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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十六章 惨劇8

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十六章 「惨劇」8 惨劇の序章




「大切な人なの…!!」



「…………主……」



声を荒げたレナスに、シオンの言葉が詰まる。



「今この人に何も出来なかったら、あたし絶対に後悔する…!」


「………死んで欲しくないの…この人に……!!」



必死で訴えるレナス。
目に涙を浮かべ、それが一滴流れる。


そして、レナスの意識だけが僅かに流れ込む。
これも、以前受け取った、レナスの血液のせいなのだろうか…?


≪…もう…【置いていかれる】のは…嫌だ…!!≫


その言葉が何を意味するのか、シオンは知っていた。



レナスに、血の繋がらない家族が居た事
そして、ソレを奪われ、失った事

救えなかった事




その後悔の念は、今でも残っている





同じ状況…





…違うのは…




レナスが18の成人の女性である事と

目の前に居るのが、セブルス・スネイプという男という事





戸惑う想いを、必死で抑え込む




まるで、空っぽの空間に放り出された様な…。

自分の中の何かが、抉り取られてしまった様な感覚だった

本当の自分に気付きそうな。
しかし、その想いに蓋をする。



きつく…きつく…


重く、冷たい…

頑丈な鉄の鎖で




感情を抑え込み、理性で動いた



そして…




「…………お好きに……なさい……」



掴んだレナスの腕を、名残惜しそうに放す



冷たく、放ったのは…
気持ちが表に出てきたためか…?




「………約束破って…ごめん…」




背中越しに消え入りそうな声が囁き、すぐさま行動を起こす衣擦れの音。



シオンは少し振り返り、横目で見る。



手首を食いちぎったレナスは、身体に残ったなけなしの血液を、スネイプの体中に注ぎ込んでいる。

手首からドロドロと流れ出る赤が、スネイプの身体に浸透し、傷を癒し、そして消えていく。
レナスがスネイプの頬に触れると、青ざめた顔に赤みが差し、次第に熱も下がっていった。



これで助かる…。
そう確信するレナスは、ほっと胸を撫で下ろす。
その顔つきは、優しく穏やかで…

男なら誰もが魅了されてしまう程に、美しかった…。


それをあえて見ないように逸らしていたシオン。
自身の内を抑え込み、いつもの冷静な彼がいた。
いや、辛うじて繋ぎとめているといっても、過言ではない。


そのシオンは、心の中で悪態をつきたい気分でいっぱいだったようだ。



≪まったく…。このオレが、瀕死の者を放っておくとでも思ったのか…?≫

≪わざわざ血液を注がずとも…、あのまま放って置いても回復していたというのに…。≫

≪まったく…この娘は…≫

≪あぁ…いけないいけない…。これは…まだ秘密でした…≫

≪伝えれば、主も血液を失わずに済んだのでしょうが…それも仕方の無い事…≫



聞き分けのないレナスに半分呆れたが、それ以外の感情が瞬時に入り乱れる。
頭を振り、何とか自身を保つ。


≪ここまで乱されるとは……らしくない…≫


今まで、細い糸の上を歩くかのように、自身と言うものの感情を保っていたというのに。
それをブッツリと切られてしまったような想いだった。
ほんの少し気を緩めるだけで、冷静な自分がどこかへ行ってしまう事に戸惑いがあった。


