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501stCGUプロジェクトコミュのアズールレーン:第501沿岸警備隊 臨時紫波出張所日誌 #28 第25話:空っぽの棚の残響 ―― 15年目の「たもり」哨戒

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「今日、買い出しに寄った『たもり』で、ワシは足が止まった」……
「……指揮官。……ここ、……何も、……ない、デス。……棚、……スカスカ、……デス。……泥棒、……デスか?」
臨時紫波出張所の買い出し中、スーパー「たもり」の特設コーナーで、綾波が足を止めた。
そこには、震災直後の混乱を再現した「商品が一つもない棚」と、当時の悲痛な、しかし力強い店主の言葉が掲げられていた。
49歳の入江省造軍曹は、サングラスを少しずらし、15年前の「現場」を思い出していた。
当時はまだパッソ(月ヶ岡1号)はおらず、34歳の若さで「未曾有の事態」に直面していたあの日々。
「……違うよ、綾波。これは、……ワシらが忘れてはいけない、『あの日』の風景だ」
ガソリンが枯渇し、1.0Lの排気音すら贅沢に思えた極限状態。長野から岩手へ、受け継いだ「誠」の精神が試された、凍てつく3月11日。
今の豊かな棚と、再現された「空っぽの棚」。そのコントラストが、軍曹の胸に迫る。
「……物が売れる。……買える。……それだけで、……泣けるほど、……有難いことなんだ」
「……指揮官。……15年、……重い、デス。……空っぽの、……棚から、……今の……笑顔、……造った、デスね。……はなまる、デス」
綾波が、再現された棚に向かって、静かに、しかし深く敬礼をする。
軍曹は、M19の代わりに重い買い物カゴを握り直し、夕闇迫る紫波の街へと視線を向けた。
15年前の絶望を越えて、今、この地に流れる穏やかな時間。
それを守り抜くことこそが、自分に課せられた「現場の正義」なのだと、軍曹は独りごちた。
「……さて、……帰って、……熱い茶でも、……啜るか」
パッソの待つ駐車場へ向かう軍曹の背中に、15年前の冷たい風ではなく、確かな春の兆しが寄り添っていた。
(第25話・了)

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