【Information】 前作「High Horses & One Trick Ponies」から約1年半。ノルウェーのインディーポップバンドMonzanoによる待望のセカンドアルバム「By This Time Last Year Every Thing Will Seem Younger」が遂に完成。今作からギターとドラムに新メンバーを加え、以前よりもサウンドの厚みや楽曲のスケールを増した「新生Monzano」の4人が手掛ける本アルバムは、新メンバーと既存メンバーの個性が化学反応のごとく融合され、フレンドリーながらシニカルな一面もある彼らの楽曲がより深く表現されて、リスナーを彼ら独特のポップワールドへと誘ってくれる。北欧ならではの澄んだ空気が生んだSjur Lyseidのハイトーンボイスは今回も優しく透明感があり、シニカルに心のひだを歌う。そして彼らの持つキャッチーでカラフルなメロディセンスに、漂う電子音が絶妙なハーモニーを生み出し、このバンドの魅力を膨らませ、見せつける。
今作では地元オスロで活動する女性バンド「Norma Sass」のボーカルThea Glenton Raknesをユニゾンで起用した「Cold Waters」や、タイトルからしてやられた!と思わせる「Yes, We Can’t」など、バラエティに富んだハイセンスな10曲に加えて、日本盤には2曲のボーナストラックを収録。余す所なく彼らのサウンドを堪能出来る12曲に仕上がった。アメリカの著名なSF作家カート・ヴォネガットの作品の登場人物から名付けたという「Monzano」の楽曲は、シニシズムとニヒリズムを描きながら、どこかもどかしい優しさがあり、ヴォネガットの小説に通じるものがある。ギターアルペジオとシンセサウンドの組み合わせがメリーゴーラウンドを思わせるような1曲目「The Mannequin Wakes」から、Monzano流のゴスペルソングともいうべきラストの「The Buildings, Then The Trees」まで、ひと通り聴き終わった時、何かから解放されたような不思議な満足感が得られるに違いない。