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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十六章 惨劇6

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十六章 「惨劇」6 反撃



「反撃開始…みたいな…?」


杖を取り出し、左手で構えると、飛び上がったシオンがその隣に着地する。
そして、レナスが守るように立つその後ろには、気を失ったスネイプが居る。

口にしたい言葉が山程あったが、最初に出てきたのは、隣に立つ女性を案じる言葉だった。


「大丈夫、ですか…?」

「見てわかんないのか?ぶっ倒れそうだっての…」


いつもの皮肉があったものの。
既に出血は止まり、痣も薄くなっている。ヴァンパイアの血が瞬時にレナスを回復させたようだ。
倒れそうなのは、流した血液の量を考えれば当然なのかもしれない。

とりあえずは胸を撫で下ろしたシオンは、二の次にしていた質問を繰り出す。


「スネイプ殿は…?」

「息はある。けど、早く手当てしないと…」


背中の足元で気を失った人物もまた、流血をしている。
ゴーレムの握力によって、全身の骨を砕かれたのは間違い無い。
骨が内臓を突き破っていたとしたら、それこそ一刻を争う。


シオンの脳裏には、何故こうなったのかという、自問自答が繰り広げられる。常に冷静なシオンが冷静になりきれずに居た。


いけ好かない、嫌っていた存在。
しかし、彼は逸早くレナスの元に駆けつけ、救った。恐らくレナス自身も自分を責めない筈が無い。
ましてや、死なせる様なことがあっては…。


主人の守りたい物を守れなくて、何が使い魔か…?




≪死なれては…迷惑だな…。≫




一方、ゴーレムは2本の腕を失い、再び再生を始めた。


「シオン、余計な事考えなくていい!」


まるでシオンの考えを察したのか、レナスが一括。
驚いた彼に、続けざまに言葉を投げかける。


「で…?動けるか?」

「………多少なら…」

「なら、隙を見てセブルスをマダムの所に連れて行って欲しい。」

「……貴女は…?」

「デカブツと、ヴァンパイアは、あたしがヤる。」

「一人で相手をするおつもりか…?!」

「あたしを、誰だと思ってる?」


目を細め、不適な笑いを浮かべる。
顔にある成長してしまった紋様とあいまっての雰囲気といい…。とても、いつものレナスとは思えない。


これが、レナス以外に持ち合わせることの無い、【覚醒】なのだろうか…?


だが…流石に止めようとする。


「レナス、いくらなんでも…」

「さっきから、レナスレナスって、呼び捨てにするってのは、一体どういう心境の変化だ?」


睨む様に顔を向けて来る少女。
そういえば…。などと、自身でもそれに気づいていなかったシオンは、一瞬言葉に戸惑った。



「まぁ、でも…」




静かに繰り出されるレナスの言葉。





「そうやって、名前呼ばれるの…、嫌いじゃないっすよ?」





照れくさそうな
それでいて、素直なレナスの笑顔があった。




それを、見たシオンの中に、柔らかく暖かなものが広がっていく。



紋様が色濃く滲み出て、いつもと違う雰囲気を携えようとも、例えヴァンパイアの血が流れていようとも、それが彼女を蝕んでいようとも。


レナスはレナスなのだ。と、再度改めて思うのだった。


「…まったく……」


貴女という人は…。


シオンがフッと笑った時には、既にレナスの瞳には【敵】しか映っておらず、その敵に向かって言葉を放っていた。


「時間がない。さっさと終わらせよう。」

「生意気な…!」


ギリギリと睨むヘル。
しかし、その表情が強がりとも取れる笑みを携えていく。


「素晴らしい潜在能力ね。素敵よ…お姫様…。もったいぶらずに、もっとその力を見せて下さいな…。」


この危機感を楽しんでいるかの様な口調だった。巨大な土の人形の肩から翼を羽ばたかせ、飛ぶ。


「少し…本気で行くわよ…?」


天井付近で、拳を振り下ろすと、ギラギラ光る光の刃が現れた。
同時に動いたのは、土で出来た巨大な人形。


「全身を貫いて、押し潰してやるわ!」


無数の刃がレナスめがけ降り注ぐ。
とても、防ぎきれる数ではない。
同時に、振り下ろされるゴーレムの巨大な平手。


鋭い目つきで見据えたままのレナスは、その場を動こうとしない。


「………無駄だよ…」


量の手を広げ、そして放つ。
目を覆いたくなるほどの閃光が包んだ。




次に現れたもの。



次々にレナスに向かって降り注いでいた筈の光の刃。レナスを取り囲んではいたが、測ったようにピタリと止まっている。
そして、ゴーレムの拳までもが、レナスを貫けないまま、静止していた。


