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2015年05月11日22:21

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カラヤンの一曲

(クラシック音楽鑑賞会に投稿したものですが、日記にも残しておきます)

僕はカラヤンの主要録音のCDはほぼ全て持っている。

僕のクラシック音楽の趣味はカラヤンと共にあったと言ってもいい。シンフォニーなり、オペラなり、聴いても良さがわからない場合は、とにかくカラヤンを聴いてみる。カラヤンは僕に音楽を理解する何らか指針を与えてくれた。

カラヤンがいなければ、僕はこれほどクラシック音楽に傾倒することは無かったに違いない。 

ベートーヴェンのシンフォニーなど、人工的で薄っぺらで深みがない、などと評されるが、僕はカラヤンの演奏は、繰り返し聴いて飽きのこない良い演奏だと思っている。

何故飽きがこないのか考えてみたら、今日の「旅立ちの書」さんの投稿にヒントがあった。カラヤンの音楽は一見ガツンと来るようで、実は当たりがソフトなのだ。また、せかせかしているようで、実に良く歌っている。その当たりの繊細な工夫が聴いていて心地よいのだと思う。

次に音楽の解釈の問題。カラヤンの演奏は曲の解釈と表現に関するビジョンが明確でわかりやすい。しかもそれを大勢の人が納得するような、最大公約数的な解釈に留めている。

楽譜をそのまま音にして何を表現したいのかわからない演奏や、逆に自己主張やアコーギクが強く、一回聴いたらしばらくは遠慮したい演奏とは一線を画する。

最後に、カラヤンの演奏(録音)には駄作が無い。オケはもちろんのこと、起用するソリストや歌手たちにも欠陥が少ない。録音も含めて極めて高品質だ。

例えば、モーツアルト「魔笛」録音での、夜の女王を歌うカーリン・オット。くせのない声で出しゃばらず、これほどきれいに歌う夜の女王を僕は他に知らない。

前置きはこれくらいにして、さて、何を選ぶか?
逆にいうと、何を選んでも好いのかもしれないが、当たり前の曲や、難しい曲や、長い曲は避けることにする。 ・・・ということで、今回選んだのは、これ!

ヘンデル 合奏協奏曲作品6(全集)
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮

 
ヘンデルは「音楽の母」と言われているが、「音楽の父」バッハに比べると、やや粗末な扱われ方をしているようだ。

吉田秀和さんの「LP名曲300選」を見ても、バッハについては、多くの記述と曲名を取り上げているが、ヘンデルについてはたった2曲、この曲と「メサイヤ」のみ。

しかし、最近読んだあらえびす著「楽聖物語」では、「戦闘の人ヘンデル」と題し、ヘンデルに多くのページを割いていて面白かった。 あらえびす氏は「お前の好きな作曲家は?」と聞かれると、躊躇なく「ヘンデルとシューベルト」と答えるそうだ。

カラヤン指揮によるヘンデルの合奏協奏曲を初めて聴いたのは、忘れもしない、例よって「らいらいけんさんの下宿」だった。

カートリッジはオルトフォンのSL15E?、アンプはラックスのSQ38FD、スピーカーはJBLのD130+075をらいらいけんさん自作のエンクロージャーに組んだものだったが、そこで聴いたヘンデルは絢爛豪華なもので鮮烈な印象を受けた。 「凄い、ヘンデルはカラヤンに限るね!」とらいらいけんさんと納得し合った。

その後、LPやCDで買った同演奏・同曲がどうもあの時のように鮮やかに鳴らない。あの時の感動が味わえないので、長い間やきもきしていた。

今回、久しぶりに田中式バックロードで聴いてみると、なんとかあの時に近い感動が味わえた。おそらく、今の音の方がグレード的にはあの時の音よりも高いと思うが、昔聴いた「鮮烈な印象」というのは忘れがたいというか?脳裏に深く刻まれるものなんだろう。


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