武蔵村山市さんぽ「三本榎史跡公園から東京陸軍航空学校跡」
○「原山の石仏(庚申塔と馬頭観音)」(中央2-87)
多摩モノレール上北台駅前からMMシャトルバスに乗り、原山バス停で下車します。南に向かい空堀川を超えると、丁字路に「原山の石仏」があります。原山の石仏は、現在、「庚申塔」と「馬頭観音」の2基並んで祀られていますが、元は庚申塔だけでした。
【庚申塔】
庚申塔は寛保元年（1741）の造立で、治病の仏として信仰されていたようで、特に腰から下の病に霊験あらたかと伝えられています。
【馬頭観音】
馬頭観音（市指定有形民俗文化財）は、馬の供養のため原山地区の講中により寛政5年（1793）に造立されたもので、以前はお伊勢の森の東辻に祀られていました。総高は180�僂△蝓∪橘名緝瑤飽賁牝鼇勝箆咫砲稜脇�観世音菩薩立像が浮き彫りされ、像容は宝冠には馬の頭で蓮華座も美しく描かれており、衣の裾が舞い上がる美しい姿で表現されています。
http://www.geocities.jp/yokanbay/musamura-harayamasekibutsu.html
○「お伊勢の森神明社」(中央2-125)
新青梅街道に面している「お伊勢の森神明社」は、江戸時代の横田・中村両村の総鎮守で、宝暦12年（1762）の創建と伝えられますが、延享4年（1747）の古文書にも記載があることから、創建年代はそれ以前と思われます。その後、文化8年（1811）に焼失したと伝えられ、文政6年（1823）に相模国大山の工匠明王太郎に託して再建されました。かつて境内には、樹齢300年と伝わる杉の大木が茂り、「お伊勢の森」や「お伊勢様」と呼ばれて尊崇されてきました。日本武尊が東征した際に、この地にとどまったとの伝説があります。江戸時代別当は修験道の大行院が務めていましたが、明治の神仏分離で大行院義範は還俗して小林美奈登と改め神職となり、彼の子孫は神職に就かなかったため現在では荒張氏に代わっています。毎年9月の祭礼には、市の無形民俗文化財に指定されている萩赤重松囃子が保存会の人々によって奉納されます。拝殿前に次の説明があります。
《主祭神名天照皇大神。当神明社は宝暦12年（1762、江戸時代中期）桃園天皇の御代、此の地を御聖地と定められ御創建なされた。御祭神の天照皇大神は八百萬の神々の大祖の尊き神様であられ、伊勢の神宮に御鎮座なされており、当神社は畏くも伊勢神宮の御分霊を御祭神として奉斎しております。因にこの地は神社を中心として広い範囲にわたり其の地名を中藤村字御伊勢地と称されて来た。また三千坪の境内には樹齢数百年を経たと伝えられる杉の巨木が昼なお暗くうっそうと御神域を包んで神々しく、氏子崇敬者より『お伊勢様』或は『お伊勢の森』の尊称をもって今日に伝えられ、格式貴き神社として近郷近在はもとより遠くからの参拝者も多く遠くからの参拝者も多く厚い信仰を集めている。》
○「引又街道」(学園1-9)
お伊勢の森神明社の前の道が「引又街道」です。新青梅街道を横切り西に入り三本榎に向かうと、すぐ右側に次の説明板があります。
《青梅方面から武蔵村山市を抜け、秋津（東村山市）、清戸（清瀬市）を経て新河岸川の引又河岸（志木市）へ通じる道を引又街道と呼んでいます。江戸時代、引又河岸は江戸への舟運の重要な中継拠点であり、この近辺の地域でも引又街道を利用して生活物資等の交易をしていました。引又河岸の船問屋の古文書には当時の村山の村々の人名や商品名などが記されています。》
○「三本榎」(学園1丁目・榎3丁目)
引又街道を西に向かうと榎の巨木「三本榎」が目に入ります。東から「奥住榎」・「加藤榎」・「乙幡榎」と呼ばれています。植えられた由来については樹齢とともにはっきりしていませんが、その昔、腕自慢の若武者三人が北に見える赤堀山から遠矢(弓)の競争をした際、落下した場所にそれぞれの姓を付けた榎を植えたとの伝説があります。三本榎の南側を通る道は引又街道（別名市街道）と呼ばれ、江戸時代に新河岸川の舟運の中継地として栄えた引又河岸（現在の志木市）と青梅方面を結ぶ物資の輸送路でした。その街道の脇に塚を作って植えられたのが三本榎です。
