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好きな監督で洋画◆海外映画観るコミュの●欧州的見地…ベンダース/ジャームッシュ/アンゲロプロス/カウリスマキ他 …【現役監督系】

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【ヨーロッパ的見地】…

●ヴィム・ヴェンダース●ジム・ジャームッシュ●テオ・アンゲロプロス●エミール・クストリッツァ
●アキ・カウリスマキ●ラッセ・ハルストレム●ラース・フォン・トリアー●ジュゼッペ・トルナトーレ
●ミヒャエル・ハネケ●ケン・ローチ●マノエル・デ・オリヴェイラ●アレクサンドル・ソクーロフ etc.

■【各リンク等は近日設置予定です】
掲げた監督達は「何本も名作・話題作アリ」という点を優先し掲載した【一例】です。
これら以外の【トピック分類に沿った監督】に関しても〜どんどんお書きくださいませ。

Mixi減少の実情を踏まえ、監督別コミュで書き難い人もココではお気軽にどうぞ。
(節度や冷静さ・客観性等は希望します。荒れた場合は当方で判断。)
基本ネタバレ無しで。あらすじ程度はOKです。別途ネタバレ・コーナー近日予定

コメント(51)

ボクは「ユリシーズの瞳」だけ映画館で観た記憶があります。確かオープニングのヨットのシーンや夜の街並みを長回しで撮っていたシーンがあったような気が・・・・。
アンゲロプロス作品は時間が長い作品が多いので、ビデオやDVDでは結構キツイとボク的には思います(話もマジメな話が多いし)。それにシーンがスゴイ監督なので映画館の大画面の方が観るのに向いているとボク的には思います。
アンゲロプロスは金・時間・体力に余裕のある時に観る映画だとボクは考えています。
それでは失礼致します。
すいませんひとつもキツくなかったアンゲロプロスマニアの私が通ります。。。。
紀伊国屋のDVD-boxを全部揃えてあって、機会があれば見直しています。
フランス映画社で配給された映画は全部スクリーンで見ています。
前期の彼の代表作は、ひとつの事件に、ギリシァの現代史と思想史を見事に重ねて見せた「アレクサンダー大王」だと思います。
「霧の中の風景」あたりから象徴的な表現が多くなってゆきますが、中期の代表作としてその象徴的表現が美的に最高度に達した映画として「永遠と一日」を挙げます。バスの中の弦楽四重奏団の演奏は美しかったですね。これと一本のフィルムを巡ってバルカン半島の戦場をよぎってゆく「ユリシーズの瞳」は、「絶望の果ての希望」という主題をめぐって、ひとつの対をなしているという気がします。
そうでした。「ユリシーズの瞳」は旧ユーゴスラビアの内戦をやってる時に撮影に行ってるんですよね。それにも興味を持って観にいった映画でした。そういう政治的なセンスもボクはいいと思います。アンゲロプロス。霧かなにかがすごくてユーゴの街がかすでいるなんていうシーンもあったような気が・・・。
それでは失礼致します。
【テオ・アンゲロプロス】

ギリシャの監督テオ・アンゲロプロスは、ヴェンダースらが高く評価している芸術志向高い名監督。

一方でギリシャは、立地条件も大きいのですが…古代ギリシャ〜近代に至るまで争い絶えない地。
そんな苦境の地に於いての創作活動という事もあり、様々な戦争の傷跡または最中が刻まれる事も多く、作品の中には背景が判らないと掴みづらいものも正直いくつかあります。

率直には、多分ヨーロッパのギリシャなのでそれほど知名度は高くないと思いますが、
それゆえ逆にマニアも多く存在し、一方で、イラン/イラク問題と並ぶ程のパレスチナ問題の近年の情勢もあり…そうした地から発信し続けられる映画としての観点で注目している人も居ると思われます。

