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意味がわかると怖い話。コミュの謎の行商人、陳 10 (自作、超長文)

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(^▽^)
どうも、俺です。


陳シリーズも、気が付けば
[シリーズ10作目]

に到達してしまいました。

陳シリーズに終わりが来ることを願うばかりです…



※純粋な意味怖が好きな方には読むことをオススメ出来ませんので、あしからず………
m(__)m



★★★★★★★★★★★★★★★




タイムマシーン




誰もがその機械に淡い夢を抱く。

過去の改変、まだ見ぬ未来の世界を知ることの出来る空想上の機械。


あなたも、行ってみたい未来、やり直したい過去など、あるのでは無いでしょうか……







『さよなら』


そう呟くと、彼女は俺の前から去って行った。



待ってくれっ!
やり直そうっ!!
俺が悪かったっ!



あの時、何故その言葉が言えなかったのか…

今だに、その時の後悔や未練が俺に付き纏っていた。



彼女と別れ、半年が経過した。
別れて以来、他の女の子と知り合う為、『街コン』に参加してみたものの…

女の子と話す度に、思い出されるのは彼女の屈託の無い笑顔ばかりだった。

どんなに可愛くても、彼女を上回る女性には巡り会えなかった。


もしも時間を遡ることが出来るのなら、もう一度、彼女と会って話がしたい。

今なら言えるのに…


今も尚、彼女を好きな気持ちは変わらない。


タイムマシーン、か…。


そんな物があったら、とうに利用している。



仕事帰りの夜道で、ぼんやりとそんなことを考えながら歩いていた。



ぼんやりとしながら歩いていたせいか、自宅までの道とは真逆の道を歩いていた。

何をしてるんだ、俺は…。


俺は、自宅のアパートを目指す為、来た道を戻ることにした。



チリーン、チリーン…


歩いていると、後ろの方から自転車のベルの音が聞こえて来た。

自転車が通れる分のスペースを空けて、俺は道の端へと寄っ

ドンッ!!

俺『痛ぇっ!』


自転車は後方から俺にぶつかって来た。


男性『何処見て歩いてるネ。自転車壊れたらどうするネッ!』


背中をさすりながら後ろを振り返った。

そこに居たのは


黒のスーツ、黒のシルクハット、黒のサングラス、黒の鞄を自転車の前カゴに入れ、自転車に跨がっていた中年男性だった。

その風貌からは、まるで


居酒屋帰りの酔っ払い中年男性のようだと俺は思

男性『さっさとどくネ。迷惑極まりないネ。』

俺『お前がなっ!ぶつかって来といてその言い草はなんだっ!』


俺は、ふてぶてしい態度の男性に対し、怒りが込み上げて来ていた。


男性『アイヤー、それは悪かたアルッ! さっさとどくネ。』

俺『お前がなっ!』


なんだ、このオッサンは……。
これだから酔っ払いはタチが悪い。


男性『困たものネ。頭にきたらすぐ怒鳴る、ふとり世代あるあるアル。』

俺『ゆとり、なっ!ゆとり世代じゃねぇしっ!!』

男性『はいはい、ワタシが全面的に悪かたアル。ごめんなさいネ。まったく。』

俺『俺が悪いみたいになってるよっ!』


…これ以上この男性には関わらない方がよさそうだ。
俺は渋々、男性の乗る自転車の前からどいた。


男性『酔っ払い、怖いネ。タチ悪いネ。』


お前がなっ、…と突っ込みを入れたい気持ちを抑え、俺は黙って男性が去るのを待った。


男性『時にお兄さん、何かお悩みごと、無いカ?』

俺『今の現状。』

男性『ふむふむネ。お悩みごとあるみたいネ。ワタシがそのお悩みごと、解決させてやるネ、任せるヨロシッ!!』

俺『お前にだよっ!さっさと行けよっ!!』


俺は目の前の鬱陶しい男性に対し、苛立ちが最高潮に達していた。


男性『行くって、何処にネ?過去アルカ?それとも未来アルカ?』

俺『現在にだよっ!!』

男性『くくく。…実はこの自転車、普通の自転車と違うネ……。』


男性は、怪しく不敵な笑みを浮かべた…。

その雰囲気からは、いかにもこの自転車について聞いて欲しいというニュアンスが含まれていた。

……が


俺『あそう。じゃ、さようなら。』


当然ながら、深く関わりたく無い俺は、自分からその場を去ることにした。


男性『ちょっ、待つネッ!!話聞くヨロシッ!!』


ドンッ!