レナスはと言うと、スネイプを覗き込んでいる。
今にも飛んでしまいそうな意識をなんとか繋ぎとめながら。


「セブルス…」


そして、その呼びかけに応える様に、ゆっくりと瞳を開く。


「セブルス!良かった!」

「……なんだ…騒々しい…」

「寝起きの開口一番出てくるのは、『文句』か…!」

「それが騒々しいと言ってるんだ…とりあえず、その翼をバタバタさせるのは辞めたまえ。」

「これ…あたしのオプションなんだけど…」

「で?ヴァンパイアは…?」

「無視か、このやろー!」


ゆっくりと起き上がるスネイプは、ズキズキと痛む頭を抱えていた。


「あたし、頑張ったんだけどなぁ〜…」


とりあえず、レナスが一通り今起こった話をする。
緊迫していた時間が嘘だったように、ケラケラ話すレナスに対し、冷たくあしらう。
何故か、この光景が微笑ましくある。


嬉しそうに笑うレナスを見ていると、どうしても柔らかい気持ちになるのは否めないシオン。


ここまで来ると、認めざるを得ないのかもしれない…。


≪本当に…らしくないな…≫


フと笑うシオン。


そしてまだ、漫才の様な会話が続いている。


「まだ立ち上がるのは無理…か…」

「えー?もしかして、あたしがセブルスをオンブとかしてくのー?!無理だからね?!あたしだって疲れちゃってるんだからー!」

「だ!誰が君に、お、お、お…」

「冗談だけど…?」

「……………」


≪……これ以上血液を失っては危険かと思ったが…、その元気があれば大丈夫か…≫


「それとも、シオンのオンブ…?」

「死んでも御免だ…!!」


そして、シオンも、ふと思う。


≪………奇遇ですね…オレも、死んでも御免です…≫



ふと視線を走らせる。





そして、心臓が跳ね上がる



何処を見渡しても居ない…





倒れて、縛り上げられたはずの…





ヴァンパイア…【ヘル】…




ケラケラ笑うレナスの声
スネイプのからかう声



2人は気付いていない




そして、その音に紛れ込む…




低い女の声







≪そんなに大切なの…?その男が……≫









決して耳で聞き取る事の出来ない声
レナスも気付き、動きを止める






≪だったら…その男から奪ってあげる……≫





スネイプだけが気付かない
女の影が薄暗い空間に浮き上がる





視線の端でレナスが捉え、咄嗟に動く



「危ない……!!!!」



シオンの視線が向いたとき、スネイプに覆いかぶさるレナスの背中があった


その時には、既に動いていたシオン
だが、間に合わない


一瞬の出来事



スネイプは、何が起こったか解らず、レナスの髪が顔にかかる隙間から見た




そして…




レナスの背中に衝撃があった





大きく裂ける






現れたヘル手から返り血が滴る





ボトリと音を立てて転がる黒い物体





レナスの顔が歪み




左腕で、自身の右の肩を押さえ、うずくまる






そして…








「ぅあ゛ああぁ゛ぁぁああ゛ああぁぁぁあああ゛あぁぁぁぁああああ゛あぁぁぁぁああ゛ぁぁあぁああぁぁあああああ゛あああぁぁぁ゛ぁぁあああ゛ぁぁぁああ゛あぁぁぁああああ゛あぁぁぁぁああああああああぁぁぁぁああ゛ああああああぁぁ゛ぁああああ゛ああ゛ああああああぁぁぁぁあああ゛あああああぁぁぁぁ゛あああああ゛ぁぁぁぁああ゛ああああぁぁぁあああああぁぁあぁ゛ぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁあああ゛ああああああぁぁぁぁあ゛ああああああ゛あああああぁ゛ぁぁぁぁああああぁぁ゛ぁああああああああ゛あああ゛あぁ゛ぁぁ゛ぁぁぁぁぁあ゛あああああぁぁぁ゛あぁぁ゛ぁぁぁぁぁあ゛ああぁあぁぁぁあ゛ああぁぁあぁぁ゛あああぁああああ゛ああぁあああ゛ああああ―――――――――っっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!」







反響によって更に増幅した音
どれほど痛烈な痛みかを物語る




うずくまった反動で仰け反り、それでも悲鳴が止まない




床に転がり、のたうちまわるレナスの身体




一瞬、静止した…。シオンも、スネイプも





「あらあら…可哀想に……」




女の声だけが響く



「さぞ痛いでしょうね…?」



まるで楽しんで居るかの様に、笑う女



そして、時が動き出す
シオンも、スネイプも…



「レナス……」



スネイプは、床に転げまわるレナスを抱きかかえる。
腕の中にいる少女は、血反吐を吐き出し、痙攣を始めた。
瞳孔が開き、焦点が合わない。
喉の奥で血の塊が呼吸を妨げ、息をする度にゼーゼーと妙な音を立ててる。
そして、ソレが不規則にそして素早く行われている。
背中に触れた手を確認すると、生暖かいヌル付いた血液が、ベッタリと付着している。



そして、始めてスネイプはレナスの状態を確認した。
避けた背中、あるはずの物が一つ足りない。





恐る恐る視線を向ける。
転がった黒いモノに…




よく見慣れたモノ

しかし……
世にも恐ろしく…

そして、おぞましい光景だと思った…




今の今までレナスの背中で踊っていた

右側の翼が引きちぎられ、そして転がっている



「ヴァンパイアの翼は、全身の神経が集中する箇所。少し傷付くだけでも、死にも似た痛みを伴う。」


「同時に…、翼はヴァンパイアにとって、生命エネルギーをコントロールする、いわば人間で言う、第二の心臓や脳と同じ急所。アストラル体で出来た翼は、再生する事も叶わない。」



「大切な人を守って、大切な【一部】を失うなんて…」


「…愚かな…姫君だこと…」




「「貴様ぁぁぁあああ――――!!!!」」




ついに繋ぎとめていたものがキレた


杖を構えるスネイプ。
翼をむき出しにし、剣を構えるシオン。


ほぼ同時に攻撃を仕掛けたが、ひらりと交わされ、空振る。


「残念ね…?もう、貴方達の攻撃は当たらないわよ…?」


不敵に笑ったヘルの顔。
今まで見ていた顔と雰囲気が違う。


それは…右側にあった顔の紋様が右半身に広がり、更に瞳がどす黒く変色し、犬歯が数倍長く伸びていた。


レナスと同じ様に、ヘルもヴァンパイアの力を開放したのだ。



「片翼とはいえ、翼を失ったヴァンパイアに待つ運命は…」



【破滅だけ…】





ギリギリと睨むスネイプとシオン。



「早くお終いにしましょう?ナイト様達。」



ヘルの言う現実が、どれほど重いものか、2人は知っている。
今まさに、レナスが命を落としかけているのだから。



「一生懸命に手当てをすれば、あるいは助かるかもしれないわね…。ゴキブリ並みの生命力の姫なら…隕石がぶつかるくらいの確立で…。」



「助けて差し上げたら…?貴方達はそのためにここへ来たのでしょう?」




不適に笑うヘル





「血族の力を解放した私を…退ける事が出来たら…ね…?」







【もっとも……貴方達にそれが出来るとは思えないけれど……】






****続く****

コメント(4)

クラウドさん

なんといいましょうか…謎だらけなもので、
それが売りなので、難しいかもです( ̄ー+ ̄)ニヤリ
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いexclamation ×2exclamation ×2exclamation ×2exclamation ×2exclamation ×2

読んでるだけでゾッとしました…

レナスって腕の骨折っても平気な顔してたのに…

あんなに叫ぶだなんて…



頭の中が真っ白になって…
痛くて、何を書いてるのかよくわかりません


笑ってたのに、今の今まで笑ってたのに…


惨劇ってこう言うことだったんですね…泣き顔泣き顔泣き顔泣き顔泣き顔泣き顔泣き顔
璃っちゃん

私も書いてて痛かったよ…(ToT)

というか、そこまで痛い思いをしたこと…あたしもあるのかな…←あるっちゃある

本当の惨劇は…
これからかもしれない…

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