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2015年05月28日21:21

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阿比留ちゃんに極言御免【長文】

正直言って、
ポツダム宣言などがいうような
「世界征服のための戦争だった」なんてホメ過ぎで、
日中戦争〜太平洋戦争当時の日本の中枢部の実情は
さらに情けなかった。

日支事変当初、
日本政府は「不拡大方針」を表明していたにもかかわらず、
中国大陸に展開していた軍部はそれを聞かず、
占領地を次々に拡大して「既成事実」を追認していった。

この時点ですでに政府の指示に違反しているのであるから、
筋から言えば軍事行動を即時停止して軍隊を撤兵し、
責任者を東京に召還して軍法会議にかけ、
罪を問い重罰を科すべきところであった。

それなのに、あろうことか時の政府はこれを追認し、
当時の知識人を招集して「大東亜共栄圏構想」
などというものを打ち出して、
「日本軍の軍事行動はアジア解放の聖戦である」
という正当化の論理をひねくり出した。

阿比留ちゃんに言わせれば、

>だが、戦前の日本は果たして「世界征服」など目指していたのだろうか。
>対英米戦は両国などの対日禁輸政策に追い詰められた日本が、
>窮余の策として選んだ道ではないか。

しかしそもそも何故そんな
窮余の策を講じなければならなくなったかといえば、
日本軍が中国大陸での軍事行動を止められなくて
英米の警戒心を刺激した上に、日独伊三国同盟など結んで、
さらに火に油を注いだからではないのだろうか。

そういう背景を詳しくは知らない欧米やソ連の連中が、
いくつかの状況証拠と、
同盟国ナチス・ドイツやファシスト・イタリアからの類推に基づいて
あたかも日本の軍事行動が
もともとそういう緻密に計算されたプログラムに
基づいていたと錯覚したとしても、
まぁ無理はないと思う。

ポツダム宣言の史観によれば、
「日本国民を欺瞞し
これをして世界征服の挙にいづるの過誤を
犯さしめたる者」という主体が想定されている。

しかし実際のところ、そういう主体は存在しなかった。

西洋人でもたとえばミシェル・フーコーとかだったら、
こんな没主体的な権力というものを理解しただろう。

しかし、あいにくGHQにはフーコーがいなかったので、
東条英機以下、戦争当時の日本政府・軍部の首脳部を
「そういう者」ということにして、
「A級戦犯」というレッテルを張って処刑した。

しかし、当時の実情を知る日本人は、
「なし崩し」とか「ズルズルベッタリ」という句をもって
日中戦争や太平洋戦争を形容した。

これは東京裁判史観とかポツダム史観というのとは、
似て非なるものである。

戦時中の日本政府に
軍という暴力装置を抑制して政府の国家意思を貫徹する
ガバナンス能力がゼロであったことを意味するという点では、
日本の首脳部が共同謀議して世界征服を企んだというより
さらにタチが悪い。

曲がりなりにも列強の一角を占め、
既に世界最大の大国となっていたアメリカと
4年にわたって渡り合ったあの日本帝国の内実が
こんなにも情けないものだったとは、
アメリカもソ連も思いもしなかっただろう。

そこへいくと、ポツダム史観や東京裁判史観のほうは
「世界征服」という無謀というか壮大というか
とにかくそういう構想(野望)を構築した主体がいて、
その指揮命令のもと、
一糸乱れずアジア太平洋の征服行動に邁進したという話になってしまう。

それが事実に反するのは認めるとしても、ハッキリ言って
実情よりよっぽどマシな「歴史認識」である。

何せ「世界征服」だぜ「世界征服」。

ユーラシア大陸の東の果ての小さな島国が
わずか数十年の間に
中国大陸の大半に東南アジア、南洋の島々を版図に収めて、
インド亜大陸やオーストラリアの北端までも衝いた。

これは見方によったら、
チンギス・ハーンやアレクサンドロス大王にも
比肩しうる覇業である。

そう考えたら何か燃えません?
(戦時中の日本人の多くも実際そう思っていたであろう)

一歩間違えば、小林よしのりの言うように
「グレイトなのである」(『戦争論』)という話にもなりかねない。

つまりポツダム史観・東京裁判史観は、
実は大東亜戦争肯定論と紙一重の関係にある。

阿比留はこう言う。

>国を個人に置き換えて考えてみたい。
>裁判を経てある判決を言い渡された場合、
>法治国家の一員である以上、当然、その刑に服さなければならない。

>だが同時に、外形的に刑を受け入れても、
>内心で裁判官の判断を不服に思うのも、
>自身は実は無罪だと考えるのもその人の自由であるはずだ。
>憲法19条「思想および良心の自由」を持ち出すまでもない。