特徴としては、確かに今の英米映画とはテンポも傾向も全く異なるので、上記背景もあり、
「敷居は…やや高い」かも知れません。そして、映画が基本…長い。3時間はザラです。
これは彼の特徴である「長廻し」ワンシーン・ワンカットや、「基本…曇り空で撮影」なども印象として長さを感じさせる特徴に加味されているでしょう。これは好みの問題もあり、それが好きな人/遅く感じる人、両方居ますので優劣は言えない問題でしょう。とにかく現在では独創的。

作風の影響面では、作家性や自分と国の置かれている状況もあり〜間違いなく念頭に置いているであろう存在はロシアのタルコフスキー。そして更にそのルーツ格のスエーデンのベルイマン。表現としてフェリーニも当然感じます。

彼の頭の中、を少し垣間見れたエピソードをひとつ。
「ユリシーズの瞳」は、主人公が芸術監督役なのですが、詳細伏せますがパレスチナ半島を巡る話の中で、少年時代の友人に数十年ぶりに再会し酒を交わしてる時の会話に確か…
「ムルナウ、万歳!」〜なんて言葉が出てきてビックリ!ふつうじゃそんなセリフ出ない!(笑
サイレント期の名監督の名前なんですが、今もアンゲロプロスの頭の中はルーツ映画で一杯かも。


私が挙げた「霧の中の風景」と「永遠と一日」は、自分がアンゲロプロス作品中で好きなのはもちろんですが〜同時に、「ギリシャの背景や監督をよく知らない」人達にも問題無く〜彼の作品中で入り易いもの、という側面も兼ねてオススメさせて頂きました。
これらは戦争の映画ではありません。私個人は、寓話的ファンタジーとして受け止めました。
これら2作気に入られたら、皆さん挙げて無い物では「シテール島への船出」辺りもいいかも。

一般に、海外で代表作として挙げられるのは70年代中期の「旅芸人の記録」ですが、私はそれはアンゲロプロス作品幾つも経験されたうえで、がいいと個人的には思います。
せっかくアンケートに挙げたんで、クシシュトフ・キェシロフスキ
(このトピでいいのかな?)

初めて観た作品が『殺人に関する短いフィルム』だったんですけど、あくまで客観的というか、
淡々と感情を排除して作成された様な印象を受けました。
たしか、セピア色のフィルタをかけて撮影したとかで、その効果もあるかと思いますが、
悲痛な状況が映し出されても観る側は一定の距離を保ったまま、その状況を目で追うという感じ。

この作品と、次に公開された『愛に関する短いフィルム』は、元々『デカローグ』という
十戒の言葉をテーマに全10話で構成されたTVシリーズからの再編集です。
あのキューブリックも「ひとつだけ重要な映画を挙げるとすれば、「デカローグ」だ」と
絶賛した作品。
私自身は諸事情により残念ながら未だ『殺人..』と『愛..』しか観れてませんが、
是非いつの日か観たいと思っている作品です。
アンゲロプロスが選んだ好きな映画top10

1.市民ケーン /オーソン・ウェルズ
2.イワン雷帝 /セルゲイ・エイゼンシュテイン
3.奇跡    /カール・テホ・ドライヤー
4.81/2 /フェデリコ・フェリーニ
5.ノスフェラトゥ /F.W.ムルナウ
6.情事    /ミケランジェロ・アントニオーニ
7.黄金狂時代 /チャップリン
8.雨月物語  /溝口健二
9.スリ    /ロベール・ブレッソン
10.ペルソナ /イングマール・ベルイマン

