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半蔵門かきもの倶楽部コミュの第四十七回 作品 匿名H 『フルーツ(未完)』

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Mandarin.net
スペシャルインタビューNo.1966(3月7日掲載)
【グレープフルーツなんて、ミカンの仲間じゃない?!】
〜グレープフルーツさんが語る、知られざるカンキツ類差別〜

インタビュー&テキスト:青島・ミカン
写真:こん太・キンカン
スタイリスト:せとか・タンゴール


レモンの出回る季節が徐々に終わりに近づき、暖かな日差しの下、いよかんやデコポンが街に繰り出し始める三月の初め。
甘酸っぱい爽やかな香りをまとって、待ち合わせたカフェに今日のゲストが姿を見せた。
遠くからでも目立つレモン色のなめらかな果皮に、オレンジのようなきれいな丸形。
人間たちに絶大な人気を誇る、甘酸っぱさとほろ苦さが同居した独特の風味。
グレープフルーツさんだ。
カンキツ国……いや、果菜界でも彼の名を知らない果物はいないだろう。カンキツ類屈指のアイドルのひとりだ。
しかし、そんなグレープフルーツさんも生まれてから現在まで、すべてが順風満帆ではなかった。
その個性的な風味、容姿ゆえ、一部のカンキツ類からの偏見や妬みに長年苦しんできたという。
今日の輝かしい成功の裏に、どんな葛藤があったのか。
当サイトだけに、本人がその知られざる苦悩を語ってくれた。


――初めまして。今日はよろしくお願いします。
グレープフルーツ:こちらこそよろしくお願いします。マーシュ・グレープフルーツと申します。

――ファーストネームは、マーシュさんなんですか。
グレープフルーツ:はい、そうですね。店先ではホワイトとか、ホワイトマーシュとも呼ばれるんですが。

――ご両親もとても人気がある果物ですよね。お父さんがボンタンさん、お母さんがオレンジさんですもんね。
グレープフルーツ:そうおっしゃっていただけると、すごくうれしいです(笑) 両親はぼくなんかよりも全然人気あると思いますよ(笑)

――いえいえ(笑) ご両親についてもっと教えていただけますか。
グレープフルーツ:はい。父はボンタン、正確には土佐文旦(とさ・ぶんたん)と言って、とっても上品な甘さがあって、エレガントで優しい果物なんです。母親はもう説明不要ですよね、バレンシア・オレンジですから(笑)

――(笑) 妹さんもいらっしゃるんですよね?
グレープフルーツ:ふたりいます。ルビーとスタールビーですね。ぼくはそうでもないんですが、ふたりとも果肉が母に似て赤いんです。ルビーは本名より、ピンクグレープフルーツって名前のほうが知られてるのかな? 甘さも強めなんで、ぼくなんか追い越してすぐ人気者になれちゃうと思います(笑)

――ありがとうございます(笑) ご出身はカンキツ国の南村ですよね。
グレープフルーツ:そうです。あったかくてのどかで良いところです。近くにきれいな海岸があって、よくそこで妹たちとひなたぼっこしてました。

――ミカン園シティには、いつごろ引っ越されたんですか。
グレープフルーツ:大きくなって、熟したころぐらいだったかな。南村だとやっぱり暑さに強い南国由来のカンキツ類しかいないんですよ。ミカン園ならハウス育ちもいるし、いろんなカンキツ類の良さを知って勉強しないと、人気のある果物になれないよって両親が言って、それで家族みんなで引っ越しました。

――でも、そこで差別に遭ったわけですね。
グレープフルーツ:そうですね。村ではみんな仲良くやってたので、ちょっとびっくりしました。

――具体的にはどんな差別に遭ったのですか。
グレープフルーツ:寝ているあいだに、家の木の枝を折られたりとか、幹に果汁かけられたりとか、ですかね。でも初めは、そんなに動じなかったというか、深刻にはならなかったんです。

――動じなかった?
グレープフルーツ:はい。ミカン園で仲良くなった友達はいましたし、ご近所さんも親切なかたばかりで、いやがらせしてくるのはほんの一握りの果物だけでしたから。
それにうちはとっても陽気というか、おおらかな一家なんですよ(笑) 特に母のバレンシア・オレンジがすっごくポジティブで太陽みたいに明るい性格なんです(笑) 「まぁ、そんなこともあるでしょー」って感じで、あんまり気にしてませんでした。
深刻になったのは、もっとずっと後でしたね。

――どんなことがあったんでしょうか? よろしければお聞かせ願えますか。
グレープフルーツ:はい。ミカン園に来て、実はぼく、ある果物さんとつきあうようになったんです。ちょっといろいろあれなので、品種は言えないんですけど……ミカンの一種というか……。

――もちろん、差し支えない範囲で構いません。
グレープフルーツ:ありがとうございます。かわいらしい果物の女子で、出会ってすぐに好きになりました。彼女もぼくのことは嫌いじゃなかったみたいで。もちろんぼくのほろ苦い風味とか、レモンみたいな皮の色とかに対して、彼女は特別な偏見なんかは持ってませんでした。
で、しばらくしてだんだん結婚を考えるようになっていって、彼女の親御さんとも何度か会ってたんですよ。おふたりともすごく優しくて真面目なかたで、ぼくは親御さんとうまくやっていけてると思ってました。

――何があったんですか?
グレープフルーツ:ある日、彼女のお父さんからふたりで会いたいって呼び出されたんです。
で、突然、娘と別れてほしいって言うんですよ。

――ええっ?! なぜお相手のお父さんはそんなことを?
グレープフルーツ:それは――――


(つづく)

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