>東京裁判を受け入れたからといって、
>その思想や歴史観、政治的背景、
>各国の都合や思惑を全部ひっくるめて
>引き受けることなどできようはずもない。

>それが可能だと考える人は、
>他者の内心に容易に手を突っ込み改変できると信じる
>危険な傾向を持つ人物だということにはならないか。

阿比留は「公人」の何たるかが分かっていない。

一介の無位無官の私人ならばいざしらず、
安倍首相は公人、それも一国の指導者である。

公人ならば、
東京裁判に限らず、国と国の間で合意した事柄については、
内心はどうあれ
少なくともポーズとしては、
あたかも「その思想や歴史観、政治的背景、
各国の都合や思惑を全部ひっくるめて引き受け」たかのごとく
振舞わなければいけないはずである。

「一応約束はしたけど、ワシ内心では合意してないからね」
などといって、
本人の気分次第でいつその合意を反古にするかわからないような者こそ
国家指導者として「危険な傾向を持つ者」である。

これがたとえば韓国の政治家相手だったら、
阿比留などの保守論客こそがそう言って叩くだろうに。


唐突なようだが、
おれはここで昭和天皇を思い出す。

昭和天皇は1970年代までは靖国神社に参拝しておられたが、
A級戦犯の合祀以降は
一度たりとも参拝されることがなかった。

実際、富田メモによれば昭和天皇は
「だから私あれ以来参拝していない。それが私の心だ」
などと仰っておられたらしい。

保守派の連中はあれについてあーだこーだと言っていたが、
とりあえずその発言の裏にある
昭和天皇の意中を推し量ってみたい。

日本は第二次世界大戦において、
ポツダム宣言を受諾することで終戦し、
東京裁判の結論を受け入れることで国際社会に復帰した。

政治と軍事の中枢にいた天皇が
戦争の顛末を全然ご存知無かったはずもないし、
ポツダム宣言や東京裁判の物語が
実態に反していることも百もご承知だったはずである。

けれども公人としての天皇は、それが如何に怪しげな代物でも、
外国と交わした「お約束」を無視することができない。

ところがA級戦犯その他の合祀は、
まさにその「お約束」をぶち壊しにする行為だった。

公人、なかんづく日本国の象徴たる自分が
国と国との約束を無視したら、
日本という国全体が
国際間の信義を無視する没義道な国というレッテルを貼られる。

日本国憲法にもある「国際間の信義」という奴は
とかく「リアリスト」保守たちの冷笑にさらされがちだが、
たとえ他の某DQN国が軒並みそれを踏みにじったとしても、
日本がそれに同調したとしたら、
日本もそれと同レベルに落ちぶれることになる。
そんなことはできようはずもない。

そのために天皇は、
靖国神社に参れなくなってしまったのである。

昭和天皇は、公人たる者
国と国との関係において受け入れたことについては、
内心の如何を問わず
「その思想や歴史観、政治的背景、各国の都合や思惑を
全部ひっくるめて引き受け」たかのごとく
振舞わなければいけないことをご存知であった。


だが、阿比留およびその同類の
保守の連中にはそれがわからない。

安倍ちゃんも同様であり、
だからこそ「ポツダム宣言」にもろくすっぽ目も通しておらず、
それを見透かした志位に突っ込まれ、
総理大臣の地位にありながら
公人としての意識や認識が皆無であることを
公の場所で自ら暴露するはめになったわけである。

何度も繰り返しになるが、
日中戦争〜太平洋戦争に至る過程は
一旦戦端を開いてしまったら(停戦はあっても)
スッキリと戦争を終結させることもできず、
「なし崩し」「ズルズルベッタリ」に拡大し続けた戦争であって、
ポツダム宣言にいう「世界征服の挙に出る」ような
ある意味カッコイイ、中二病ゴコロをくすぐるような話ではなかった。

日本で国防や安全保障を論じるのが難しいのも、
よく言われるような東京裁判史観だの何だののせいではなくて、
先の戦争が「なし崩し」だったからだとおれは思う。

なし崩しに武力衝突から戦争になり、
なし崩しに戦線が拡大し、
なし崩しに敵国が増えて、
なし崩しに戦況が悪化し、
結局、アメリカの軍事力でとことん叩き潰されるまで
戦争を終わるきっかけがつかめなかった。

実は「戦争終結のきっかけをつかめなかった」だけのことだったのだが、
戦時中の日本人はこれを「連戦連勝」だと錯覚した。
戦時中にその錯覚を指摘した者がいたら、
「非国民」のレッテルを貼り、よってたかって叩きつぶした。

敗戦して初めて、
日本人全員がその真相に気がついた。

このトラウマがあまりに深刻だったために、
多くの日本人にとって「戦争」に少しでも関係しそうな物事は
とりあえず全部忌避して、
またなし崩しに戦争が始まらないようにするしかなくなったのである。

共産党や社民党は、国民のそういう心情を代弁しているといえる。

それに対する保守派はといえば、

アメリカにはめられた。
ルーズベルトにはめられた。
コミンテルンにはめられた。
スターリンにはめられた。
国民党にはめられた。
蒋介石にはめられた。
中国共産党にはめられた。
毛沢東にはめられた。
だから日本は悪くない、