「だから言ったろ…。無駄だって…。」


そして、跳ね返す。


「な…!」


ヘルは思わず、腕で顔を覆った。
無数の光の刃が、次々とヘルに向かって飛んでいく。

衣服を裂き、腹、胸、脚、翼、ありとあらゆる人体の箇所を貫き、蒸発したように消えてなくなった。
頬や髪をかすめただけにとどまった刃は、天井に突き刺さり、やがて消えた。


「この…小娘が!!」


怒りに染まったヘルが睨み降ろすが、レナスの姿は無い。
穴だらけになった、衣服と体。
しかし、既に痛みすら超越したヴァンパイア。多少の痛みはあっても、普通の傷では、致命傷に至ることは無い。




視線の端で、捉えた赤い影。


大きな翼を生やし、巨大なゴーレムの目の前で杖を構えていた。






≪可哀相に…。≫



言葉に出さない、内なる声。



≪あの女の血で汚され、操られて…。≫



哀れむような、悲しい声。



≪お前は、このホグワーツの大地から生まれた。私達を敵に回したくは無い筈だ。≫










杖先に込められる魔力。






≪まさか…≫


シオンがとっさに腕で顔を覆う。





そして、レナスの口から、呪文が放たれる。





「ルーモス…マキシマ(光を)!!」






「………?!!!」


薄暗かった空間を劈く、凄まじい光によって、白と黒だけの世界になる。
目をくらまされたのは、ヘル。


「この…!」


完全に視力を奪われたヘルが、腕で顔を覆う。
いくら、ヴァンパイアで、人体に痛みを感じる事はなくとも、視力というものを奪われればどうにもならない。
そう簡単に、視力が回復することも無かった。



あらかじめ顔を覆っていたシオンに被害はなく、彼はレナスの行動の一部始終を見た。



目がくらんだとしても、ゴーレムは数本の腕を振り回す。ひらりひらりと交わし、杖の握られた左手を突き出し、巨大な拳に向かって唱える。



【ボンバーダ…マキシマ(砕けろ)!!】



粉々に砕ける、ゴーレムの腕。

振り下ろされる度に一本、そして、また一本。
砕かれる腕がボトボト落ち、ついにはすべての腕を失った。


障害物がなくなった所で、レナスはゴーレムの巨大な顔の前に出る。

杖を持ち替え、左腕をゴーレムの額に深く深く埋める。
粘り気のある、ねっとりとした泥が、レナスの腕にまとわりつくが、瞬時に引き抜く。



額を蹴って飛びのき、地表に着地する。



≪速い…≫



その流れるような、華麗とも呼べるスピードに、魅入る。
ものの数秒としないうちに、それは行われたのだから。


落とされたゴーレムの腕が再び再生をし始めた時。


「この…!殺してやる!!」


怒りに狂ったヘルが目を擦りながらも、レナスを捉え睨みつける。


「まぁそう、熱くなるな…。」


ニヤリと笑うレナスが、左手に握るものを突き出す。


「ソレは…!!」

「コレが無ければ…【この子】が暴れることも無くなる…」


レナスの拳の中に握られていたもの。
薄汚れ、土と泥がついた布。そして其処には、【emeth】と血で書かれた文字。


腕にある物をひらりと舞わせ、ソレに、杖を向ける。




【セクタムセンプラ(切り裂け)!】




杖先から飛び出た刃が、布を2枚に裂く。




ひらひら舞い落ちる2枚の布に書かれた文字。




【e】




そして






【meth】(死)






見事切り離し
そして、零した言葉。





【 あるべき場所に還れ 】





止まった空間


時間




一秒が何時間にも感じられた




そして鳴り響く






核を失った人形が音を立てて崩れ
レナスの足元にまで広がり行く、土や泥




「………お帰り……」


うつむき、床に向かって囁いた。


瞳を閉じ、足を汚していく泥の感触を、しばし感じる。
泥は冷たく、ヌルついていた。怪我を負ったレナスの素足には、痛みさえ走らせるものだった。
しかし、レナスにはそれが心地よくさえ感じたのだ。


