このコミュニティは、農村開発調査手法としての RRA(Rapid Rural Appraisal)の普及とその向上を目的として設立されたものです。
Rapid Rural Appraisal は、農村開発調査を効率的に行うための調査手法のひとつです。農村開発調査に携わる専門家たちの間では、この Rapid Rural Appraisal のそれぞれの頭文字をとってRRA(口頭では「アール・アール・エー」)と呼ばれています。
より正確に定義するならば、RRAは、農村における人々の生活環境や資源分布状況について、専門の異なる調査グループのメンバーが互いに協力し、調査対象となる人々や状況の背後にある様々な要因を互いに関連づけて捉えながら、現場で繰り返されるインタビューを通じて、より正確な情報を効率的に把握するとともに、図表化のプロセスを通じて多角的に分析・理解するための調査方法です。
RRAが農村開発調査手法として国際的に知られるようになったのは1970年代後半です。特に注目されるのは、1978年と1979年に英国のサセックス大学でRRAに関するワークショップと会議がそれぞれ開催され、農村開発調査のひとつの方法論としてRRAに対する国際的認識が高まったことです。その後、世界各地でRRAが試みられ、調査実績の蓄積に伴い、様々な調査分析ツールが開発されていきました。そうしたRRAの現地での調査実績の蓄積を踏まえて、改めてその有効性について検討するためのワークショップが1985年にタイのコンケン大学で開催されました。このワークショップでは、各参加者によって世界各地で実践されているRRAの事例やその調査手法としての有効性についての発表がなされ、その後に刊行された同ワークショップの報告書を通じて、RRAは効率的な農村開発調査手法のひとつとして国際的に広く認められるようになりました。
現在でも、FAOなどの国連機関、ADBやWBなどの国際機関、JICAやJBICといった日本の援助機関、世界各地のNGOなどで、農村状況の把握のためにRRAが活用されています。
このコミュニティの管理人は、現在、タイのコンケンでフリーの開発コンサルタントとして農村調査、RRA研修、農業マーケティング調査などに従事している菅野という者です。ちなみに、Mixiでは「河童のkantarrow」と名乗っています。
このコミュニティの管理人は、コンケン大学でRRAについて学び、その後、『農村開発調査入門──Rapid Rural Appraisalの原理と手法』(1998年、IC Net)、『RRA実践マニュアル──Rapid Rural Appraisalの原理と手法(第1版)』(2003年、kantarrow)などの著作を通じて、RRAの普及に努めてきました。また、フリーの開発コンサルタントとして、これまで計14名の受講生に対して計3回のRRA研修をタイのコンケンで実施してきました。
このコミュニティ「RRA 普及・向上委員会」が、日本の開発業界・学界におけるRRAの理解を促進するとともに、農村開発に携わる日本人専門家にとって(RRAの有用性についての理解を踏まえたうえで)開発途上国の地域住民の生活向上のためにRRAを実践していくひとつの契機となることを期待しています。
また、RRAは、学術的調査に携わる大学院生や学部生にとっても有用な調査方法論です。たとえ、個人で実施される調査であったとしても、RRAの持つ有用性のある部分は効果的であると考えられます。
開発実務者、開発について学んでいる大学院生・学部生、社会学や人類学などの分野で農村調査に携わっておられる研究者など、様々な方々の参加を期待しています。
なお、このコミュニティの管理人による『RRA実践マニュアル──Rapid Rural Appraisalの原理と手法(第3版)』(2008年、kantarrow)および英語バージョンのRRAマニュアルがあるので、興味のある方は管理人までメッセージにてご連絡ください。
なお、このコミュニティへの参加にあたっては管理人による承認を必要とします。
また、トピック作成欄やイベント作成欄への記入の際に各自で責任を持ってもらうために、記入に際しては「実名表記」と「所属先明記」を原則としたいと思います。この点について、参加者のみなさんのご理解をお願いしたいと思います。
みなさん、よろしくお願い致します。