼしに、今日の授業はしっかりと目を開けて聞いてやろう」と勇んで教室に入ったら、先生に、「おい、gentokuはいつも通り、寝とったらええぞ!」と言われてがっくりした。

大阪万博(EXPO'70)が開催されたのは丁度その頃だった。

博物会場内で異形を放ったのは、日本鉄鋼連盟が出展した「鉄鋼館」だ。
巨大な球形の音楽空間「スペース・シアター」を中心としたパヴィリオンである。

同シアターは当時としては最新の電気音響システムが備えられた立体音響空間で、最高24チャンネルが同期するマルチ・トラックの録音・再生機、客席の天井・床下に設置された1000個を超えるスピーカー群、これを自動的に操作するスイッチング・システムなどからなっていた。

まるで、江戸川乱歩の「鏡地獄」の未来オーディオ・バージョンだが、そこで流された曲がこれである。

当時、日本の鉄鋼業は「産業の米」と言われ、高度成長の象徴で破竹の勢いだった。
莫大な設備投資と、優秀な頭脳が集まり、世界一となるのは時間の問題、と言われていた。

この鉄鋼館での壮大な音楽は、日本の明るい未来を示唆するに十分で、かつ若者に夢と希望を与えるに十分な威容を放っていた。

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