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2009年08月18日00:33

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韓国版「ロミオとジュリエット」を観る

利賀フェスティバルに行ってきた。
富山県利賀村で毎年夏に開かれる世界演劇祭だ。
今回は野外劇場で上演された「ロミオとジュリエット」を観た。

利賀村は、とにかく山奥にある。
だいぶ前に行ったときは、未舗装の林道を通っていった。
今回はトンネルができていて、かなり便利になった。
それでも人里離れた田舎だ。
夜になって、まわりに明かりはない。
そんな静かなところにある野外劇場で演劇は始まった。

劇団「モクファ」という韓国の劇団だ。
主宰はオ・ソテクという人。
韓国では有名らしい。

物語は「ロミオとジュリエット」そのまま。
時代設定は李氏朝鮮時代の韓国だ。
ようするに「チャングムの誓い」のような世界で、シェークスピアのラブストーリーが繰り広げられる。
それも富山県の山奥の野外劇場で。
なんだか不思議な気分だ。

結婚式やお葬式や宴会のシーンも古式韓国風である。
だけど、ビニール傘とかポリバケツとかチャミスル(焼酎)とか現代の小道具が出てきて、セリフも現代韓国の言葉。
踊りや笑いも交えて楽しくお話しはすすんでいく。
野田秀樹の芝居を観ているような感じだ。

わたしは韓国語がちょっとわかる。
だから字幕以外の、アドリブっぽいギャグなども理解できた。
優越感を感じながら、韓国人の観客といっしょに声を上げて笑った。

これだけで劇が終わっていても、それなりにおもしろかった。
満足していただろう。

衝撃はラストにやってきた。
原作どおり、ロミオとジュリエットが勘違いで心中してしまった。
それをきっかけに対立する両家が殺し合いを始める。
「やめろ!おまえたちは隣人だ!親類同然だ。やめろ!」
悲痛な叫びのなか、登場人物は全員死んでしまう。

ここで観客は、というかわたしは気づく。
この演劇のテーマは北朝鮮と韓国だ。
戦争とそこに生きる人たちを描いていたのだ。

観劇中は軽いラブストーリーとして観ていた。
だけどラストシーンを観てから振り返ると、重い表現があちこちにちりばめられている。
こんな反戦演劇は日本の小劇場ではできない。
現代韓国ならではだ。

行きも帰りも、お盆の高速道路渋滞だった。
でも行ってよかった。
温泉も近くにあるし。
また利賀フェスティバルに行こうっと。

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