とのことなので、自身が長回しタイプの監督なだけあって
やはり長回しタイプの監督(ムルナウ、ウェルズ、アントオニーニ、溝口、
後期ドライヤー)が多いですね。
 
でもカットの短い編集タイプのブレッソンとエイゼンシュテインが入っているのは
意外でした。
いや、この結果は私にとっても驚きでした。納得したのは

3、奇跡
4,81/2
6、情事
8、雨月物語
9、スリ

だけでした。
ウェルズならば「市民ケーン」よりも「上海から来た女」か「黒い罠」だろうと思うし、ベルイマンは、一見似ているようで、実は正反対(アンゲロプロスが「絶望の果ての希望」を描いているとしたらベルイマンは「絶望の果ての絶望」を描いているので)だと思うし、なによりタルコフスキーが1本も入っていないのに驚いた!
ブレッソンは、カットの短さよりも対象を突き放して見るその距離のとり方が納得。(でも「スリ」かなぁ?「たぶん悪魔が」か「ラルジャン」じゃないのかなぁ。。。。。)
エイゼンシュテインが「戦艦ボチョムキン」ではなく「イワン雷帝」なら納得。なぜならエイゼンシュテインも後期になるほどカット割りが長くなっているので。
しかし、ちょっとアンゲロプロス映画の見方を変えねばという感じのベスト10ですね。
>tinさん

エイゼンシュテインは1ショット内でのモンタージュをやるようになって、
編集の必要がなくなり1ショットが長くなりましたね。

あと、たしかに市民ケーンより黒い罠のほうが好きそうww

ほかの監督が選んだtop10も載ってるサイトのリンクです。↓
http://www.bfi.org.uk/sightandsound/topten/poll/list.php?list=voters&votertype=director

意外なのは、ベルトルッチがデビッドリンチのブルーベルベットを選んでることです。
リンチとかシネフィル受け最悪のイメージしかなかったので。
面白いなあ。へえ。

アンゲロプロスは溝口1位じゃないんだ!!

しかも、『雨月物語』なのか!!
やっと安住の地を見つけた。

アンゲロプロスの作品の出来不出来はもはや良く分からない。

全部驚愕するしかないのだから、単なる好みで、作品を選ぶなら、「こうのとり、たちずさんで」がかなり好きです。

あれ?
最初の方に盛り上がって、その後、コメント無しですね。

ジェームズ・アイヴォリー監督について、誰か何か書いてるかな? と思ってここに来たけれど、書いてないですね。




さっき、何気にラカンターズを聴いていて思い出した。
たしか、この曲のビデオってジム・ジャームッシュが
撮ってるんですよね。

The Raconteurs / Steady, As She Goes
(最初の15秒くらいは無音です。聞こえないと思って
 ボリューム上げすぎないでね)


ちなみに歌っている人(帽子被ってない方)は
『コーヒー&シガレッツ』に出演しています。
このThe Raconteurs / Steady, As She Goes PV。「リミッツオブコントロール」の監督ジャームッシュ、撮影クリストファー・ドイルコンビじゃなかったかなと思います。ボクは「リミッツオブコントロール」を観た時、「リミッツオブコントロール」よりもこのPVの方が面白いと思いました。ワザと映像を粗くした撮り方がムチャクチャカッコ良く、「IPOD」に動画入れてます。このPVで観るとこの曲とてもいいんだけど、別のPV(http://www.youtube.com/watch?v=9ZYQr3Ivg6w&feature=related)はPVがダサダサで曲までダサダサに聴こえるんです。PVって重要だなと思いました。
それでは失礼致します。
PS ボクはホワイトストライプス(バンド名)大好きです。
【ベルリン・天使の詩】(コメント2つめ)

気付ける視点次第で世界は変わる。
本作はベンダースの力量は勿論だけど…脚本協力の詩人の力で前作『パリ・テキサス』より更に芳醇さを増したと思える(個人的にはネ)。

モノローグの断片の数々が感性を全方位に刺激する。
それは本筋と同レベルくらいに〜観客の「感じる力」に委ねられた余韻でもあり濃厚さにもなる。
ベルリンの壁崩壊前の当時のドイツの様々な日常を〜天使の視点で俯瞰してみよう。

『刑事コロンボ』のピーター・フォークが本人役で味わいを添えている。
続編は無かった事にしてほしい(笑)
こんにちは。このトピでは初めまして‥‥かもしれません。

副業で映画ライターをしているマムです。

『ソハの地下水道』の試写評を日記にアップしました。今のところ今年のベストワンです!