・・・・・・という話ばっかりである。

阿比留にならって国を個人に置き換えて考えてみたい。

ここまでいろんな奴に騙され続ける奴がいたら、
お気の毒ながら、
騙す奴が悪いにせよ、騙される方も禁治産者扱いは免れないだろう。

これで「日本は悪くない。日本人よ(戦前の歴史に)誇りを持て」
とか言うんだから・・・無茶だよなぁ。

なぜそんな風に言われて
戦前の日本の歴史に誇りを持てるようになるのかわからない。

イヤやっぱり戦前の日本は、
というか、少なくとも日本の指導部は
悪かったんじゃないの?

頭が。

「日本は東京裁判を受諾したのだから、
その歴史判断も受け入れなければならない」

と誰かが言うなら、おれならそんな判断を喜んで受け入れる。
というか、事実はさておき、
受け入れる「ふりをする」のにやぶさかではない。

なぜなら現実の十五年戦争は
もっと悲惨でもっと滑稽だったからである。

――――――――――
【阿比留瑠比の極言御免】2015.5.22 06:00更新

「世界征服のための戦争だった」 荒唐無稽な「共同謀議」史観


20日の党首討論を聞いて耳を疑った。共産党の志位和夫委員長が、日本に降伏を求めた1945年7月のポツダム宣言を引用し、安倍晋三首相にこう迫った場面でのことだ。

 「(宣言は)日本の戦争について、世界征服のための戦争だったと明瞭に判定している。宣言の認識を認めるのか認めないのか」

 確かにポツダム宣言第6項には、志位氏の指摘のように「日本国民を欺瞞(ぎまん)しこれをして世界征服の挙にいづるの過誤を犯さしめたる者の権力および勢力は永久に除去せられざるべからず」とある。とはいえ、志位氏はこの認識が絶対だと本当に思っているのか。

 志位氏は討論後、記者団にまるでポツダム宣言が民主主義の聖典であるかのようにこう称揚もした。

 「日本の戦後民主主義の原点中の原点がポツダム宣言だ」「ポツダム宣言は戦争認識の原点で、誰も否定できない」

 だが、戦前の日本は果たして「世界征服」など目指していたのだろうか。対英米戦は両国などの対日禁輸政策に追い詰められた日本が、窮余の策として選んだ道ではないか。


政府高官は討論終了後、周囲にこう苦笑していた。

 「どこの国の政治家ですか、という質問だった。日本が世界征服をたくらんだなんて、どれだけリアリティー(現実味)のない話なんだ。テレビを見ていた国民もそう思っただろう」

 ポツダム宣言は、戦いを有利に進めていた日本の戦争相手国が出したものであり、日本を「悪者」として位置付けるのは当然だといえる。また、昭和2年に田中義一首相(当時)が天皇に上奏したものとされ、日本の世界征服計画を記した「田中上奏文」が米英などの対日認識に大きく影響していた可能性もある。

 田中上奏文については、東京裁判でも取り上げられたが、日本側弁護団によって中国側が作った偽書であることが立証されている。

 東京裁判は、先の大戦は日本の軍国主義者たちの「共同謀議」に基づく侵略計画に沿って実行されたという見方を前提にして始まった。検察側は、それを裏付ける証拠として田中上奏文を持ち出したが、裁判途中で偽書と気づいて追及をやめたのである。


 志位氏が引用したポツダム宣言第6項は、この東京裁判でもインド代表のパール判事らから数々の反論がなされた荒唐無稽な「共同謀議」史観に貫かれている。どうして今さら、そんな珍妙な認識を日本が認めないといけないのか。

 ここで思い出すのは、これまで国会で繰り返されてきた「日本は東京裁判を受諾したのだから、その歴史判断も受け入れなければならない」という議論だ。

 国を個人に置き換えて考えてみたい。裁判を経てある判決を言い渡された場合、法治国家の一員である以上、当然、その刑に服さなければならない。

 だが同時に、外形的に刑を受け入れても、内心で裁判官の判断を不服に思うのも、自身は実は無罪だと考えるのもその人の自由であるはずだ。憲法19条「思想および良心の自由」を持ち出すまでもない。

 東京裁判を受け入れたからといって、その思想や歴史観、政治的背景、各国の都合や思惑を全部ひっくるめて引き受けることなどできようはずもない。

 それが可能だと考える人は、他者の内心に容易に手を突っ込み改変できると信じる危険な傾向を持つ人物だということにはならないか。(政治部編集委員)

.http://www.sankei.com/premium/news/150522/prm1505220009-n1.html
http://www.sankei.com/premium/news/150522/prm1505220009-n2.html
http://www.sankei.com/premium/news/150522/prm1505220009-n3.html
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