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経済読書会−東京経済政策研究会コミュの京経済政策研究会(第19回)活動報告

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東京経済政策研究会(第19回)2011年9月17日開催の活動報告です。




テーマ:教育と格差社会

参加人数:39人
主な参加者属性、職業:国家公務員、ウェブ会社経営、飲食店経営、メーカー経営、社会起業家、大学教員、高校教員、塾経営、会社員、医師、学生、FP、ライター etc

流れ:


・司会役の岩本より挨拶(5分)
・発表担当の戸辺から、日本の教育の現状と課題図書の内容を解説(30分)
・4グループに分かれ、事前に用意した論点に沿って議論(70分)
・休憩、名刺交換(15分)
・各グループのファシリテーターより討論の結果を相互に発表(15分)
・終了後、懇親会(90分)


議論:


論点1:(初等・中等)教育において民営化は有効か。 ※民営化:会社資本の導入


【岩本チーム】

・教育プログラムの多様性を確保する観点からは、株式会社の参入も含め、民営化は進めても良い。日本はまだ民営化が進んでいないので、多少進めたくらいでは、英国のような事態にはならないだろう。
・一方で、ユニバーサルサービスとしての公教育のレベルをどう設定し、どんな人物像を描くかを明確化することも必要。

【山田チーム】
・そもそも教育を民営化して得たい効果はなんなのかを考えなくてはいけない。
・親の教育に対する恐怖(強迫観念)は、コマシャーリズムによるもので、原則、自然発生的な競争以外はいらない。極度に民営化を進めるべきではないという意見もあった。
・学区制を廃止すべきか否かについては、意見が分かれた。(学区制の廃止は有効→荒川区では3つから中学校が選べるという制度が実施されており、緊張感から勉強のできない学校は、スポーツに力をいれるなど、特色を伸ばすようになった。結果的に学校ごとの特色を明確にでき、生徒も一元的ではない評価を得ることができる。)

【井上チーム】
・公教育の予算を減らしたり、公教育がうまく行かないから民間に任せる、といった後ろ向きの民営化はよくないのではないか。やはりベースは公教育だろう。

【三好チーム】

・株主資本を入れることのメリット、デメリットが明確に見えてこない。また現在は学費以外の私立と公立の学校の違いをあまり感じられない。

・仮に民営化をすることで、教師の給与体系に大きな差が生じ、公教育の質が下がるようであれば、導入すべきではないのではないかという意見もあった。


論点2:教育は格差社会を助成しているのか。


【岩本チーム】

・知識経済化が進む中で高等教育のコストが高まっていることは大きな問題。大学教育は無料にすべき。少なくとも、奨学金制度は充実させるべき。
・国家の視点に立てば、人的資産の有効活用の観点から「優秀だけれどもお金がなくて十分な教育が受けられない」という若者を減らす必要がある。その解決策は奨学金制度の充実しかない。団体を通じたひも付きの奨学金だけでなく、市民による「奨学金ファンド」のようなものをたくさん組成して、一人でも多くの優秀な若者に奨学金が付与されるようにすべき。
・学歴格差を緩和するためには、即戦力となる専門的な技術を持つ若者を増やすことが必要。例えば高専の卒業生をもっと増やすなど、職業教育にもっと力を入れるべき。また、高専から大学への転属の道ももっと増やした方がよい。
・神奈川県に「産業技術短期大学校」という短大ができたが、ここに入れば、返還不要の奨学金がもらえる。こうした学校をもっとたくさんつくり、お金がない若者でも専門スキルを身につけさせられるような場を拡充していくべき。

【山田チーム】
・国公立の教員のレベルの低さが格差の重要要因。各教科の専門的な知識を持つ面白い人は学校の先生になりにくいという現状が問題。
・教育という形で子供にお金を使うことは、歴史的に見ても後世に資産を残すもっとも堅実な方法であるため、教育の格差はなくなりにくい。
・画一の教育を行うと、人間の評価基準が一面的になるため、格差が起きやすい。

【井上チーム】
・教育だけが格差を広げる原因ではない。お金のある人は選択肢が広がるというのは当たり前のことで格差というべきものではない。
・公教育があるから逆転できる人もいるのではないか。
・勉強ができない人は「勉強ができない=社会でも落ちこぼれ」と考えてしまいがち。彼らにどういう希望を持たせるかは重要。

【三好チーム】
・格差社会の根本的な原因は恐らく教育ではないが、格差社会に合わせた教育体制、社会システムになっているのが現状ではないか。その意味で助長していると言える。
・格差=悪ではないだろう。格差を全くなくすことは、誰しもが反対するはずであり、勉強等で頑張った人を評価するのは当然とも考えられる。
・教育のユーザーは子供であるが、実際にお金を払うカスタマーは親となるので、子供が受ける教育は、親の金銭的な問題や教育への理解に依存する。よって格差は親次第とも見る事が出来るのではないか。