素晴らしい感動を与えてくれます。人生の145分をこの映画と過ごしてくださいませぇ〜(^^)

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1853947451&owner_id=29763423
こんにちは。試写評を書きました。


ポーランドの巨匠、アンジェイ・ワイダ監督の新作、『菖蒲』は美しい川面に咲いた美青年との遅すぎる恋、早すぎる死、叙情性溢れる傑作!見逃さないで!

日記をご一読頂けると嬉しいです(^^)


http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=29763423&id=1868379073
こんにちは。

デンマーク映画『光のほうへ』は、なんという透明な哀しみを綴った傑作でしょう?!兄弟愛を描いた作品なので、亡姉を想い出して泣きじゃくりました(T_T)

長文なので、日記をご一読頂けると幸いです。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1872189281&owner_id=29763423
こんにちは。

映画日記を書きました。ご一読頂けると嬉しいです(^^)

『砂漠でサーモン・フィッシング』は、スタッフ、キャスト(ユアン・マクレガー、エミリー・ブラント、クリスティン・スコット・トーマス)とも一流なのに、今の日本では共感し難い映画【辛口:注意!】 -

マム の日記 http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=29763423&id=1884616861
こんにちは。試写室情報を書きました。

イタリア映画は、こちらではなかったら、ご指摘下さいませ。移動します。

イタリアの巨匠タビアーニ兄弟監督作、『塀の中のジュリアス・シーザー』は、ホンモノの囚人たちが刑務所で演じる今まで観たことのない独創的な傑作!

見逃さないで下さい! - マム の日記

http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=29763423&id=1884874151
こんにちは。

ロシア系が見つからなかったので、こちらに書き込んでみますね。

マムの【埋もれた名作劇場】です。

『くるみ割り人形』は、品格とリリシズム溢れるファンタジー☆

コンチャロフスキーらしい作家性が感じられました顔(笑)カチンコ

少なくとも、投資の対象映画にはなっていなかった。

それに引き換え『白雪姫と鏡の女王』は…(>_<

長文なので、日記をお読み頂けると嬉しいですぴかぴか(新しい)

http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=29763423&id=1912592952&from=home_feed
>>[32]
 Coffee&Cigarettes 面白いですよね。
 特に自分はイギー・ポップとトム・ウェイツのエピソードが好きで
 今でもこのシーンを頭に浮かべると思い出し笑いできますわーい(嬉しい顔)
こんにちは。

『ハンナ・アーレント』は、個人的には今年暫定ベストワン?(・・・か2位?(^^;;)と思えるほどの傑作でした!

114分が、これほど短く感じた映画は、人生始まって以来です!岩波ホールで上映中カチンコ

ナチス戦犯を、”凡庸”と称したことから、バッシングを受ける哲学者を渾身の演技と演出で描き切った力作。

難解な映画ではありません 。人生の114分をこの映画に割いても、無駄ではないでしょう 。

長文なので、宜しければ日記をご一読頂けると嬉しいです。


http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=29763423&id=1915148780&from=home_feed
こんにちは。

イタリアの監督は、こちらで宜しいのでしょうか?あせあせ

試写評日記を書きました(もう公開されてますが(^^;)映画

『鑑定士と顔のない依頼人』は、『ニューシネ〜』のトルナトーレ監督・脚本による精緻に伏線と演出が見逃せない!わーい(嬉しい顔)指でOK

古色豊かで豪華なアート、オスカー俳優陣の豊かな表現、謎の美女など見どころ多し☆ウインク

今年の暫定3位?カチンコとにかくお薦めでーす!長文なので、宜しければ日記をご一読頂けると嬉しいです。

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1917820704&owner_id=29763423
『僕を探しに』試写なぅ〜♪

