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アナタが作る物語コミュの【ホラー・コメディ】吸血鬼ですが、何か?第1部復活編第12話

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賃貸用物件経営、まぁ大家の事だが、この仕事を始めて良かった事が一つある。
毎朝決まった時間に起きて会社に行く必要が無くなった事だ。
時たま、ほんの時たま管理会社から家賃滞納や賃貸物件の水漏れだの雨漏りだのトラブルの報告がある事と、毎月入ってくる家賃の管理、経費の計算や税金の件で会計士と会う以外は基本的に行動を束縛されない。
まぁ、新しい物件を選びその地域で入居者の需要があるかとか購入して手続きをするとかどのくらいまで手を入れるかとか家賃をどのくらいにするかとか近所の不動産会社を回って物件入居者募集の宣伝を頼むとか、入居者が決まるまで少し忙しくなるけど今のところはまだ新しい物件を購入する予定は無いので毎日が日曜日のようなものだ。
雇われている訳では無いので理不尽な事で頭を下げる事も無いし、精神的にも安定する事が出来た。

と言う訳で目覚まし時計のアラームなど、ここ数か月セットしたことが無い俺は午前9時過ぎに目を覚まして朝のコーヒーとタバコタイムの為にダイニングに行った。

マイケル・四郎衛門も真鈴も部屋から出ていないようだ。
テーブルの上の俺のたばこと灰皿が無くなっている。
ははぁと思い俺はマイケル・四郎衛門がいるはずの寝室に行った。
思った通りマイケル・四郎衛門がテーブルに置いたパソコンに向かい何やら色々と検索をして手元のメモに書き込んでいた。
思った通りテーブルには灰皿があり、たばこの吸い殻が10本ほど乗っかっていた。

「マイケルさん、おはようございます。」
「彩斗君おはよーっす。
 いやぁ、色々と覚える事が盛りだくさんだな〜」

マイケル・四郎衛門は既にブラインドタッチを習得して滑らかに早くキーボードを叩いていた。

「寝てないんですか?
 今日は買い物に行くから忙しくなりますよ。」
「われは160年も寝ていたからね〜。
 早くこの時代に適応せねばならんのだよ、ベイべ。
 あまり浮いちゃうと目立つだろ?
 う〜タバコ吸いすぎたかな〜?
 彩斗君、ヒーコー飲もうぜ。」

…なんか話し方が微妙に違ってきている…

「ん?どしたの?ヒーコーってコーヒーのことだろ?
 イケてる奴らはさかさまに言うと載ってたぞ。」
「あの〜放送業界では少し昔にそう話す人達が沢山いたのですが、今はあまり流行ってません…それに、語尾にベイべってつける人あまりいないですね…」
「え〜!そうなの〜?ショックだね〜!メンゴメンゴ〜!」

かなりの速さで現代に馴染んできているマイケル・四郎衛門だが、どうもパソコンからのネット情報に頼りすぎると逆に危険のような気がしてきた。
なんか方向性が微妙にずれている気がする。
これは実際に街中に出てリアルに他の人間と会話を交わさないといけないだろう。

「マイケルさん、コーヒー飲みましょう。」
「あ、その敬語なんだけど、ちょっと不自然では無いか?
 どうもなぁ、われと彩斗君は大して年は変わらんように思うんだが…それとマイケル・四郎衛門と言うのも今の時代ではちょっと…四郎、四郎君と呼んでも良いぜ。
 われと彩斗君はマブダチだからな。」
「そうですね…そうだね四郎君。」
「そうそう、そんなかんじだね〜!」

微妙な違和感を感じながらも俺と…四郎君はダイニングに向かった。

「真鈴はまだ寝ているかな?
 彩斗君、起こしてあげたら?」
「はい…そうだね。」

俺はゲストルームに行ってドアをノックした。
返答が無い。
再度ノックしたがゲストルームは静かなままだった。

「真鈴さん、開けるよ。」

声をかけてドアを開けようとしたが、ドアが10センチほど開いたところで止まった。
室内側のドアノブがひものような物で縛られていて、それが壁のフックに繋がれていた。
ドアの隙間から覗くと真鈴はベッドで寝がえりをして何かむにゃむにゃ言っている。

「真鈴、真鈴さん起きて〜」

俺の呼びかけに真鈴はゆっくりと身を起こし、目をこすった。

「あ〜彩斗君おはよ〜う。
 今起きるよ〜。」

そう答えてベッドに座った真鈴の右手首にひもが縛られていてそれは昨夜マイケル・四郎衛門が、めきめきにひん曲げた鋼鉄製ろうそく立てに繋がっていた。

…この女は処女の乙女なんかではなく何か危険な工作員とかではなかろうか、と俺は感じた。
接近戦の時、ナイフや棍棒等の武器を手首に縛り付けた紐で繋いでもし取り落とした場合でもすぐ紐を手繰り寄せてまた使えるようにすると特殊部隊やゲリラを扱ったドキュメンタリーで見た事がある。

真鈴はベッドから立ち上がり手首の紐をほどいてドアの紐も外した。

「一応用心しないとね吸血鬼と誘拐犯がいる部屋に泊まったから。」

真鈴はそう言ってケケケと小さく笑って顔を洗いに行った。
真鈴が顔を洗っている間、俺はとりあえずコーヒーを淹れて、トーストとハムエッグ、サラダの簡単な朝食を作った。
その間四郎はコーヒーを飲みながらテーブルに置いたパソコンで調べ物をしていた。

「おはようございます〜!
 ひゃぁあ〜お腹が空いた!」

顔を洗い化粧を済ませた真鈴がダイニングにやってきた。

「真鈴、おはよ〜!」
「四郎さん、おはようございます。
 昨日は寝れました?」

四郎はパソコンから顔を上げて手をひらひらと振った。

「いやいや、完テツだよぉ〜!
 いろいろこの世界に馴染まないといけないじゃんか、だからずっとネットサーフィンしてたんだよね〜!」
「…」
「あっそうそう、マイケル・四郎衛門て名前この時代じゃイケてないらしいからこれからは四郎って呼んでね、ベイべ」

そう言うと四郎はまたパソコンに目を落とした。
真鈴はじっと四郎を見た後でコーヒーカップを口に運び、そして俺を横目で見た。
俺は朝食の皿をテーブルに並べながら、真鈴にうんうん判ってるよ、と言う意味合いの相槌をうった。








続く


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