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ルイ・ヴィトン哲学コミュのヴィトンの秘密---工場探訪篇

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工場の秘密

20〜21ページ
【テキスト】


工場を取材させてほしいJという私の申し出に対して、クロード・ルイ・ヴィトンの返事はこうだった。
「工場の生産工程にはなんの秘密もない。ただ、われわれが注意を払っているのは材料の厳選だけです。それでよかったらどうぞ」
こうして、ぼくは、ルイ・ヴィトン工場にカメラとテープ・レコーダを持ちこんだ最初の日本人ジャーナリストになった。まことにあっけい関門突破であった。
ルイ・ヴィトンの工場(というよりもルイ・ヴィトン社の本部なのだが)は、パリ北西のアニエール市コングレ通り18番地にある。1860年(万延元年)から同じところにある。7アニエール市というのは、パリ北西で大きくはね返ったセーヌ川を渡ったすぐの市で、人口は8万人。初代ルイ・ヴィトンかがここに工場を築いたのは、当時は地価が安かったからと世思われる。
働いている職人教100名。南フランスのサン・ドナ工場がフル繰菜をはじめると、ここはトランクとか宝石箱、そして特注品をこなす工場となる。職人には親子2代にわたって勤めている人tも多く、また身体障害者もたくさん雇用されていた。

図版キャプション
1880年のルイ・ヴィトン社アニエール工場全景
(注:) 前の通りは、コングレ(議会)通りから、ルイ・ヴィトン通りに名前が変わった。市の観光名所の一つになつたのだろう。


トランクや宝石箱のフレームに使用する板は、東部フランス高地地方マルヌ県産のポプラの木をひいたもの。「なぜ、そこの木しか便わないのか?」と聞くと、「あんまり柔かくなく、、節も少ないから」とクロード・ルイ・ヴィトンが答えた。
つづいて、「5年間天然乾燥したのだけを使う」という。
「日本のピアノ工場あたりでは人工乾燥室を使っているよ」というと、クロードは眉にしわを寄せてこういった。
「そんなことをするのは木を殺すようなものだ。われわれは、木が自然死するまで5年間じっと待っている」
5年も天然乾燥した板しか使わないから、ルイ・ヴィトン杜の板を芯に使用しているハードな製品は量産できないわけだ。急に人気が高まってもおいそれとは増産できないわけである。
要するに、ルイ・ヴィトンの工場では、まず良質の木材を厳選することから工程が始まっているのである。

写真キャプション
上の2点:すでに5年の天然乾燥を終えたポプラの木の板。トランクなどの木枠として使われる・
「ほら、節なんて全部取りのぞいてある」と説明するクロード・ルイ・ヴィトン。
下の2点:板と板の合わせ目は、特製の糊でも接着する。
木枠の組み立て。クギは3cmも打ちこまれる。」

コメント(5)

工場の秘密 (つづき)

22〜23ページ
【テキスト】


ルイ・ヴィトン社では、箱ものことを「堅い製品」と呼び、「ソフトな製品」と区別している。
「堅い製品」をつくるには伝統に根ざした技術の熟練度と細心の細工が必要だと、繰り返し強調された。

木枠の緑にヤスリをかけて丸みを出す左ページ下の工程で、クロード・ルイ・ヴィトンは「手でやらなければできないんだよ」といった。

同様のことは右ページのすべての写真にもいえる。
たとえば、右ページ左下の表地貼りの工程---職人がL.V.の文字がゆがまないように自分の目で確かめながら貼っていた。
その右隣の縁のテープをとめる釘は、内側に1.5cmほど突きぬけて打たれ、それをまた1本1本、金槌で折り曲げるまのである。
「機械ではできないよこんな作業は---」とクロードは強調した。
>ぼくは、ルイ・ヴィトン工場にカメラとテープ・レコーダを持ちこんだ最初の日本人ジャーナリストになった<

常々、当時の世界に名だたる高級ブランド「ルイヴィトン」へどのような
ルートで取材の許可を得たのかずっと気になってました。
工場の秘密

24〜25ページ
【テキスト】


「ソフトも製品」は南フランスのサン・ドナの工場に引きつ(ことになるそうである。サン・ドナはリヨン市から南へ70km、フランスの靴の一大生産地ロマン市に近い。1977年10月からを操業始めて着々と生産量をあけている。ここが完全稼動すると、アニエールの工場は技術者の学校といった存在になるであろう。
アニエール工場は、1945年(昭和20年)当時、60人の職人が働いていた。現在は100人。で、クロード・ルイ・ヴィトンに「生産効率はどれくらい向上したの?」ときいてみた。「3倍くらい?」
答えは「1959年に塩化ビニールを塗った布地を開発して以来、3倍以上だ」とのことであった。しかし、写真でご覧のように、ほとんどが手作業であるから量産というわけにはいかない。金槌でトントンとやっている。たとえば、左ページ左下の職人は、内側に突きでた釘を折り曲げていたが、1本1本丹念にやっていた。親子代々この工場で働いているとか。
工場をまわってみて、まず気がついたのは、手づくりという言葉はこのルイ・ヴィトンのためにあったのではなかろうか、と思うほど手間ヒマかけてつくっているということ。



右ページ左上の写真のような光景はいたるところで目にした。この職人は、突きでた鋲の先をつぶしながら、蓋を支える金具を取りつけていた。右上の工程がそれである。
右下は、裏地を貼っているところ。
クロード・ルイヴィトンに「生産でもっとも留意していることは?」と尋ねたら、「検査、検査、検査だよ」と答えられた。
事実、この工場には、工程途中に何カ所も検査工程が組み込まれていた。
ある作業場で表地を貼りかえていたので、「なぜ?」と質問すると、「印刷インクのシミがあったので」といわれた。目を凝らしてみたが、私にはシミが見えなかった。つまり見え
ないほどのシミも見逃がさないのである。
私たちはよく、「ヨ-ロッバ風の職人気質」という言葉をロにする。それを量産に対比して使う。
しかし、ルイ・ヴィトン杜のアニエール工場で見たかぎり、そんな生やさしいものではなかった。職人の熟達した腕と、厳選された材料と、いそがない精神の混合であった。
時としてそれは非効率にすらみえた。けれども、その非効率は、つくる側にとって不利ではあっても、、製品を使う側には大きなメリットをもたらす。丈夫で長持ちするモノが手にできるかからである。
ヨーロッパの一瓶品の中には、そういったいった製品がまだあるのである。
工場の秘密

26〜27ページ
【テキスト】


26ページ写真キャブション
上:生産責任者である4代目クロード・ルイ・ヴィトンは、宝石箱の中の仕切箱の細かい細工を自慢した。

27ページ
右上:スチーマー(汽船)バッグにはヌメ革をたっぷり使う
同中:アイシャさいうこの娘さんは20歳
同下:アニエール工場の従業員の3分の1は女性である。

左下:ヌメ革の裁断。

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