『ベルヴィル・ランデブー』『イリュージョニスト』のシルヴァン・ショメ監督初の実写なので大期待!*\(^o^)/*

プルーストの『失われた時を求めて』をエッセンスにしてるそうだから、きっと美味なマドレーヌが出てくるでしょう(^^)

詳細は試写評に書きますね(^_-)
『エレナの惑い』試写うァず〜☆

ロシア・レンフィルム系の大傑作『父、帰る』以来、ズビャギンツェフ監督10年ぶりの新作を、待ちかねたかのように試写室は補助椅子まで満席。

素晴らしかった!雄弁な沈黙、静謐な映像にも関わらず生活臭は、鼻腔にも届く!(゚o゚;;

今年のベスト5位には入る傑作☆詳しい試写評は後日に(^_-)
こんにちは。試写室情報です。
『エレナの惑い』★★★★★
今年暫定2位(12月だからほぼ決定?(^^;)の傑作をご紹介したい。久々に良作を観る喜び、幸せなカタルシスに包まれた作品である。この喜びを皆さんと共有することが出来れば、これ以上の喜びはない♪

『父、帰る』でロシア映画ファンならずとも、観客をスクリーンに釘付けにしたアンドレイ・ズビャギンツェフ監督、10年ぶりの日本公開作品である。監督初のオリジナル脚本のせいか、ズビャギンツェフ自身の内面体質、生理、肉感、体臭までが伝わってくるような実体感を味わった。

優れた作品には、仏像と同じく創り手の「気」が込められていると信じる。そのため、3Dといった特殊効果を用いなくとも、登場人物の体臭や息、住む部屋、通り行く外気の匂い、湿度、鼓動までが、スクリーンからダイレクトに観客席へ届くのだ!

本当に久々の衝撃だった。こんな体感は、川島雄三監督作『洲崎パラダイス赤信号』で、湿った風を感じたとき以来である。

モスクワに住む元看護士のエレナは、資産家の夫と再婚し、豊かな暮らしを送っている。単調な日々の合間をみて、前夫との間にもうけた無職の息子家族のもとを訪れては、生活費を工面し続けていた。孫が進学の岐路を迎え、父親である息子は、学資にさえ困窮する始末だった。

エレナは夫にそれとなく援助を頼み込むも、冷淡に拒絶される。甲斐性のないエレナの息子を夫は気に入らないし、前妻との一人娘カテリナが気儘に暮らしていながら、父親を慕う様子もないのが、エレナには不満なのだ。

それぞれの子どもの話になると、夫婦の間は険悪になってしまう。口論に涙するエレナ。都合の良いときだけ、身体を求め、普段は家政婦のように扱う夫だが、生活のため、エレナは陰鬱な日常から逃れることができない。

急な心臓発作に倒れた夫の看病に明け暮れるエレナ。退院した際には、夫はエレナの介護無しには暮らせない身体になっていた。そんな時、夫が「遺言書を作成する。弁護士も呼んである」と言い出した……。

冒頭に映り込む鴉。劇伴もない単調な日常生活の描写が、強い緊張感をもたらす。それが後半の重要な伏線になっていたことに気付いた時、監督の演出意図に慄然とし、その力量に改めて感嘆せざるを得なかった。

朝、エレナに起こされてパジャマでベットから出てくる夫の加齢臭、高級マンションの整備されるも乾いた空調が、寡黙な画面から滲む。高級住宅街を出て息子宅へ向かうバスでは、「世界」を移動するエレナの心情を表すかのように、初めて劇伴が流れる。

労働者が多く住む息子の団地界隈は、極めて混沌としている。狭い室内には幼児の泣き声が響き、湿った空気、安物の菓子、ゴミの臭いまでが伝わってくるようだ。孫が悪友からの誘いを受け、不穏な雰囲気はあるものの、小さな孫を抱くエレナの顔は穏やかだ。