再び背中に衝撃が走る。


俺『ってぇなっ!何なんだよっあんた!?』

男性『ワタシの名前、陳ゆうネ。あんたにあんた呼ばわりされる覚え、無いネッ!!』

俺『同じ言葉をそのまま繰り返してやろうか?』


俺は仕方なく、陳と名乗る男性の話を聞いてやることにした。


俺『で?この自転車が何だって?』

陳『よくぞ聞いてくれタ。粘た甲斐があたネ。一時はどうなることか思たネ。ここで帰られたら、この話終わてしまうとこだたアル。危ないとこだたネ。そもそもワタシ的』

俺『で、この自転車が何だって?』


話が長くなりそうだったのを遮り、本題を切り出した。


陳『よくぞ聞いてくれタ。見てる方達も安心してることネ。このまま終わることに期待していた人も中には居るかもしれないネ。そもそもワタシ的』

俺『でっ、この自転車が何だって!?』


軽くデジャヴュを体験しかけた俺は、陳の乗る自転車について問い掛けた。


陳『まぁ待つヨロシ。』


そう言うと、陳は自転車から降り、壁に自転車を寄せスタンドを下ろした。


陳『これ、ワタシの自転車ネ。』

俺『うん、で?』

陳『これに乗るとクリビツテンギョー、ネッ!!』

俺『古いよっ!だから何っ!?』

陳『通常歩く速度よりも早く移動することが可能ネ。自分で転がす車という意味を込めて自転車と名付けら』

俺『普通だよっ!!』


若干期待した俺が馬鹿だったようだ。
陳と会話したこの無駄な時間に、俺は後悔した。


陳『過去の後悔、やり直すこと可能ネ……。』

俺『え…?』


あまりに核心を突いた台詞に、俺は言葉を失った。


俺『それ、どういう』

陳『あさる良くないネ。』

俺『あせる、だが…』


陳は自転車の前カゴに入れていた鞄を取ると、ファスナーをゆっくりと開いた。


そして、一個の飴玉を取り出した。


陳『3000円ネ。』

俺『は?飴玉一個に3000円なんて、ボッタクリもいいとこ』

陳『過去に遡れることが出来る飴玉ネ。』


……な、なんだって…


一瞬、陳の言葉に耳を疑った。

今、何て言った…?
過去に遡れる…って…

まさか、そんな…
酔っ払いの戯れ事だろう

でも……


陳『酔っ払いの戯れ事と思て聞くヨロシ。』

俺『やっぱりかっ!!』


所詮は酔っ払い。
軽くあしらえば、居なくなるだろう。


俺『あのねぇ、そんな飴玉一個で過去に行くことが出来たら誰も苦労しねぇーよ。』

陳『この飴玉、どこにも売て無いネ。本日限りの半額セール、ネ。』

俺『在庫処分じゃねぇかっ!!』

陳『騙された思て、買うヨロシ。今だけ、2000円の飴玉が3000円というお買い得価格アル。』

俺『既に騙してんじゃねぇかっ!!』


しかし、この飴玉一個買うだけで、この怪しげな男性から逃れられると思えば、3000円くらい安いものか………。

飴玉、ってのがシャクに障るが……


俺『分かったよ、買うよ、買えばいいんだろ?』

陳『毎度あり、ネッ。』

俺『ほらよ。』


俺は財布から千円札を三枚取り出し、男性に手渡した。


陳『ひぃふぅ……たしかに、ちょうだいしたネ。』

俺『ほら、さっさと飴玉よこせ。』

陳『ワタシ、売るとは言たガ、渡すとは言て無いネ。これはお駄賃として貰ておくネ。』

俺『詐欺師かっ!よこせっ、ほらっ!!』

陳『よすネーッ!暴力反対ネーッ!!』

俺『先に自転車でぶつかって来たのはテメーだろっ!よこせっ!!』


俺は陳の手に握られていた飴玉を奪い取った。


陳『ゆっくりと味わうヨロシ。今なら未来に行ける飴玉も売って』

俺『あー、はいはい。じゃあな。』


これ以上関わると面倒くさいと思い、俺は足早にその場から去ることにした。


陳『せいぜい時間旅行満喫するヨロシー!』

チリン、チリーン…





―――1週間後―――




妙な男性と出会ってから、1週間が経った。



仕事をしていても上の空で、ろくに仕事に手がつかなかった。


ある日、ふと、飴玉の存在を思い出した。

そういえば、こんな飴玉買ったんだった。

飴玉ごときに3000円払ったと思うと、途端に怒りが込み上げて来た。


くそっ!



俺は飴玉の封を破り、中の飴玉を口の中へと放り込んだ。


うわっ、何だこの味!?

餃子…?



珍しい、餃子味の飴玉を舐めていると、突然辺りが真っ白くなった。

うわっ、
なんだこれ…………


意識が遠退く………







子供達の無邪気な声で、俺は目を覚ました。


…ここは…何処だ…?
…公園……?



目を覚ました俺は、どうやら公園のベンチに居るらしい。

何だってまた公園なんかに………


!!?


