ありがと
素敵なお婆さんですね
私も優しい人になりたいです
あたしもこのお婆ちゃんのようになりたい…
「そこにいるのは誰？」
気付かれたか…
誰もいないと思ったらお婆さんの声が奥の部屋から聞こえた。
声は聞こえたがこっちに来る様子はない、動けないのか？
そう思い声のする方を覗いてみた
そこにいたのはベットに横になったお婆さん。
お婆さんは顔だけこちらへ向けていた。
寝たきり？
「誰も怒らないからこっちへ来なさい」
こっちへ来いって？
逃げた方がいいはずなのに焦る気持ちはなく、お婆さんの方へ向かった。
「あんた泥棒さんかい？」
「はい泥棒です、お婆さんのお宅から少しお金をわけてもらおうかと」
「あぁそうかい」
そう言うとお婆さんは黙ってしまった。
どうしていいかわからずお婆さんのベットの脇まで近付き、顔を覗きこんだ。
「どうかしたのかい？」
「お婆さんは泥棒が家に入ったのに怖くないの？」
「あんた、そんな優しそうな顔しておいてよくそんなこと言うね」
そう微笑まれてしまった。
「手を貸してごらん」
すっかり面食らった僕は素直にお婆さんに手を差し出した。
お婆さんは力のない手でそっと僕の手を握る。
「お金を騙し取られたんだね…」
えっ………
「辛かったんだね、信じていたんだものね、あんたは優しい子だよ。そのお金がないとあんた行きたかった学校に行けないんだろ？好きな物を持って行っていきなさい」
お婆さんはそう言うとまた微笑んだ。
気付くと涙が流れ落ちそうなっていた。
もう信じて傷つくことのないように心に蓋をした。
そして誰も信じない騙される方が悪いだけ、そう思い生きて行こうと決めた気持ち。
両方が崩れていく。
「私はもういつ迎えが来るかわからないんだ、あんたみたいな優しい子に会えて嬉しいんだよ」
「お願いだから僕を優しいだなんて言わないで」
涙を堪えながら必死でそう言った…
「そこの引き出しを開けなさい」
「えっ」
「いいから開けなさい」
そこには通帳と印鑑があった。
「持っていきなさい、私はもう使わないんだ。どうせ娘達にそのうちつかわれるんだよ」
また微笑んだ
お婆さんの微笑んだ顔はほんとに優しくて一度気を緩めたら涙が止らなくなりそうになってしまう…
僕はそれを抜き取ったフリだけしてお婆さんに素っ気なくありがとうと言った。
お婆さんはまた微笑むと「今日は娘が会いに来てくれるんだ、そろそろ行きなさい」
と言うと、もう眠ったのか何も言わなかった。
「ねぇお父さん、なんでここで車止めたの？？」
12年が経ち、偶然通ってしまい思わず車を止めてしまった。
あの時の家はなく空き地になっていた…
僕は学校を諦めた。
でも不思議と気持ちは晴れ晴れとしていて後悔もなかった。人を信じた後悔もなくなっていた。
もっとちゃんとしたありがとうが言いたかった…
「ねぇ、お父さんってば！」
「ごめんごめん、ここにはね、昔お家があって、素敵な力をもったとても優しいお婆さんがいたんだよ」
気付かれたか…
誰もいないと思ったらお婆さんの声が奥の部屋から聞こえた。
声は聞こえたがこっちに来る様子はない、動けないのか？
そう思い声のする方を覗いてみた
そこにいたのはベットに横になったお婆さん。
お婆さんは顔だけこちらへ向けていた。
寝たきり？
「誰も怒らないからこっちへ来なさい」
こっちへ来いって？
逃げた方がいいはずなのに焦る気持ちはなく、お婆さんの方へ向かった。
「あんた泥棒さんかい？」
「はい泥棒です、お婆さんのお宅から少しお金をわけてもらおうかと」
「あぁそうかい」
そう言うとお婆さんは黙ってしまった。
どうしていいかわからずお婆さんのベットの脇まで近付き、顔を覗きこんだ。
「どうかしたのかい？」
「お婆さんは泥棒が家に入ったのに怖くないの？」
「あんた、そんな優しそうな顔しておいてよくそんなこと言うね」
そう微笑まれてしまった。
「手を貸してごらん」
すっかり面食らった僕は素直にお婆さんに手を差し出した。
お婆さんは力のない手でそっと僕の手を握る。
「お金を騙し取られたんだね…」
えっ………
「辛かったんだね、信じていたんだものね、あんたは優しい子だよ。そのお金がないとあんた行きたかった学校に行けないんだろ？好きな物を持って行っていきなさい」
お婆さんはそう言うとまた微笑んだ。
気付くと涙が流れ落ちそうなっていた。
もう信じて傷つくことのないように心に蓋をした。
そして誰も信じない騙される方が悪いだけ、そう思い生きて行こうと決めた気持ち。
両方が崩れていく。
「私はもういつ迎えが来るかわからないんだ、あんたみたいな優しい子に会えて嬉しいんだよ」
「お願いだから僕を優しいだなんて言わないで」
涙を堪えながら必死でそう言った…
「そこの引き出しを開けなさい」
「えっ」
「いいから開けなさい」
そこには通帳と印鑑があった。
「持っていきなさい、私はもう使わないんだ。どうせ娘達にそのうちつかわれるんだよ」
また微笑んだ
お婆さんの微笑んだ顔はほんとに優しくて一度気を緩めたら涙が止らなくなりそうになってしまう…
僕はそれを抜き取ったフリだけしてお婆さんに素っ気なくありがとうと言った。
お婆さんはまた微笑むと「今日は娘が会いに来てくれるんだ、そろそろ行きなさい」
と言うと、もう眠ったのか何も言わなかった。
「ねぇお父さん、なんでここで車止めたの？？」
12年が経ち、偶然通ってしまい思わず車を止めてしまった。
あの時の家はなく空き地になっていた…
僕は学校を諦めた。
でも不思議と気持ちは晴れ晴れとしていて後悔もなかった。人を信じた後悔もなくなっていた。
もっとちゃんとしたありがとうが言いたかった…
「ねぇ、お父さんってば！」
「ごめんごめん、ここにはね、昔お家があって、素敵な力をもったとても優しいお婆さんがいたんだよ」
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