原始仏典（ダンマパダなど）コミュの象

自由訳ダンマパダ
第二十三章『象』

もし他人から悪口を言われても、
戦場で矢を討たれた象が痛みを耐えるように、
怒らないでください。
なぜなら多くの人々は真実を知らないからです。

本当によく訓練された象は、
王様の乗り物になることもできるのです。
そのように他人の悪口に怒らないで、
自分を静かに治めている人は、
最高にすばらしい人です。

よく訓練されたラバもいいでしょう。
インダス河のほとりで生れた血統のいい馬もいいでしょう。
大変たくましく大きいクシャラと呼ばれる象もいいでしょう。
しかし自分の心身をよく整えている人は、
それらの動物よりすばらしいのです。

なぜなら、それらの乗り物では苦しみを乗り越えることはできないからです。
苦しみを乗り越えることができるのは、自分自身の心身をよく整えた人のみです。

欲張りな象は生殖期になると手がつけられないほど暴れん坊になります。
檻に閉じ込めると、何も食べなくなります。
象は象の林が恋しいのです。

食べては寝て、食べては寝てをすることが好きな人は、
太ったブタのように食べ物のことばかり考え肥満になって、
再び迷いが多い生を歩むことになるでしょう。

欲望のままに、快楽を求めるままに、心は今まで迷っていました。
しかし今、わたしは迷いが多い心をしっかりと善い方向にコントロールしよう。
このように決意するべきです。
それは、あたかもは暴れん坊の象を、調教師が落ち着かせるようなものです。

気づきを保つことに楽しみを見出してください。
そして自分の心をよく守ってください。
泥沼に落ちて苦しんでいる象を助けるように、
あらゆる苦しみから自分を救ってください。

もしも正しい思いを持ち、正しい生き方を実践している人を善友として持つことができたら、あらゆる危険から離れ、心に喜びを持つことができ、気づきを保つことができるようになるので、一緒に道を歩くといいでしょう。
しかしそういった正しい思いを持ち、正しい生き方を実践している人を見つけることができなかった場合は、国王が国を捨てて旅立つように、あるいは林の象が一匹で歩くように、そのように、ひとりで歩いてください。

悪友と一緒に道を歩かないでください。
それだったら、ひとりで歩いたほうがいいのです。
悪いことはしないで、足るを知り、慎み深くあってください。
林の象が一匹で歩くように、ひとりで歩いてください。

なにかあった時に、善友は助けてくれるので、喜ばしいものです。
心に満足感があるのは、大きさに関係なく嬉しいものです。
善いことを積み重ねていれば、死をむかえるときにも楽しいのです。
なぜなら、あらゆる苦しみから離れることができたからです。

母がいることは喜びです。
父がいることは喜びです。
正しい生き方を実践している人がいることは喜びです。
本当のバラモンがいることは喜びです。

年寄りになるまで、悪いことをしないで生活をすることは喜びです。
正しい生き方に確信を持つことは喜びです。
真実を正しく知る智慧を持つことは喜びです。
心の汚れをすべてなくすことは喜びです。