【奥住榎(学園配水所)】(学園1-5)
奥住榎は大正時代に植え替えられた二代目で、他の榎と比べると大分小さく、現在は水道局学園配水所の中にあります。
【加藤榎(三本榎公園)】(学園1-2)
加藤榎は衰弱著しく三度の保護手術を経て樹齢は200年でしたが、最近、枯れてしまい子孫に譲っています。加藤榎の根元にも天保11年(1840)造立の馬頭観音があったとされますが、こちらは昭和36年頃に失われてしまいました。
【乙幡榎(三本榎史跡公園)】(榎3-5)
乙幡榎は三本榎史跡公園の中にあります。三本の榎の中ではもっとも大きく今も樹勢が盛んで、高さ14ｍ、幹回が3.6ｍと樹勢を保っています。樹齢は推定200年。榎の根元にある寛政11年(1799)造立の庚申塔は、三本榎が引又街道を通って江戸市中と青梅を行き来する人々の足を休める場所であったということを示しています。
http://www.geocities.jp/yokanbay/musamura-sanbonenoki.html
http://www.digistats.net/image/2004_1/3.htm
○「江戸街道(原江戸道）」(中原〜大南)
三本榎から南に向かうと、榎3丁目で「江戸街道」(原江戸道）にぶつかります。江戸時代、江戸城築城に必要な石灰を青梅・成木村から運搬するための道（成木街道）が整備されて、江戸まで一直線に引かれました。この道は「原江戸道」（はらえどみち）と呼ばれ、茅の多く茂る水の乏しい荒地の道で、田無橋場・小川新田から箱根ヶ崎宿を経由せず直進して、箱根ヶ崎宿の中心部から約1.3km南方の原中で日光街道と十字に交差して（横田基地の中）、江戸街道公園(旧江戸街道)を通り新町・成木村(青梅市)へ向かっていました。
http://www.h6.dion.ne.jp/~arc-yama/sketch/machi/doc/ogawa.html
http://www.h6.dion.ne.jp/~arc-yama/sketch/machi/doc/kishimura.html
○「大南公園」(緑ヶ丘2542)
榎交差点から江戸街道を東に向かうと、緑ヶ丘に「大南公園」があります。夏には公園のプール、秋には美しく色づくいちょうで地域の住民に親しまれている公園です。またプールの近くには、冬に花をつける桜の木があり、寒い季節にけなげに咲く可憐な姿を見ることができます。
【菖蒲園】
近くの湖南衛生組合の敷地内には有名な菖蒲園があり、6月が見ごろの菖蒲をはじめ、春には梅・桜・つつじ、夏にはさつき・くちなし・はす・すいれん、秋にはさざんかと、四季折々の花を楽しむことができます。
http://1000enpark.com/park/tokyo/musashimurayama/oominami.html
○「東京陸軍航空学校（少年飛行兵学校）跡」(大南2〜3・5丁目)
現在の湖南衛生組合湖南処理場や大南公園のある辺りに、かつて「東京陸軍航空学校」(東航)がありました。昭和13年、熊谷にあった陸軍飛行学校に仮設されていた東京陸軍航空学校がこの地に移転します。この学校は陸軍の少年兵教育の基礎をなすもので、2年間の教育を受けた飛行兵は、熊谷や宇都宮などの上級学校に進みました。昭和18年軍組織の変更により、「東京少年飛行兵学校」と改称します。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%99%B8%E8%BB%8D%E8%88%AA%E7%A9%BA%E5%AD%A6%E6%A0%A1
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2013/05/post-e51b.html
【陸軍少年飛行兵揺籃之地の碑】(大南3-29)
