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半蔵門かきもの倶楽部コミュの第百六回 文芸部A 大邦将猛作 「鉈坊主」(3-1) 自由課題

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https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=6226350&id=101084421

ウパシやほかのサンガの女たちはさらにボロキャクの山小屋にとどまっていた。
おぬいの乳が張っているがまだ乳は出ない。
おぬいが華奢なのをみてサンガの女たちはしばらく子に乳を与えねばならぬと
すぐにわかった。
常に子を産んでいるサンガの女たちの乳をソウタロウにやることができた。

この時代百姓で乳が出る女はむしろ街中にでて乳を売り歩くことが多かった
自分の子よりも人の子に乳を吸わせることの方が多い女もいたほどだ。
マツバリ(私生児)を抱えて女一人で百姓を続けるにはなんとしてもおぬいの乳房に乳を通わせねばならない。
街中に住む者であれば私生児でももらい乳で育てることが不可能ではなかったろうが
おぬいの場合はずっとサンガの女がもらい乳をくれてやるわけにはいかない。

ウパシはおぬいの乳もみを請け負った。
出産直後の乳もみは女の乳の出を大きく変える。
これをしておかないとおぬいがサンガの女たちが帰った後に乳がでなくなる。
乳房を強くもみ乳が出やすく用にする知恵はサンガにもあった。

「おぬいさん、痛いかもしらんが少しこらえてくだされ」
ウパシはおぬい後ろからその両方の乳首をつまみ上げるようにして刺激をして乳房を根元から絞り上げるようにもみあげた
小さかったおぬいの乳房が大きくなり乳首が黒ずんでいる。
「乳の先をこうやって崩していくと、乳が染み出しやすくなる。ずっとつねり上げると痛かろうよ。やわくつまんだり力を入れたり、自分でもして見なされ、それと乳房の根元から乳を搾るんじゃ」

ウパシは教えるようにおぬいの乳を揉みだした。乳が張り出してきているおぬいは激痛に近い痛みを感じていた。
人にされなければこの強さでもむことはできなかったろう。乳首のしこりが壊されるようにほぐれていくのを感じた。
我が子ソウタロウはほかのサンガの女の乳を飲んでいる。それをみるにつけ、おぬいはあらゆる痛みに耐えられた。

「おお、乳の先が湿ってきたようじゃ」
ウパシはボロキャクにおぬいの乳首を強く吸えと促した。
ボロキャクは家事を止めて駆けつけた。彼は女たちにできない湯沸かしや洗濯に忙しいが常にウパシとおぬいのことを気にかけている。

赤子は生まれて半年もの間乳しか飲めない。
そんなこともしらんのか男はと笑いながらウパシは言った。
子をなしたときにしか女の乳房が張り乳をにじませることはない。
女によっては乳があまりでないこともあり、ほかの家の女にもらい乳をする。
サンガの女は常に子をなしていて、最後に産んだ子がしばらく前でもまだ乳が出ることもある。
「わちらはそうやって子供たちを育てたのやが」

ボロキャクは女たちがサンガの男たちの欲望を受け止めながら
村を支えていたのだと改めて感じ入った。自分の力自慢など何の役にも立たぬ。
人をはぐくむ理を何も知らぬ自分がサンガの中では仏法を知ってるつもりでいたことを恥じた。
おぬいの乳房が大きく張り出していてそれを膝枕で押し付けてくれている。
不思議な温かみを感じてボロキャクはそれを吸った。

ーでてきおったー
ー反対もじゃー

両方の乳が通り、おぬいはソウタロウにそれを与えた。
ボロキャクは女たちがみな一人の息子にかわるがわる乳を与え
はぐくんでいることを目の当たりにして神々しい気持ちでそれを見た。
どの女ともなんどもまぐわった。
不思議なものだがソウタロウはここにいるすべての女の血を引いてるような気もする。

畜生のほとんどは生まれたとき、何の助けもなく立上りすぐに乳を吸う。
人だけはこんなに苦労してやッと一人が育つ。病で死んだり、飢えて大人になれない子すらいる。
あろうことか戦で人同士切りあったり、鉄砲撃ちあって死ぬタワケもいる。
それでも死にまけぬ生の数があり、男と女がまぐわい子をなして、世の定めに抗っている。

『人が死のうは必定、なれどそれを超えて人が生を受けるも必定や。人は生まれてくるだけで尊いわ。そいて女はどえれえわ。』

湯を炊いて、女たちの精のつく獲物を狩り煮炊きをせっせとしてあっという間に三月がすぎるころ
ウパシ達はそろそろ里に帰らなければならないと言った。

小屋は頑丈だがウパシらを送り届ける間に獣がおぬいに害をなさないように仮罠をしかけて
ボロキャクは女たちを送った。

「サンガの子供たちにも乳をやらねばならんからの。おぬいさんの乳の出はかなりよくなった。もう安心じゃ」
「ほんとうに世話になったや。」
「後三月は乳でそだてなきゃだめじゃ。田んぼの作業もそろそろでないか?それはおめさんが夜に村人に見つからんようにしておくんじゃろな・・・」

