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2015年03月10日08:40

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Wandrers Nachtlied

Wandrers Nachtlied

Ūber allen Gipfeln
Ist Ruh,
In allen Wipfeln
Spũrewst du
Kaum einen Hauch;
Die Vögelein schweigen im Walde,
Warte nur, balde
Ruhest du auch.

旅人の夜の歌

峰々に
憩いあり
梢に
かよう風もなく
森に小鳥の声もやみぬ
待てしばし やがて
なれも憩わん

ゲーテのこの詩に接したのは、少年時代のことだった。同時に、これが中部ドイツのキッケルハーンという山の頂上で詠まれたことも知った。

しかしそのキッケルハーンがわずか900メートルに満たない高さであることを知ったのは、ずっと後のことである。詩の印象では、もっと高い山であると思っていたのだ。

しかしある日、この山に登ってみようと思い立った。旧東ドイツのチューリンゲンの森にある。
麓の小さな町イルメナウに泊まった私は、翌朝小雨の中を出発した。途中まではバスで行き、深い森の中へと入っていった。

幸いにそのうち雨は止んだが、登りに掛かると霧が濃くなってきた。頂上は、昼過ぎだというのに夕方のように暗かった。霧があたりを閉ざし、木々の梢に巻き付きながら流れていった。まるっきり色のない世界だった。

なるほど、これがゲーテの見た光景だったのだ!私はいつまでもそこを立ち去り難かった。
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