ウルトラマンＸ

現在放映中の「ウルトラマンＸ」は、「怪獣との共生」をテーマに掲げている。
だから、ウルトラマンＸは、必ずしも最終的に怪獣を殺さない（殺す時もあるけど）。
多くの怪獣は、ウルトラマンＸの光線技で、「スパーク・ドールズ」という人形標本みたいなものに変えられる。
しかし、この「スパーク・ドールズ」というのが曲者で、それはサイバーデータにも変換され、ウルトラマンＸがピンチの時は「サイバーアーマー」という兵器となって活躍したりもするのだ。

これって結局怪獣を人間の都合のいいように再利用しているだけじゃないか、と突っ込みを入れたくなるのが、人情というもの。
とはいえ、この問題に深入りすると袋小路に嵌まるのは必至なので、子供向けのエンタテインメントとして成立させるには、このくらいの匙加減がちょうどいいのかもしれない。

――で、こうしたウルトラマンＸの世界観を最も端的に表現しているのがエンディングテーマの「Unite〜君とつながるために〜」。
正直この歌詞にはちょっとびっくりした。

何のための力なの？
平和を乱す敵　追い払うため
でも何故襲ってくるの？
理解しないまま　ねえ　倒していいの？

こんなことを問いかけたテーマソングは、シリーズ初、いや特撮ソング史上初かも。
こういう本質的な問いかけがなされているから、

絆でひとつになる世界
心重ねれば　きっと遠くない

――というサビの歌詞が、ただの綺麗ごとに終わっていない。
他にも、

押さえつけることだけが全てだっていうのは　誰にだってできるんだ
罪を犯す痛みから目を逸らさない　それが強さ

……いやあ、何かすごくアツいというか、ロック魂を感じる（笑）
それでＹｏｕＴｕｂｅを検索していたら、まさに我が意を得たりといった感じの、この主題歌の動画を見つけたので、ぜひ紹介したいな、と。

冒頭が、いきなりウルトラマンエースの最終回で、エースが子供たちに最後のメッセージを語る名シーン。
そして曲が始まり、バックには歴代シリーズから曲のメッセージに沿った映像が流れるという構成。
曲終了後の隊長の台詞、エックスの台詞に、思わずグッとくる。

そう、「怪獣を倒すことが正義なのか？」という問いかけは、ウルトラシリーズ全体に通底するテーマでもある。
この動画は、そうした過去のシリーズを踏まえた上で、「ウルトラマンＸ」が今問いかけるものを、見事に浮き彫りにしている。
子供の頃からウルトラマンを観てきた者には、感涙もの。
大げさにいえば、ある意味ここで問われているのは、日本国憲法の平和主義の理念であるともいえるかもしれない。