「卒暁慮考(そつぎょうりょこう。)。」―前編。―
後編→
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1962861063&owner_id=24167653
※ 金銭が絡まなければ使用自由。
大幅な改変等はツイッター @annawtbpollylaまで要許可申請。
自作発言は厳禁です。 ※
【想定時間。】
前後合わせて45分くらい?
【想定人数。】
男女→1:4
【登場人物。】
鎖鳥…最近になって自由を謳歌し始めた女性。読み方はさとり。
雪那…『小幸(さゆき。)』という苗字を持つ。就職に苦労した女性。読み方はせつな。
燦花…卒業旅行を一番楽しみにしていたかも知れない女性。読み方はさんか。
月夜…卒業旅行に楽しみと若干のもやもやを抱える女性。読み方はつくよ。
浦風…ある意味で一番馬鹿かも知れない男性。読み方はうらかぜ。
【設定。】
「二方美人。」
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1958862956&owner_id=24167653 のスピンオフであり、
その作品の中に登場するキャラクター達が卒業旅行に行くお話です。
なお、「二方美人。」の他に、同スピンオフ作品を知っていると、より話が分かりやすいかも知れません。
最低限、それらの作品を知っていなくとも
『鎖鳥と雪那と燦花』という仲良しグループと『月夜と燦花』という仲良しグループが別々に存在していて、また『月夜と浦風』は中学からの友達であるという事、そして燦花の事を残り4人が別々に助けようとした事がきっかけで燦花を中心に残り4人が知り合い、一緒に卒業旅行に行く事となった。
程度に思ってくださればそれである程度大丈夫です。
※「二方美人。」シリーズ及び関連作品のみをまとめたリンク。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1964303733&owner_id=24167653
(※1 この台本は、他の台本でも同様の事が言えるものの、特に笑い方に大きな意味がありますので、できる限り台本の文面に忠実に笑うよう、お願します。なお、『くくく』と『くっくっく』は別の笑い方として設定しています。)
(※2 『使う』は一般。『遣う』は心や人に対して用いる際、『使う』に『心を込めて』という意味が加わります。)
【本編。】
燦花「初めまして。浦風(うらかぜ)さん…ですよね。月夜(つくよ)さんのお友達とのことで、月夜さんからよくお話は聞いています。この前は課題…助けてくれようとしたみたいで、本当にありがとうございました。」
浦風「はじめまして。…話を聞くに、結局自身で何とかしたみたいですし、そんなにかしこまらず。」
燦花「…たしかにそうですけど…お気持ちがとても嬉しかったです。ありがとうございました。」
月夜「お前なあ、浦風。もっと愛想良くできないのか。」
浦風「…それに…。」
燦花「?」
浦風「…助けようとされるだけの準備を、自分でしてきたからですので。」
月夜「ん?」
浦風「何はともあれ、大変な事にならなくて良かったです。…こちらこそ、わざわざありがとうございます。」
燦花「…。」
鎖鳥「どうかした?」
燦花「…うん。ちょっと色々思い出して…考えごとしてるの。」
鎖鳥「そう。…私はちょっと酔って来たから寝てるね。」
燦花「え、あ、うん…。だいじょうぶ?」
鎖鳥「せっかく綺麗な景色だったけど…新幹線だからね。そりゃ酔うか。大丈夫かは…ちょっと分からない。」