原題は『エレナ』である。邦題には「惑い」という感情表現が加えられているが、内容からして、エレナの『選択』とも捉えられる。エレナの取った選択が、観客にはどう映るのか……。その捉え方により、本作の評価は異なってくるのかもしれない。

『父、帰る』では、ロシア人的な悲劇性と、大陸的スケールの大きさを感じさせたが、本作では国家の最も小さな単位である「家庭」の中に、世界を見出だしている。

静謐な佇まい、画面構成はシンプルにしてスタイリッシュ、単調な反復演出が、何故これほどサスペンスフルに観え得るのか。安直なプロット、派手な仕掛けも何もないのに、緊迫感溢れるタイトな映像は、観客を否が応でもズビャギンツェフの世界に引きずり込む。

監督は、賢明にも明確な結末を示さない。ただ、予兆を映し出すのみだ。それは、突然の停電、孫たちの乱行、鴉などである。優れた映画の担い手は、自ら結末を押し付けるような傲慢さはないのだと知った。

予兆のみを示しておき、後は観客に創造性という豊かな宝を与えてくれるのだ。想像させる隙間もないほど、説明過多で、「起承転結恐怖症」とも言うべき、辻褄合わせの映画が、最近は多すぎる気がする。

本作のような映画のスタイルもある、ということを、ぜひ若い世代の映画ファンには知ってほしい。ハリウッド的ドラマツルギーに慣れた方には、ロシア映画が肌に合わない場合もあるだろう。が、映画は雑食でも構わない(笑)これを読んで、ご興味を持たれたら、試しに映画館へ脚を運んでみてほしい!

本作は、12月20日(土)より、渋谷ユーロスペースにて上映されます。長い年末年始、あなたの109分を本作と共に過ごすことをお薦めします。

こんにちは。試写室情報です。 
『ヴェラの祈り』★★★★半 

前回ご紹介した『エレナの惑い』と同日、同劇場で封切られる。2作品鑑賞券は割安のようだ。本作もロシア人監督アンドレイ・ズビャギンツェフによる傑作のため、できれば2作品をご覧になることをお薦めしたい。 

本作は、2007年製作である。7年を経て、待ちに待った日本公開だ。デビュー作『父、帰る』が高評価され、世界中で大ヒットした後、2年の撮影準備期間を経てクランクインした。主演は『父、帰る』の父親役コンスタンチン・ラブロネンコだが、前作とは異なる父親像を繊細且つ大胆に演じている。 

『父、帰る』『エレナの惑い』と同様に、余計な説明はない。ギリギリまで研ぎ澄まされ、洗練の極みを得た作風だ。計算し尽くされた映像美や、俳優の豊かな表情が、百万言の表現を奏でているようだ。一瞬たりとも目が離せない緊張感を有す。 

撮影地は、”世界のどこでもない場所”を入念にロケハンしたというだけあり、監督の芸術的・情動面での挑戦的な意欲が感じられた。主な舞台となる田舎家、教会が、まるでセットは到底思えないほどのリアルな質感を示し、ロシア人スタッフの底力には驚かさればかりだ。 

冒頭から、アンドリュー・ワイエスの絵画に出てくるように長閑な、しかし無国籍なイメージの田園風景が広がる。丘を走り抜ける車は、やがて市街地へ入り、吝かではない状態の男が、車を降り、建物へと入っていく。「弾丸を摘出してくれ」兄マルクに頼まれた弟アレックスは、理由も聞かずに手当をする。 

画面は打って変わり、アレックスが妻ヴェラと幼い子どもたちを連れて、亡き父が残した田舎家へ向かう場面になる。家族旅行にはしゃぐ子供たちだが、夫婦の間に会話はない。なだらかな草原、枯れた小川のある澄み切った空気の田園風景の中を家族は散歩に出かける。 

子どもたちを寝かせた後、思い詰めた表情のヴェラにアレックスが気付く。ヴェラは告げる。 
「赤ちゃんができたの。でも、あなたの子じゃない」 
唐突な告白に動転したアレックスは、田園を彷徨い、家族を置き去りにする。 