あれは…あいつは……
まさか…



公園の柱時計の下に居たのは、『あいつ』だった。

別れて以来、一度も会っていなかった『あいつ』…



それも、別れた当時の格好で………


嘘だろ、マジかよ…


日曜の昼下がりということもあり、子供連れの親子が多い。


俺はフラフラと『あいつ』の元へと足を進ませようとし


『悪ぃ悪ぃ、待った?』



『あいつ』の元に、見慣れた男性が駆け寄って来た。


俺はその男性のことを誰よりも良く知っていた……



その男性は……







―――1週間前―――




陳『せいぜい時間旅行満喫するヨロシー!』

チリン、チリーン……


陳と名乗る中年男性は、自転車に跨がり、ベルを鳴らしていた。


陳『さてと、ネ。そろそろワタシも帰るとするネ、……未来に…。』



そう呟くと、陳と名乗る中年男性は自転車を漕ぎ出した。



チリン、チリーン…



自転車のベルの音が辺り一帯に響き渡ったが、自転車の姿はそこには無かった。



その直後、一人の男性がこちらに向かって走って来た。



関連作品

[時の歯車〜1.2.3.4.完結〜纏め]
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=71853456&guid=ON

コメント(13)


待ってました!陳さん(*´艸`*)

そして、やっぱり時の歯車の自転車(*゚∀゚*)

飴玉はもしや…(゚∀゚)
おぉっ!

陳さんがのってる自転車が
タイムスリップ出来るくだりで
時の歯車が絡んでいると
思いました!

意味怖は…
あれですかね?
ループ現象がおきている、ですか?
分かりません…orz
お世辞抜きに話として抜群に面白いです!シチュエーションの求心力がすごい。出だしの日常から非日常へ。アクト1はセオリー通りに構成を作られてますね。流石です!
そして陳のキャラ(笑)
やばいです。ハマりますね。台詞なんかジロ兄さんしか考えつかないですよ。 まだ陳シリーズ読んでないので今から読破します!
O(≧▽≦)Oワクワク
(`・ω・´)陳さん、待ってたヨ♪

ジロさんの作品はいつも笑いの中に真意がありますな☆
ヽ(´ω`)ノ

さて、今回の意味怖は…
彼は過去に戻ることが出来た。

そして願っていた未来を叶えることが出来た。

そのお礼を言いに来た。

なら、あまり意味怖にはならないexclamation ×2
(`・ω・´)
ので

過去に戻る。

やり直そうとしたが失敗。
(もしくは彼女を殺害)

陳さんから飴玉を買って、またやり直そうと走ってきた。


と解釈してみましたあせあせ(飛び散る汗)
未来の飴玉が引っかかりますが…
あえて無視するexclamation ×2
ドーンexclamation ×2
過去に遡る飴は過去にしかいけず、かな?

見知った男は主人公だとすると、主人公は過去に『戻った』ではなく『行った』になる。

今回は多世界解釈ですね。

過去改変についての解釈はいろいろありますが、例え過去の自分を殺したとしても、自分が消滅することはない…と自分は思います。

話がそれました。


自分はタイムトラベルでなく、タイムリープしたいです。
>>[006]
Ф(・ω・ )なるほど


時の歯車しか視点が行ってなかったあせあせ(飛び散る汗)
こうなると、陳さんのカバンの中身が更に気になりまするるんるん
(☆ω☆)キラーン
>>[001]

(^^)
お待たせしましたw

どうしても出たいと、うるさかったので。

飴玉は…そうかもしれませんねw

>>[002] 真樹さん

(^^)
お察しの通りですw

ループ現象、も軽く含んでますね。
普通にタイムトラベルとして考えて頂くと、意味が分かるかもしれません。

>>[003] みまふぃる。さん

(^^)
全然違いますw
パラレってません。
>>[004]

(;^^)
ちょっ、ベタ褒めですよw


特に構成は意識してません。
これが、イタリアオヤジ、ジローラモ・スタンスですw

(^^)
少しでも、笑える箇所があったなら嬉しく思います。

>>[005] ぬっこぬこさん

(^^)
遠からず、近からず、ですねw
雰囲気的には、正解に接近してます。

真意が含まれているかどうかは分かりませんがw

(^^)
コメントありがとうございます。

>>[006] みまふぃる。さん


(;^^)
ゴスロリツインテールのお話は、分かる人にしか分からない内容ですよw
>>[007]

(^^)
さすが、鋭いですね。
正解です。

俺も、タイムトラベルより、タイムリープ派です。
やり直しが可能なのはタイムリープですからねw

ただ、実現しませんがw

>>[008] ぬっこぬこさん

(^^)
某、猫型汎用決戦兵器の四次元ポケ〇ト的なニュアンスですw
>>[012]

Σ( ̄口 ̄;)ナントッexclamation ×2

タイムリープしか頭になかったから、答えから遠ざかってしまったでせ
(´・ω・`)

だからこそ、さすがジロ先生ですなウッシッシ

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