論点3:経済のグローバル化に教育はどう対処すべきか。

【岩本チーム】

・大学側が企業の求める人材を供給できていないのが問題(教育と労働のミスマッチ)。企業の視点から有益な教育プログラムを行っている大学にお金が流れるよう、企業の大学に対する寄付制度をもっと拡充してもよい。
・英語力については、初等教育から学ばせるよりも、学ぶ必要が生じたときに円滑に学べるよう、「学習メソッド」を教えておく方が重要ではないか。
・海外(タイ)に現地法人を立てようとしているが、現地で問われるのは日本の文化に対する理解。英語教育だけでは不十分で、日本人としての誇りやカルチャーを理解させるような教育も必要。
・グローバル経済を前提とした教育プログラムを考えることには疑問。グローバル化がもたらす弊害、歪みを取り除く努力を一体的に行う必要があると感じる。

【山田チーム】
・小学校の5年生から英語をやるのでは遅い。小学校1、2年に海外に行った帰国子女は流暢に英語が使えるが、高学年から海外に行った帰国子女は、英語をすぐに忘れてしまう。
・日本は英語が通じない、かつ使わない国でもあるので、子供たちも英語に興味を持たない。きっかけがないことが問題なので、英語そのものの教育というより英語に興味をもつためのきっかけが必要。→海外への知識を教える科目が徹底的に不足している。海外文化論的なものを強化として取り入れるべき。
・経済のグローバル化と英語教育とはそこまで関係ない。実際に仕事で海外にいったら英語は苦労しなかった。英語ができなくても本業の仕事ができればどうにかなる。自分で考える力や、専門的な知識の方が重要。

【井上チーム】
・初等教育で英語をやるべきかについては、意見が二分した。語学をマスターするには脳の発育の観点からも早い方がよい、といった賛成派と英語うんぬんではなく、海外に出てチャレンジしていこう等の行動力ある子どもを育てる方が先という意見もあった。
・仮説の2番目にある「高校や大学では議論し自ら考えさせるような授業を積極的に取り込むべき」という点には賛成が多かった。知識を覚えさせるという教育ではなく、粘り強く考える力、考え抜く力を鍛えるとよいという指摘もあった。

【三好チーム】
・英語を勉強していても、自分の意見が言えず、英語圏の人間とは実際に話せない人間がいることは事実であるため、単なる英語教育ではなく「考えて自分の意見を出す」教育も必要。
・一方で、アングロサクソン型の教育システム全体は、日本人の気質からして受け入れがたい。ゆえに、革新的なシステム改革よりも地道に「考える」授業内容を増やしていくことが現実的ではないか。
・「考える力」は必ずしも教育の枠組みだけで身につくものではない。地元住民とのディスカッションを開催するなどの、「場」を与えれば学生も考える力を養う事ができるだろう。


論点4:日本の教育の長所、短所は何か。


【岩本チーム】
※時間の都合上割愛


【山田チーム】
・帰国子女から見ると、日本の教育は、かなり高度な内容を義務教育でやっている。知識だけが高いのが日本の教育の短所。知識をどう使うのか?現実にどう活かすのかという点が不足している。
・「ゆとり教育」というが、今の子供達の勉強は簡単ではない。難しいことやりすぎだとも思われ、全員にハイレベルなものを学ばせようとすることで結果的に落ちこぼれを生み出すのではないかとも考えられる。
・ゆとり教育の総括がなされていないのは大きな問題という意見は多くの参加者が納得。
・教育のレベルが高くなりすぎると、皆が好条件の企業に就職できるのが当たり前という意識が生まれ、低いレベルの労働をする気がなくなる。そのことが、現在の雇用のミスマッチにつながっている。(教育の画一化が職業選択の偏りにつながる)
・アメリカではコミュニティカレッジというのがあって、就職に関係する実践的な勉強をする。学費も激安。日本でもこのような制度を部分的に取り入れるべき。

【井上チーム】
・長所として挙がったもの:数学力が高い、お金がなくても高校卒業可能(=お金がなくても上に行けるチャンスはあるということ)
・短所として挙がったもの:一方的に講師が講義をするという授業が多く議論をするという風潮がない
・「大学卒業後すぐに先生になる」というシステムは短所なのではないか、退職後の人が先生になるような流れもあったらいいのではないかという意見があった。一方で小学生にとっては若くて一緒に遊んでくれる若い人がいるのはプラスなのではないか、という意見もあった。

【三好チーム】
長所:論点5とも関わるが、教育を通じて身に付く日本人の文化(礼儀や集団行動、マナーなど)
短所:エリートや一芸に秀でた人材をあまり育てられていないのではないか。また日本に存在する社会の格差や実情を伝えず、きれいごとばかりを教えていないのではないか。


論点5:震災後に日本人の「秩序」「忍耐強さ」「利他精神」が海外から称賛されたが、宗教がないと言ってもよい日本において、こうした日本人の精神を規定しているものは何か。義務教育は日本人の精神形成にどのような形で寄与していると考えられるか。