燦花「効くかわからないけど、一応市販の酔い止めならあるから…飲む?」
鎖鳥「今は良い(いい)…ありがとう。」
月夜「それでだな。こいつと来たら優秀賞止まりで私が本気で落ち込んでいたというのに『そうか。それで落ち込めるのは凄いものだな。』などと…。」
雪那「あはは。」
月夜「ぬ?」
雪那「うん?」
月夜「燦花(さんか)。どうした?」
燦花「鎖鳥(さとり)さんが乗り物酔いしちゃったみたいで…どうしようかなって。」
浦風「今のところどうしてる。」
燦花「えっと、楽に座ってもらって…あと、目は閉じてもらってるけど…。もしあんまり気分が悪いままだったら後でやっぱりお薬飲んでもらおうかな…。」
浦風「乗り物酔いをした時は冷たいものを口に含むと良い(いい)と聞いた。」
雪那「冷たいもの…持ってますか?」
浦風「冷たく感じる飴なら。」
燦花「ありがとう…。あの」
月夜「相変わらず準備が良い(よい)な。」
浦風「二泊もする以上、必要になる物は色々あるだろうからな。」
月夜「そうかそうか。さてはお前、この卒業旅行を意外と楽しみにしていたな。」
浦風「そうだな。」
燦花「…鎖鳥さん。さっきの話聞こえてたよね。飴だよ。手を出して。」
鎖鳥「ありがとう。いただく…。…それで、どこまで聞けるかは分からないけど…さっきの、考えてた事って?」
燦花「…うーん…そうね。…例えば鎖鳥さんってよく『くっくっく。』って言うでしょ?」
鎖鳥「…そうだね。」
燦花「人によって何か強い思い入れのある言葉っていうのがあることがあって、そういうのは他の人からすると『この場面でその言葉を使うんだ。』って違和感があったりすることもあってね。」
鎖鳥「それはありそうだね…。」
燦花「だから反対に言うと、誰かの遣う(つかう)言葉に対して繰り返し同じ違和感を覚えたりしたら、それはその人にとって何か強い思い入れのある言葉なのかも知れなくて…。」
鎖鳥「…うん。」
燦花「…そうだ。私、新幹線の中で何か買うのって一度やってみたかったんだ。早く来ないかなあ。」
鎖鳥「そっか…。」
燦花「鎖鳥さん?鎖鳥さん?」
鎖鳥「…ん。」
燦花「もう着くよ。」
鎖鳥「ありがとう。…気分は大分楽になってる。」
燦花「ふふ。良かった。」
月夜「荷物の取り忘れは無いな…?」
雪那「うん、大丈夫。」
浦風「それより、降りた後一人で先に歩くなよ。」
月夜「失敬な奴め。」
鎖鳥「ホームがどれだけ混んでるかも分からないし、後ろの方に並ぶことになっても絶対に5人で固まって降りるよ。」
浦風「分かった。」
雪那「ここで食べて、食べ終わってから少し歩いて…チェックインにちょうど良い(いい)感じの時間で来られたね。」
鎖鳥「そういう時間配分にしたんだから当たり前でしょ。」
燦花「鎖鳥さんって本当にこういうところしっかりしてるよね…。私はいつも計画がいい加減で。」
雪那「私も…。」
鎖鳥「予定はちゃんとしておかないとでしょ。せっかくの旅行が、予め(あらかじめ)対処できる事にちゃんと備えてなかったせいで台無しになったら溜まったものじゃないよ。」
月夜「燦花はじゅうぶんしっかりしていると思うのだが…。」
鎖鳥「それは多分だけど、月夜がめちゃくちゃいい加減で、燦花と雪那(せつな)がそれなりにいい加減ってだけの事じゃないの。」
浦風「恐らくそれで正しい。」
鎖鳥「やっぱり。」
月夜「なんだと…。」
雪那「あ、月夜さんのハンバーグが来たよ。」
鎖鳥「冷めても悪いし、待たずに先食べてて。」
月夜「悪いな。では…んぇ…あ、いえ、大丈夫です。…いただきます。」
浦風「…ん。」
燦花「どうしたの?」
浦風「…いや。」