大南公園から南に向かうと大南通りに突き当って、西に行くと東航通りとの丁字路があり、その先すぐに右へ折れた住宅地の片隅に「陸軍少年飛行兵揺籃之地」と掘られた碑が建っています。その碑はプロペラをかたどったレリーフが飾られ、平成2年に少飛会によって建てられたものです。かつて、この場所には飛行兵戦没者の慰霊碑が立てられていましたが、慰霊碑の方は市内禅昌寺(岸3丁目)に移転しました。揺籃之地の碑の「建立の趣旨」として、次のように掘られています。
《ここを中心に20万坪の地は東京陸軍少年飛行兵学校の跡である。陸軍少年飛行兵制度は昭和9年2月第一期生の所沢陸軍飛行学校入校にはじまる。次いで陸軍航空の拡充養成により昭和13年この地に東京陸軍航空学校が創立され第一期生が入校した。終戦までに第20期生、巣立った若鷲は46,000、支那事変に続く大東亜戦争において大陸のまた南海の大空に活躍したが、祖国の安泰と繁栄を念じて悠久の大儀に殉じた戦没者は4500余柱を数える。昭和38年ここに陸軍少年飛行兵戦没者の慰霊碑を建立し慰霊の誠を捧げてきたが、このたび永代の供養を念願して禅昌寺に遷座することとなった。若鷲揺籃のこの地に記念碑を建立しこれを永く後世に伝えるものである。》
また、説明板に次の説明があります。
《この「揺籃之地」石碑の建っている場所には、かつて東京陸軍少年飛行兵学校本部校舎がありました。東京陸軍少年飛行兵学校に入学するには小学校高等科卒業以上の学力を有する満14歳から17歳までの者とされていました。授業の科目は、午前中が国語・数学や兵器学など、午後は軍事教練等の術科と体操でした。また学校北側の練兵場では、グライダーによる滑空訓練も行われていました。これら一年間の課程が終了すると、適性検査の後、操縦・整備・通信の各分野に分れた2年間の上級学校に進み、その後全国の飛行隊に配属となりました。当時の様子をとどめる建物は現在残っていませんが、かつての少年飛行兵学校の跡地には「東航正門跡」石碑と「揺籃之地」石碑が建てられています。武蔵村山市教育委員会では、市内に大きな軍事施設が存在したことと、少年飛行兵学校を卒業した多くの人たちが戦死したことを後世に伝え世界恒久平和を祈るために、その記憶をとどめる二つの石碑が建立されている地を「東京陸軍少年飛行兵学校跡地」として市の文化財（旧跡）に指定しました。》
http://hamadayori.com/hass-col/army/RikugunShonenHikouhei.htm
【東航正面跡の石碑】(大南3-112)
さきほどの大南通りと東航通りの丁字路まで戻り、東航通りを南に行くと次の信号、立川市と武蔵村山市の境になる砂川町七丁目交差点に、「東京陸軍航空学校」（昭和18年東京陸軍少年飛行兵学校と改称）の正門跡地を示す「東航正面跡」の石碑が静かに立っています。ここから北の大南2〜3丁目一帯にはかつて兵学校があり、終戦によって廃校となるまで、満15歳から17歳までの若者たちが少年飛行兵としての教練をうけていました。なかには、特攻隊となって散っていったものもいました。現在は住宅地になってしまって、航空学校時代の面影は皆無で、そんな過去はごくごく人々の記憶からも消えかけています。
【少飛の塔(禅昌寺)】(岸3-37)
参考ですが、市内禅昌寺の本堂横に「少飛の塔」があり、説明板には次の説明があります。
《この地には、昭和13年より終戦に至る八年有余にわたり東京陸軍少年飛行兵学校がありました。祖国の急を救わんと、全国各地よりはせ参じた若冠14・5才の少年達が、ひたすらに大空へと志し、情熱を燃やして訓練に励んだ、元陸軍少年飛行兵揺らんのちです。昭和38年生存者有志により、戦没者のめい福を祈念して慰霊碑を建立しました。》
http://www.geocities.jp/yokanbay/musamura-zenshouji.html
http://sskkski5346.blog55.fc2.com/blog-category-2.html
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