村人にいつどういうか・・・迷うがそろそろいいだして、マツバリ(父なし子)じゃが、おぬいが村人とかってに婚姻させられぬように
一人で育てるには一人で割り当ての田の作業をやりこなしている必要があった。

たしかに子育てしながらおぬいが田を耕すのは不可能だと思われた。

ウパシたちが帰った後、おぬいは村に戻り、ボロキャクが通い夜に田の仕事をした。
村人たちは不思議がった。
昼にボロキャクがおぬいの小屋で隠れていることもあったがもともと村人との付き合いの少ないおぬい
の家に長居する者もなくことなくソウタロウがそだった。

数えでソウタロウが三つになるころまでには木の皮を薄く鉈で下ろした板に墨と筆で
おぬいは一通りのかな文字と少々の真名文字を覚え、読み書きをするようになった。

そろそろ物心がつく、そう思ってボロキャクはおぬいの小屋にいくのを控えた。
獲物を血もみしてあぶってからおぬいのところに置くのは続けたが
ほかの百姓が口にしないものになれているのも気になった。

百姓の子は3つから9つくらいまでが村で遊び人との関係をつくる時期である。
七つくらいになれば少しは田仕事を手伝う。

ソウタロウはおとなしくじっくりものを考える子だった。
内緒だといわれ、おぬいから文字を教わり、肉食をした。

後日残る史書にはソウタロウは大柄だったとされるが幼少期に肉食で肉体が作られたことも理由であろう。
5つになるころにはやや大きい落ち着いた子になっていた。

「おかあ。わしにお父(でい)はおらんのはなぜじゃ」
「すまんのうまく言えん。ただおめさんのおでいはほんに立派な人じゃ。誰に何を言われても
 それだけは信じてくれや」
「村の誰かだったら、なんでわしらと住まずにどこかわしの友達のおでいでもあっておかあを一人で
 こんな田仕事一人でやらせてるのが卑怯でがまんならん。わしが田仕事は手伝うがまだわっぱやから
 限界がある。」
「大丈夫じゃ。おめさんが寝たあとだってわっちがやればいい。子供は田仕事なんか忘れろ。
 昼は遊んできてもいいし、わっちが教える読み書きも明るいうちしかできんぞ。」

おぬいはいつも笑顔だった。ソウタロウは自分が村の子がだれも読めない字を読み書きできて
特別な使命を与えられるように学びを課せられることに不思議を感じていた。
実はどこかの武家の落し胤ではないかと、ならばなぜ母を屋敷に上げずにこんな生活をと思わずにいられない
そのおでいがだれでどこにいまいるかも母は知っているようにしか見えない。
母がなんの不満もなく田仕事をこなしながら、自分に字の読み書きや仏の法話のような話をしてくれることが
歯がゆかった。
そもそも母がこのように文字を読みこなすことが不思議で本当は百姓でないのでないかと思わざるを得ない。

「ソウタロウ。おめマツバリ(父なし子)っていじめられるのかや?」
「そういうわけでないやが、不思議がられる」
実のところはそうであった。近寄りがたいものがあるのもあり、おちついてて村の子とは合わない。
石を投げたり、たたかいたりするものはないが、村の子は親に吹き込まれたかのように
ソウタロウは突然おぬいのところに現れた。お産に立ち会ったものもない。
華奢な娘がもらい乳もせずに突然乳離れした子を抱えている。そう噂してるらしい。

その子のてては誰じゃと聞けば「その方にご迷惑かかりますゆえ」とおぬいは詮索を避ける。
武家のお手付きならそこに行けばいいものを小さい子を抱えて百姓をするというし、どこかの家に住み込むのでもなく
女一人で一家分の田仕事をこなしている。
不思議がられるというよりは村の大人からは気味悪がられ、子供からは違和感を感じられてる。
ほんとにお武家のお手付きなら、下手なことをすると自分らが痛い目にあうかもしれないというような大人の恐れもあった。
その歪んだ違和感が子供を通じてソウタロウに向けられるようだ。

ソウタロウ本人は幼いのにそこは達観しており、気にも留めない。ただ純粋に父にあってみたいと思う。

「わしはおでいがどんなひとかしりたい」
「おめはわっちの子じゃ。そして、おめのおでいはつよくてやさしうて立派なお人じゃ。おめに教える文字だってわっちはその人から教わった」
「そんな立派ならなんでおかあを屋敷にとりあげないんだ。自分だけいい暮らしして」

(いい暮らしなんぞ・・・)と言いかけて言葉がつまった

コメント(3)

筆が遅くてすみません
あと一週間・・・私事にほんろうされ書けないかもですがもうすこし書くつもりで
3−1としました (3−2につなげるつもり)
ソウタロウが物心つきほかの子らとは違う特徴を現わしだしてきて、彼はこれからどうなっていくのだろうとこの先がとても楽しみです。
>>[2]

ありがとうございます。筆遅いですが(展開だらだらしてますが)頑張ります。
リアルに考えるとどうしてもちょっと書いておきたくなって江戸時代の赤ちゃんの生命を育むのに母乳がいかに重要だったか、山窩衆との愛の子としたソウタロウが百姓娘の私生児として育つためにはこんなことをおいておかないと・・・とついついこだわってしまいました。

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