ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十六章 惨劇3

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十六章 「惨劇」3 守護



「答えは…NOだ…!」


光線を放ち、そこで杖を構えていた人物。
杖を構えたまま、レナスの隣へと素早く駆け寄る。


「大丈夫か?!」


自分より細い肘を掴み、力強く立たせる。
しかし、当のレナスは、自身の足で踏ん張り、腕を振り払った。


「何しに来た?!」


まるで敵を見るような目付きで食ってかかる。


「誰が…助けてくれって言った…?あんたには関係無い筈だろ!」

「待て…」


巻き込みたくはない。
その想いがレナスを突き動かす。


「私はアズカバンに入る囚人なんだ!助ける価値なんて無いだろ!巻き込まれにわざわざ来て、バカじゃねぇのか!どうかしてる!!」

「話を聞けっ!!」


今にも暴れだしそうなレナスの両腕を鷲掴み、無理矢理自身に向かい合わせるスネイプ。


「痛っ…放せ!」

「…?腕を見せろっ!」


嫌がるレナスの左の袖を捲り上げる。


「っ…?!」


スネイプが目にしたのは、痩せ細ったレナスの腕。
間接以外の部分でへし折れ、青く変色していた。今出来た傷ではない、数日放っておいたような痣。


「…こうまでして守りたかったのだろう…?」


そして、全てを察する。
この腕は、ギルガの為に負ったものなのだと。


「放せってんだよ!」


掴んだ腕を無理矢理引きがはす。
しかし、スネイプは一瞬の隙を突き、今度は二の腕を掴む。


「ダンブルドアは、早朝、マクゴナガルと共に魔法省へ向かった。お前をアズカバンへ行かせぬ為だ。」

「あ゛ぁ゛…?」

「決して誉められ事では無いが、【お前がした事】は全て解っている。」

「………え…?」


睨みあげていたレナスだったが、驚いた表情で目を見開く。


「全てを手繰り寄せた。お前が何を考えここに留まり、何を思いアズカバンへ行こうとしたか…。全てはギルガ・ディバインと、このホグワーツの為だろう。そんな事にもたどり着けぬ我々と思ったのかね?」

「…なんで…それ…」


レナスは、息を呑んだ…。
言うなと命じたコウモリが頭を過ぎる。


「シオンが…言っ…」

「あのコウモリは、一人で気づいていた。我々が【真実】を手繰り寄せる事をな。」


え……?


「酷く愚弄された気分だな。お前に翻弄される我々には、何の説明もせずにお前の元に向かった。解って居たのなら、何か言えば良い物を…!」


シオンが言ったんじゃない…?


「真実を知り、是が非でもお前を救い出そうとしている者がいる!!ダンブルドアを初め、ディバイン、フルーウェーブ、あのコウモリもだ!」


皆…知ってる…?
そんな…。


ギルや、アルまで…?


この人たちは…。
守ろうとしてくれてるの…?


あたしを…?


こんな…あたしなんかを…?