この後、アレックスの取った行動、提案、ヴェラの決断、そして何故ヴェラが、夫に突然このようなことを告げたのか?その真意は何か?観客の判断に委ねられる。これらの問いについて、どう考えるかによって、本作の評価が分かれるかもしれない。 

前回、『エレナの惑い』試写情報で、エレナの『選択』のほうが適しているのではないかと書いたのを覚えておいでだろうか。本作でも、ヴェラの『祈り』というよりも、『決断』が、内容を決定づけたように感じた。ヴェラが下した決断は、果たして正しかったのか…。 

冒頭で登場した兄マルクが、キーパーソンとして重要な役割を演じるため、マルクの居る場所、表情、台詞にも注意を払ってほしい。夫婦間の問題を描いた映画かと思いきや、意外にも兄弟愛を強く印象付けるエピソードがある。 

また、アレックスの友だち家族、その子供たち、マルクに恩義があるらしい医師、夫婦共通の友人ロベルト、それぞれが映画の中で息づく人物として、存在感を放っている。何ごとの演出にも抜かりない監督の力量が窺われ、人間関係、画面の構築性のクオリティには、『父〜』『エレナ〜』とともに、感嘆せざるを得ない。 

時間軸がずれる展開になるため、ストーリーの成り行きに夢中になるが、後半は同じロシアの監督タルコフスキーを思わせる、考え抜かれた絵画のような映像美が目の前に広がって行く。ストーリー、構築性、映像とも、観客は目を見張らされることだろう。 

原作は、米国の作家サロヤンの長編小説である。ズビャギンツェフは、英語の小説を完璧に自身の世界に置き換え、夫婦、家族、生と死、といった重曹的なテーマを野心的に表現した。『エレナ〜』、本作とも、映像詩人と評されるタルコフスキー監督に勝るとも劣らない出色の作品に仕上げている。 

悲劇的な結末にも拘わらず、ラストには生命力に溢れ、幸福を予兆させる象徴的な場面が用意されている点にも深く感動した。やはり、ズビャギンツェフはただ者ではない!! 

本作は、12月20日(土)から、渋谷ユーロスペースにて公開されます。是非とも『エレナ〜』と合わせ、ズビャギンツェフの世界に触れて観ることをお薦めします!! 

 
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【いきなりですが…このトピックのMyベスト10】


■ベルリン・天使の詩(ヴィム・ベンダース'87)
◆es(オリヴァー・ヒルシェビーゲル'01)
▼霧の中の風景(テオ・アンゲロプロス'88)
▼永遠と一日(テオ・アンゲロプロス'98)
▼善き人のためのソナタ(フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク'06)
▼パリ・テキサス(ヴィム・ベンダース'84)
▼ハメット(ヴィム・ベンダース'82)
・ビフォア・ザ・レイン(ミルチョ・マンチェフスキー'94)
アンダーグラウンド(エミール・クストリッツァ'95)
黒猫・白猫(エミール・クストリッツァ'98)

【以降】
動くな、死ね、甦れ!(ヴィターリー・カネフスキ'89)
奇跡の海(ラース・フォン・トリアー'97)
アンゲロプロスの3部作の第3作目「もう一つの海」撮影中の交通事故死は何としても残念ですね。現代映画の一つの頂点を形作った監督でしたのに。
一方、ソクーロフの方は「日陽はしづかに発酵し」を頂点として、ゆるゆる下り続けている気がします。「エルミタージュ幻想」はひたすら白々しく騒々しい「去年マリエンバートで」みたいな感じだったし、「太陽」「モレク神」はある種比較文化論的な視点しか感じませんでした。
タルコフスキーのようにキャリアの頂点で人生の幕が引けたならという皮肉な感情を持ちました。