雪那「ここのエビフライ美味しいね。」
燦花「………うん。本当。美味しい。」(…は咀嚼と飲み込みの間。)
鎖鳥「君って食べるの早い方?」
浦風「いや。」
鎖鳥「…来るのが遅いからって、いざ来ても無理して早く食べようとしない事だよ。」
浦風「分かっている。」
鎖鳥「…あと、お水飲み過ぎじゃないの。」
浦風「…。」
鎖鳥「私のお味噌汁でも飲む?これまだ口を付けてないよ。」
浦風「問題ない。」
月夜「…。」(疲れ切ったようにふーふーと細く息を漏らす。)
浦風「どうした。」
月夜「浦風…。あのだな。これでも私にしてみればがんばったんだ。がんばった結果なんだ。これでも。そしてもう限界なんだ。」
浦風「…最初に気づいてやれなかったのは悪かったな。」
雪那「どうしたの?」
月夜「あ、ああ…雪那。実はこの…ハンバーグの上の半熟玉子がだな…。浦風は知っているだろうが…私は生や半熟のたまごは苦手なんだ。てっきり写真にあったものは飾りのニンジンだと思って…。」
浦風「それは残して、後でコンビニで何か買って食べ足すか?」
月夜「くくく…まったく。変わってしまったものだお前も…。中学の頃はもっと親切だったろう。…せっかくの食べられる物をできる限り残したくはない…。」
浦風「そんな事とっくに分かり切っていただろう。…それに。」
月夜「ん?どうした。」
浦風「…いや。親切にして欲しいのなら、して貰えるだけの準備を普段からしておけ。」
燦花「あ。」
月夜「またお前は妙な言い回しを。親切にしてもらう準備とは何だ。」
浦風「…人から好かれる努力を中心に、色々あるだろう。」
燦花「…。」
月夜「くくく…薄情な奴め…。その理屈では私がお前に好かれていないみたいではないか…。」
浦風「そうだな。お前の食べかけの食べ物を自分の口の中に入れることを気にしないような種類の好き方はしていないのは100%正しいことだ。」
月夜「…そ…。」
浦風「ん?」
月夜「そういわれて見ればそうだな…。普通に何の気兼ねもなく食べられても困る…。思っていた以上に私は弱っていたようだ。」
鎖鳥「先に言っておくけど、私も食べかけのものなんて食べるの嫌だからね。」
燦花「…どうしても残すの気にする?」
月夜「気にはする…気にはするが…不本意ながら玉子がかかっているところだけは残すしかないか…。」
雪那「もし時間さえ大丈夫なら他の注文し直す?まだ浦風さんのも来てないし…。」
月夜「良い(いい)…。やっぱり後でコンビニかどこかに寄らせてくれ…。おにぎりでも買って食べる…。」
雪那「でも…。」
鎖鳥「雪那。」
雪那「うん?」
鎖鳥「多分大丈夫。」
燦花「…ふぅう。」
月夜「ここが私達の部屋か…。なかなか良い(いい)感じだな。」
燦花「私ね、カードキー使うのなんて初めてだったんだ。」
鎖鳥「私もだよ。後で使わせてね。」
燦花「そうだったんだ。ええ、もちろん。」
鎖鳥「…ここが愛知県西尾市ね…。建物の中に居るとあまり実感湧かないけど。」
月夜「そう…ここは愛知県西尾市。地下鉄で3駅行けばあの記念碑のある公園に行ける場所!!」
燦花「明日見に行くの楽しみだね。」
鎖鳥「さっきまで疲れてそうだったのに、急に元気になって。私にはよく分からないけど、好きなんだね本当に。」
雪那「二人はすごいね…。私はもうつかれたよ。早く着替えて横になりたい…。」
月夜「…私は実はお腹が空いていて…そっちの方の限界が近いな。」
鎖鳥「結局足りなかったんだ。」
月夜「私は元々それなりに食べる…。さっきは早くホテルに入りたかったのもあって強がってしまった。」