「それにだ。こんな場所でで死なれては迷惑極まり無い!!我輩の恥でもある!よって、死ぬ事は死んでも許さん!」



バカだな…
あたし…何の為に頑張って来たのか…解らないじゃん…。



「ほんと…皆、バカだよ…揃いも揃って……。」


こんなあたしの為に…。


痛みに顔を歪めながらも、不器用に笑うレナスだった。



「バカはどっちだね?」

「うん…。……そう、だね…。」


そっと目を閉じ、柔らかい暖かな思いに委ねる。


「わかったら、さっさと構えろ。」


スネイプは、ローブの裾から引っ張り出し、レナスに向かって放る。

目の前に飛んできた物を手にする。


「これ…あたしの…」

「杖だ。」


動かない右手を添え、左手で力強く握る。


「でも…あたし…魔力なんか…」

「レナス。自分を信じろ…!」


既にスネイプの視線は、大きな岩へと向いていた。
レナスも急いで視線を向けると、グイグイと岩が押されていくのがわかる。




そして





大岩が揺れ、ゆっくりと浮遊する。
そして、姿を表す赤い髪の女。


「酷い事してくれるわね…。服がボロボロだわ…。」

「随分頑丈だな?身体に風穴をあけるつもりだったのだがな?」


顔を出し、立ち上がったヘル。
ゆらゆらと立ち上がり、スネイプに眼光を向ける。しかし、そのまま不気味な笑みを浮かべた。


「へぇ?お姫様を守る騎士(ナイト)様ってところかしら…?」

「手出しはさせん…。」

「面白いわね、餌の分際で!」


余裕の笑み、しかし、押しつぶすかのような威圧を向けるヘル。
流石にスネイプも緊張の糸を切らずに居る。


「ねぇ?先生?姫を渡して下さい。断末魔をあげるほど、惨酷な死に方をしたくは無いでしょう?」

「何度も言わせるな。」

「あら…?おかしな事を言うわね?」


まさに瞬きをする瞬間だった。数メートル先に居たヘルの姿がほんの数十センチの位置にある。




「これは…命令よ…?」




ニヤリと笑うヘル。




「レナス!」



スネイプがとっさに、レナスを庇いその腕で抱く。
ヘルに背中を向けた時



光が包んだ




そして舞い散る、飛び散った赤
生暖かいヌルヌルした赤がレナスの頬を汚す




「セブルス!!」

「身分を弁えなさい。たかが人間ふぜいが…!」



「セブルス!しっかりして!」


スネイプの身体を大きく揺さぶるレナス。
赤く染まった腕が握り返してくる。


「大丈夫だ…これくらい…」

「でも…!」


滴る鮮血が傷の深さを物語る。それでも、何とか立ち上がる。


「随分しぶといのね?まるでゴキブリだわ…。」

「フン…。果たして、本物の害虫はどっちだろうな?」

「……言ってくれわね!」


ヘルからの光線が地を走る。
光の速さが、2人に襲い掛かかった。


「プロテゴ!!護れ!」

「そんなもので防げるとでも思っているの?!」


更に勢いを増す閃光との攻防。
杖を向け、衝撃に耐えるスネイプ。


「じっくり行きましょうか…?」

「ぐっ…」


「セブルス…!!」


放たれ、じわじわと強くなる。



だめだ…弾かれる…!!