何度も何度も心の中で呟く。



≪…お帰り…皆…≫



「この小娘…!よくも私の人形を…!!」



宙にいるヴァンパイアを、鋭く睨みあげる。




「あんたは、私の大切なものを傷つけ…、そして、このホグワーツまでもを踏みにじった…」




そして、再び、黒く大きな翼を広げる。




「あたしは、絶対許さない…!!」




思い切り踏み込み、床を蹴る。



瞬時にヘルの数センチ先へ移動する。
余りにも一瞬の出来事。
ヘルは数センチ先にあるレナスの翡翠の瞳を見ていた。
容易に間合いに入り込まれてしまったヘルが反撃を狙うが、遅かった。

その場で一回転し、遠心力を貯え、ヘルの首を狙う。
全身のあらゆるバネを使って手刀を振り下ろした。


うめき声さえも聞かぬ間に、光の速さで落下していくヘル。
地面との衝突で、玩具の様に弾む体から、鮮血が噴出す。


「くっそ…ガキ…!」


すぐさま起き上がったヘル。しかし足元がおぼつかない。
何事だと、自身の足を疑ってかかる。


「な、…何故…?」

「どうして立てない?って顔してるな?長年生きすぎて、寝惚けたか?」


ひらりと着地したレナスが、ヘルに歩み寄った。


「ヴァンパイアは痛みを感じない。でも、神経系統がイカれれば、立つ事だって出来ない。さっきの目くらましが良い例だろ?」

「なに…?」

「それに…さっき、セブルスに遣ってくれちゃった事を、そっくりそのまま返しただけ。」


床に突っ伏したヘルと、レナスが睨み合う。


「こんな事で、私を倒したと思うな!」


翼を羽ばたかせ、起き上がりざまに長く鋭い爪を振りぬく。
しかし、レナスはソレを交わした。


わき腹付近の制服をもぎ取られ、素肌が露になる。


「懲りないな…お前も…」


飛び上がり、再びヘルの間合いに入る。
赤く長い髪がたなびき、綺麗な弧を描く。

容赦なく振りぬかれる蹴りが、ヘルの体を何メートルも吹き飛ばす。

抉れた壁をさらに抉り床に伏す。
それでも立ち上がろうと力を込める。


「こんな…」


拳を握り地面に爪を立てる。


「こんな筈…」

「【こんな筈じゃなかった…】か?」


瞬時にレナスはヘルを詰める。
余りにも速いその動きは、ヘルには捉えられないでいた。



目の前に立つレナスに、長く伸びた爪を向けるが向け、貫く。
しかし、あっさりとその腕を掴まれてしまった。





そして冷たく、凍ったような瞳を向けるレナス。





「無駄だよ…。あんたは…」





「今の私には、勝てないから…。」






****続く****

コメント(4)

お帰り…

くぅぅぅぅハート達(複数ハート)ハート達(複数ハート)ハート達(複数ハート)ハート達(複数ハート)ハート達(複数ハート)
良いですねハートハートハート
レナスがどれだけホグワーツを思ってるかが解ります目がハート目がハート目がハート目がハートハート達(複数ハート)ハート達(複数ハート)ハート達(複数ハート)ハート達(複数ハート)ハート達(複数ハート)

レナスがヴァンパイアを仕留めれば、トラウマが無くなりますねexclamation ×2exclamation ×2exclamation ×2exclamation ×2exclamation ×2
がんばれexclamation ×2exclamation ×2exclamation ×2exclamation ×2
負けるなexclamation ×2exclamation ×2exclamation ×2exclamation ×2exclamation ×2
クラウドさん

あたくしも思います(>_<)そこは、S心出さんでいいから(ToT)みたいな…

しかし、きっとレナスは、これがレナスなんだろうなぁ…なんて思います。←意味深(笑)
璃っちゃん

ホグワーツ思いのレナスは、やっぱ恩を感じてるのだろうねo(^-^)o

レナスは時々、動物や人間だけでなく、魔物やら、植物にも
今回の様に、土や岩にまで、人と同じように接する時があるけれど…これには彼女の潜在意識レベルの思いがあるのだと思う。
だから、お帰り。って言ったのよo(^-^)o
それは、また追々ね(*^_^*)


レナスがヴァンパイアに対して恐れる事がなくなれば、きっと今よりものびのび生きられる。私もそう思う。

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