鎖鳥「もし雪那だったら、あの貰ってたアジフライ定食の半分で普通に夜ごはんまで持っていただろうね。」
雪那「え、どうしたの…呼んだ…?」
鎖鳥「…本当にふらふらだね雪那は。早く寝室行きな?こっちで着替えるなら向こう向いてるから。」
雪那「ありがと…。」
燦花「…。」
月夜「どうかしたか?」
燦花「…あ、だいじょうぶ。ちょっと考えごとしてただけ。」
月夜「そうか…。」
燦花「私はしばらくゆっくりしていたいけど、月夜さんは何か買いに行く?」
月夜「そうだな…。お菓子なら持ってきているが、今はもっとちゃんとした物が食べたい…。一階に入っていたコンビニにでも行ってくる。」
鎖鳥「どうせ向こうもお腹空いてるだろうし一人で行くのも危ないかも知れないから、隣の部屋の浦風君と一緒に行きな。…あ。」
月夜「どうした。」
鎖鳥「浦風君。聞こえる?聞こえたら返事ー。」
…。
鎖鳥「…よし。これが聞こえないのなら多少はしゃいでも向こうに声は届かないな。壁は薄くなさそうだ。」
月夜「悪いな。もう少し部屋でくつろいでいたかっただろう。」
浦風「いや、どうせ部屋に居てもすることもないしな。…お湯で温めるだけのハンバーグか。先程の件もあるし、これでも食べるか?」
月夜「くくく…。今の私にはお湯で温める気力もない。…と、したら。どうする?」
浦風「なら誰か…燦花にでも代わりにやってもらえ。」
月夜「なぜ燦花なんだ。」
浦風「付き合いの長さから考えて一番頼みやすいだろう。」
月夜「なるほど、それは納得の答えだ…。くくく。しかし私はせっかくだから部屋の中ではなく、踊り場にあったソファで食べたいんだ。だからこのハンバーグ弁当にしよう。浦風、貴様はどうする。」
浦風「別に俺は…。…(溜息。)。そうだな。俺もそれにしようか。」
月夜「くくく…。」
月夜「ただいまー。悪かったな、遅くなって…。外のソファが心地良くてだな…。」
燦花「おかえりなさい。」
雪那「おかえり。」
鎖鳥「お帰り。」
月夜「結局全員寝室に集まったのだな。」
鎖鳥「燦花と二人で話していたら雪那が寂しがったから仕方なくね。」
月夜「それで、何の話をしていたんだ?」
鎖鳥「今してたのは、理想の恋人に何を求めるかって話かな。」
月夜「…そうか。うむ。なるほどな。」
燦花「私はよく分からないかな…。何かの拍子(ひょうし)に不意に『こういうのってこんなに嬉しいんだ。』って気づいたりするものな気がする。」
鎖鳥「それもそうかも知れないけどさ。」
雪那「私はあんまり無理とかしないで、つらい時に頼ってくれる人が良い(いい)かな…。」
鎖鳥「雪那は心配性でお節介焼きだからね。」
雪那「そうなのかな…。」
鎖鳥「知らないよそんなの。でも私は…私のために馬鹿みたいに無理してくれる人を小突きたいって気持ちがあるかな。…例えば、安い給料の中で何か奢ってくれようとするのに対して『そんな事しなくて良い(いい)から。』とか言って小馬鹿にした感じで笑ってみたい。」
燦花「ふふ。それ鎖鳥さんに似合いそう。」
雪那「鎖鳥さんそういうの好きだよね。」
鎖鳥「そういうのって?」
雪那「相手を…優しく小馬鹿にするの。」
燦花「たしかに。」
鎖鳥「かもね。あと…一生懸命考えて、考えすぎて迷走したんだろうなって感じの、絶妙にセンスのないプレゼントとか貰ってみたい。」
燦花「それもまた優しく小馬鹿にするんでしょ。」
鎖鳥「かもね。」
雪那「そういうのならね、私はお仕事から帰ってきた時とかに」
月夜「あ、そうだ!ちゃんとお布団が4つあるか確認をしよう!」
雪那「4つ…ちゃんとあったよ。」
月夜「そうか…それなら…そうだな!うれいも晴れたことだし、私は今のうちにお風呂にでも行こうかな。確認はしていないが普通この時間は開いているだろう。」