【岩本チーム】

・必ずしも義務教育が日本人の精神を形成しているとは思わない。私自身は、義務教育ではなく、松下幸之助や稲森和夫などの偉人の本から一番影響を受けている。
・家庭教育が昔に比べて崩壊しているのは事実。これまでは家庭が担ってきた倫理教育なども学校教育でカバーしなければならない。学校教育の範囲を再定義することが必要。
・震災後に買いだめが起きたように、日本人の行動には利己的な行動も見え隠れする。海外から賞賛されるほど日本人の精神が素晴らしいのかは疑問。
・震災前後にドバイにいたが、ドバイでは必ずしも日本人の対応は評価されていない。米国等の賞賛にはポジショントークも含まれているため、あまり鵜呑みにしない方がよいと思う。

【山田チーム】
・義務教育よりも国民性。
・義務教育というよりは、村八分の文化が「秩序」「忍耐強さ」「利他精神」を育んでいるのでは。その意味で、それは果たして素朴に賞賛されるべき精神なのかという意見があった。

【井上チーム】
・日本人の精神形成と義務教育とはあまり関係ないのではないか。国民性と言うべきだろう。
・義務教育に精神形成といったところまで求めるのは期待しすぎではないか。
・日本人を賞賛する報道は、日本の美徳を武士道と結び付けたいマスコミの意図もあるはず。

【三好チーム】
・日本人の国民性には、厳しい自然環境や地理的条件があり、そのような国で求められる精神が教育にも反映されているとも考えられ、義務教育だけが日本人の精神を形成しているわけではないだろう。
・その一方で、義務教育の内容ではなくシステムが精神形成の一端を担っているのは事実であるはず(ホームルームや生徒が掃除をすることなど)
・しかし、精神形成を義務教育の専らの目的とすべきではない。むしろ家庭の中で身につけされるのが本来の姿ではないのか。


講評:
今回は教育という多面的なテーマを経済政策の視点を交えながら議論しました。予想していたよりもたくさんの方にご参加いただき、教育問題への関心の高さがうかがわれました。良く言われることですが、資源の少ない日本にとって優秀な人材は競争力の源泉です。これまで日本人は「勤勉で読み書き能力が高い」という評価を受けてきましたが、経済が成熟化しかつグローバル化が進む中で必要とされる能力はこれとは少し異なるものだと感じています。今まさに従来の「勤勉・読み書き能力モデル」を脱皮し、新たな人材像を模索する時期に差し掛かっているのではないでしょうか。
我々の活動も社会教育の一環としてやっている側面もございます。今後も、教育というテーマについては追求をしていきたいと思います。

(岩本)


すでに義務教育、高等教育を終えた参加者たちが多かったにもかかわらず、教育についての議論は大変盛り上がりました。将来の世代のことを真剣に考える人達がこれだけ多いということに胸が熱くなりました。
私たちの班で大変興味深かったのが、日本が競争で勝ち抜くのに英語学習を重視すべきという意見に半信半疑の方が多かった点です。結局英語は道具にすぎず、クリエイティブな能力や、それぞれの分野の専門知識がなければ、「ただ英語の出来るだけの人」になってしまい、代わりの効く安い人材になってしまうということでした。単純な「知識」という面では、基礎力では日本はそこまで問題が起きているわけではなく、結局足りないのは、「考える力」「応用力」であるいうところで、意見が一致しているようです。
日本の学校教育では、ずっと前からこの点が指摘されていましたが、一向に改善される余地がないという現状を、より一層掘り下げて考えてみる必要があると感じます。
(山田)

今回の論点4では日本の教育の長所、短所を議論しましたが、日本の教育のよい面というのは自分が認識できていないだけでもっともっとたくさんあるような気がしています。教育の長所が見えればそこから日本が世界の中で取るべきポジショニングも見えてくるかもしれません。例えば参加者それぞれが、小学生のころから振り返って自分が受けた教育のよかった点を洗い出すワークをして、それをシェアしながら議論するなどということができると議論により深みが増して面白いかなと思いました。

(井上)


議論の進行としては教育と格差の定義を曖昧にしてしまったため、参加者の方に最初の議論の切り口をつかみにくくしてしまった面があります。また議論の内容としては単なる教育だけでなく、格差にもフォーカスを当てた意見が数多く見受けられました。また教育に関しては機会の平等や選択肢を狭めない事を重視する意見が多かったようにも思います。井上さんと同じ意見ですが、論点に沿って議論するほか、もう少し個々人の背景をもとに教育の在り方をお互いに話すと言う方法を取ってみても面白かったかも知れません。

個人的には小学校からずっと公教育を受けてきて、塾などをほとんど利用せず、自宅浪人していたため、勉強は自分でするものであるという考えがあり、「教育は与えられるもの」という感覚はあまりもっていません。
今回の討論の総論としては、だれしもが経験する「教育」がテーマだったため、参加者の方の意見も人間としての背景を感じさせる物が多く、大変充実した議論だったと思います。
(三好)

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