ヴィーターリー・カネフスキーと同じに、その最終作がもしかしたら最大の傑作になるのではないかという予感をさせるのがアレクセイ・ゲルマンの「神々のたそがれ」で、今から公開が楽しみでなりません。
アンゲロプロスは残念でしたね。
個人的には…昔は、彼の作品を「観れる機会まで」が大変だった記憶がありますが、今では駅前のレンタル屋に平然と並んでいるのが驚きだったりします。

個人的にちょっと懸念している事は、近年のヨーロッパやロシアの作品傾向が…「映画祭に向けて」として作られているようで気になっています。近年というか、ここ20年って感じかも知れないですけど。
ベルイマンの頃やタルコフスキーとかの時代との姿勢の違いがそこにあるような…。
昨年のポーランド映画祭のおかげで私の世界映画のオールタイム・ベスト「砂時計」(ヴォイチェフ・イェジー・ハス監督)の日本語版、をなんとなんと30年ぶりに手にすることができました。(本当はもう英語版を買ってあるのですが)
願わくばどこかでいつか「ハンガリー映画祭」をやってもらって、ベスト2の「密告の砦」(ミクローシュ・ヤンチョー)の日本語版DVDを手に入れられますように。(本当はVHSで買ってはあるのですが)
あと、新しく見つけたパールフィ・ジョルジュ監督の「ハックル」「タクシデルミア ある剥製師の遺言」のDVDを購入しました。
>>[44]

「砂時計」は以前チラ見したのですが…字幕無くて内容判らず、改めていずれ見直したく思ってます。
幻想と混沌に迷い混んだ世界観が…「不思議の国のオジサン」って感じだった印象があります。

ところで、話変わりますが…当コミュの【管理人からのお知らせ】というのが〜tinさんのマイページに届きましたでしょうか?
再稼動した事を当コミュ参加の皆様に告知したかったのですが…ちゃんと届いてるのか確認したいのです。
>>[45]
はい、届きました。ここで私が書き込みを行っていることがその証拠です。個人的な希望としては、ブラックギロチンさんに戻ってきていただいて、また濃ゆいお話をしたいと思っているのですが、彼がどうしているのかは、マイミクの私にも行方が知れないのですよね。まだ退会はしていないと思うのですが。
>>[46]

ありがとうございました。
【管理人からのお知らせ】が、送った当事者の私に届いてなかったので不安でした(笑)

ブラックギロチンさん懐かしいです。mixi全体からして〜アート系を語れるとか掘り下げたがってる人はもう僅かしか居なさそうですからね…

【すべての映画馬鹿】はこのコミュに集結して欲しいものです。他コミュと比べたら…マニアほど手応えあるでしょうから。それが良い事かどうかは判りませんが(笑)
>>[47]
映画でなく文学や美術にこだわっている人ならわたしのマイミクさんにもいるのですが、その人のこだわっている「文学や美術」が「私のこだわっている文学や美術」と微妙にすれ違っているので、ひたすら「イイネ」を押し続けるだけということになってしまいます。
>>[48]

「書きたいから書く」場合も〜「他の人と分かち合いたい」場合も、ケースバイケースであると思いますので、その辺りのバランスなのかもしれませんね。「どうあるべき」という問題でも本来無いのかもしれないし。

このコミュは最初からマニアックなのかもしれないから〜ここでの私があまり言えませんけどね(笑)。
ただ、このコミュはこれでいいのかも。mixiの映画関連としては特殊ではあるかも。
>>[49]
ほかのトピでは映画についてここまで深く突っ込んでは話せませんからね。私にとっても貴重な場です。
ただ私の悪い癖なのは、深く突っ込んで話すと、なりふり構わず、どんどんネタバレしていくことです。
これは直そうと思ってもなかなか治せませんし、このコミュに参加することをためらった(一時は退会していた)最大の理由です。
>>[50]

「ネタバレOkトピック」もありますので〜私も観てる作品なら語れるかも。

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