鎖鳥「そう。分かった。…一人で行きたい?」
月夜「そうだな!つかれたからな!」
鎖鳥「…ふぁ。」
燦花「…。」(寝息。)
鎖鳥「…旅行にまで来て早起き癖が抜けないとはね。…昨日は夜更かししたのに。」
雪那「…。」(寝息。)
鎖鳥「…。」
月夜「…。」(寝息。)
鎖鳥「…お風呂何時からだったっけ…。」
鎖鳥「…朝は5時からか。思ったよりかは早いけど…。あと20分…と、弱(じゃく)。ここで座って待つかな。」
鎖鳥「…。」
鎖鳥「コンビニ…いや、無駄遣いは…。」
鎖鳥「…。」
鎖鳥「…ねぇ、おく」
浦風「鎖鳥。」
鎖鳥「ん。」
浦風「早いな。」
鎖鳥「悲しい事に染み付いた早起き癖は簡単に抜けないんだ。…そのせいでお風呂がまだ開いていない。」
浦風「そうか。」
鎖鳥「そうか。ではなくてね。君は学業の方はどうか知らないけど生きていく知恵は普通に持っている類(たぐい)の人間だろう?…ならば分かるはずだ。私が今、暇であるという事を。」
浦風「…お前。」
鎖鳥「ん?」
浦風「まあ、俺も暇を潰した後、開き次第お風呂に入る予定だったからな。ここで喋りながら待つか。」
鎖鳥「特に君はそれ以外する事あまり無さそうだし、ね。」
浦風「そうだな。」
鎖鳥「男湯ってどんなのだったの。」
浦風「…電気風呂やサウナや、広い施設にはあって欲しいものは一通りあったな。」
鎖鳥「…ふぅん。」
浦風「眠いか。」
鎖鳥「くっくっく。よく気づいたね。昨日は話が盛り上がって割と遅くまで起きていた…。にも関らず今日はいつも通りの時間に目が覚めてしまった。眠いのは必然だと言える。」
浦風「…やっぱりお前。」
鎖鳥「ん。」
浦風「意外と馬鹿だろ。」
鎖鳥「君が失礼なのは意外でも何でもないな。」
浦風「…。」
鎖鳥「あ、早いね。お風呂出てたんだ。」
浦風「熱いからな。そう長くは入っていられない。」
鎖鳥「ふぅん。できるだけ長く居ようとかそういう事はしないんだね。」
浦風「そうだな。」
鎖鳥「そのアイス、好きなの?」
浦風「そうだな。」
鎖鳥「一個分けてくれるような展開は無いの。」
浦風「無いだろうな。」
鎖鳥「ふぅん。…暇だって言ってたからかな。そんな約束もしてないのにわざわざ前で待っててくれてありがとう。昨日新幹線の中で飴をくれた事と併せてお礼を言っておくよ。」
浦風「どうも。……もう食べ終わる。そしたら帰るか。」
鎖鳥「そうだね。部屋の前まで一緒に行こうか。」
鎖鳥「…階段使う?」
浦風「構わない。」
鎖鳥「じゃあ階段で。…ところで、念の為確認するけど、昨日うるさくなかった?隣。」
浦風「特に何も聞こえなかった。」
鎖鳥「なら良かった。」
浦風「…。」
鎖鳥「…。」
浦風「着いたな。」
鎖鳥「そうだね。」
浦風「…。」
鎖鳥「…くっくっく。今更重要な事実に気が付いた。」
浦風「どうした。」
鎖鳥「…私は他の3人の事を思って鍵を中に置いて出て来た。それは当然、私が帰る頃には誰か起きていて、呼べば中から開けてくれる事が前提となっている。…だがもし、このインターホンを押しても誰も出てくれなかったら?」
浦風「お前は廊下に締め出され暇が継続される。」
鎖鳥「…押すよ。」
鎖鳥「…やはりそう来たか。」
浦風「電話でもかけて起こすか?」
鎖鳥「私の良心が痛む。」
浦風「…またあの椅子の場所にでも行くか。」
鎖鳥「君は意外と良い(よい)奴だね。」
浦風「そうか。」
― 続く。 ―
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