防御の魔法を突き破られた。
おもちゃの様に吹き飛ばされる2人。衝突した衝撃によって、再び舞い上げられる砂埃。





「ん…?」





砂埃が舞う先を見据えるヘル。




現れた姿が抱きかかえるのは、赤い髪の傷を負ったレナス。



「今度は…誰なの?」


問いかけを無視し、腕から丁寧にレナスを降ろす。


「遅くなり…申し訳ありません…。」

「……ったく…なんで肝心な時に、直ぐに来ないんだ…!」

「えぇ…オレとした事が…」


そこに立つのは、長身の褐色の肌をした、髪がツンツンと跳ね上がっている男。
まるで、ヘルが見えていないかの様に無視を決め込む。


「それにしても…。」


レナスの頭からつま先まで、視線を走らせるシオン。


「随分…派手に、やられましたね…?」

「うるさい…!お前が一番先に来なくてどうする!」

「とんだ邪魔が…入りまして…。そう怒らずに…」

「怒るだろ、普通っ!!」

「嫁の貰い手が…なくなります、よ…?」

「っるせー!!」


先ほどの緊張感はどこに行ったのか?
にっこり笑うシオンと、目くじらを立てるレナス。
子供のケンカのような言い合いに、ヘルは眉を上げて目を開いている。


「言い訳はもういい!セブルスは…?」

「あぁ…あの者なら…」


シオンが向ける視線の先をレナスが追う。


「我輩の扱いは随分ゾンザイなのだな?」


岩の壁に激突することなく、宙に浮いている。
しかし浮いたまま、降りてくる事がない。


「お助け申し上げただけでも…感謝して頂きたいです、ね…?」

「助けてくれといった覚えは無い!」

「ほぉう…?そのまま…浮いている事を…ご要望か…?」


シオンの嫌味とも取れる言葉に、唇を噛むスネイプ。


「シオン、頼むから、セブルスを降ろせ…」

「………御意…」


面白く無さそうに、指を鳴らす。
やっと、浮いた足が地に着いたとたんに、睨みつけるスネイプだった。


「さぁて…、遊んでいる場合では…ありませんぜ…」


腕を組んだヘルに向き直るシオン。


「舐められたものね、私も…。」


柔らかいとさえ思えた空気が、一挙に緊張感を携える。


「ヴァンパイア…ですか…。」

「へぇ?さっきのナイト様に比べて、貴方の方が可愛い顔をしてるじゃない?」


ニヤリと微笑むヘルは、自身の長い爪に舌を這わせた。


「姫を渡すのなら、可愛がってあげても良くってよ?」


余裕の笑みと、艶かしい身体の仕草。大人の女を演じるヘル。



「残念ですが…何百年も生きている【年増】に、興味はありませんので…。」

「何ですって…?!!!」




―― 玉砕 ――



「虫けらが!!」


閃光が稲光を放ち、シオンに襲い掛かる。
それを、ひらりと交わすと、閃光が壁を抉り取る。


地面が揺れるほどの岩が崩れる。
足取りがしっかりしているスネイプとは違い、レナスはバランスを崩しかける。
そのレナスを支えるスネイプだった。


シオンは、一歩飛びのき、スネイプの隣に立つ。
その深紅の瞳でヴァンパイアを捉えたまま。


「スネイプ殿。オレが相手をします。貴方は全力で、主を護ってください。」

「何を言う!狙われているのはレナスだ!レナスを逃がす事が先決だろう!!」

「ちょっとまって…私は逃げるつもりなんて…!」


冷静なシオン。怒鳴るスネイプ。その2人に挟まれる形のレナス。
感情が完全に交差する。
そして、シオンはスネイプに言葉を投げる。


「お察し戴けませんか…?」

「何…?」

「このホグワーツには、他の生徒も居る。もし主を逃がしたとあれば、このヴァンパイアは生徒達を狙う。それは…」

「………レナスが望む筈が無いな…。」


シオンとスネイプが同時にレナスを見る。


「逃げるつもりはない!」


力強く頷くレナスに対し、男2人は、フッと一瞬柔らかい笑みを向けた。
そして、同時にヘルに向き直る。



両手を高く掲げるヴァンパイア



「逃げないとは良い心掛けね。けれどもう遅いわ…。」


ボロボロになった衣服の袖を千切る。


「いけない……!」


床を蹴り、ヘルに向かい突進するシオン



時がゆっくりと流れた



ヘルは自身の爪で手首を抉る
流れ出る赤を指に絡める


千切った布に赤く染まった指を走らせる



宙から現れた小さな剣がシオンの手に収まり




薙ぎ払う




しかし遅かった




シオンの攻撃をひらりとよける


そして、耳元で囁く







「地獄を…見せてあげる…」







文字の書かれた布を、床に落とす






「しまった…」





シオンの言葉と同時だった。




地震以上に、ぐらぐら揺れる足元




「何だ…?」

「これって…まさか…!」



揺れる地面に視線を走らせるスネイプ。
支えられながらも、目を見開き、布を見据えるレナスの額を汗が伝う。




そして、突然叫んだ。







「シオン!放れろ!!」







布のあった場所から、大きく下がるシオン。
地に膝をつき、布を見る。



「厄介ですね…。」



辺りの水滴、泥、土、岩。
その全てが蠢き、布を覆い隠して行く。



「何だ?何が起こっている?」


スネイプがレナスに問う。
レナスの険しい顔が、事態の深刻さを物語る。


シオンまでもが、同じような表情をしている所を見ると、最悪の事態とでも言った所か。


「ヴァンパイアは、元々死んでる。遺伝子を残せない代わりに、血液で仲間を生み出すことが出来る。」

「血の抱擁か…?」

「けど、それだけじゃない。もう一つ産み出す方法がある…。」

「産み出すだと…?」


みるみるうちに、布を核とした土や砂が固まっていく。
砂の塊が大きくうねり、徐々に大きく大きく体積を増やしていく。


「なんだ…あれは…!」

「血文字によって産み出される、心を持たない傀儡(くぐつ)!」


現れたのは土で出来た、数メートルもあろうかという大きさの塊。
浮き出てきた手の形が、床につき塊を支える。
腕が押し上げた塊に、大きな裂け目が3つ。
開いた2つの裂け目は、大きな目。ぎょろりとシオンを見る。
そしてもう一つの裂け目が開き、口になる。


「まぁ、可哀想に…。アナタにはこの空間は狭かったみたいね?」


あまりにも巨大なそれは、上半身のみが床から突き出ている。
巨大すぎる為、足が伸びることはない。


口を開き、そこから、聞こえるのは、声と言うより地響きのような音。

トロールの数倍。大きさにして10メートルはあるかという、上半身の化け物が形作られた。


「話には聞いた事があるが…ここまでとはな…」


スネイプの額にも汗が滲む。


「シオン……」


レナスも拳を握る。
いくら出来た使い魔とはいえ、あの巨大な化け物を相手に、只で済むとは思えなかった。


「はてさて…どう…しましょうか…?」


落ち着いた言葉とは裏腹に、その顔は焦りを隠せずにいる。


「フフフ……、貴方の様なゴミに、【この子】が倒せるかしら…?」


笑みを浮かべるヘル。
腕を高く掲げ、叫ぶ。




「さぁ…。苦しみ悶えながら、踊り狂って見せて…?ボウヤ…?」



ヴォォォォォォオオオオオオォオォォォオオオ!!!!!






召喚




ゴーレム




****続く****

コメント(6)

ヲヲヲヲヲ、手に汗握る展開になって参りましたダンヌな!
しらけさん

このヘルもそのうち描かねばならんなぁ〜なんて思ってたら、出ちゃった…。


にしても、2人とも、良いところで現れてくれるのねん。
次回も乞うご期待!←本当か?!
クラウドさん

あれ?それは、ゴーレムは何処にいたか?
何処に行ったか?かな…?居ますよ。

なんていうか…。文章力足りませんが、ちゃんと…。
そして、召喚されちゃいました。ええ、そりゃもう。
ズバババババーーーーンとね!!
なかなかログインできなかった為、遅くなってごめんなさいがまん顔がまん顔がまん顔がまん顔

スネイプ先生ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)素敵すぎますぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ハートハートハートハート


シオンは美味しいところ持っていきますね顔(口笛)顔(口笛)顔(口笛)憎いやつほっとした顔ほっとした顔


にしても…ゴーレムが出てきちゃいましたね冷や汗冷や汗冷や汗冷や汗冷や汗

ゴーレムって、本来は術者が文字に魔力を込めるんですよね?
それをヴァンパイアの手先にしちゃうなんて…ふらふらふらふらふらふらふらふらふらふらグッド(上向き矢印)グッド(上向き矢印)グッド(上向き矢印)グッド(上向き矢印)
すごいですぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)
私には真似できませんほっとした顔ほっとした顔ほっとした顔

緊迫してきました…exclamation ×2exclamation ×2exclamation ×2
スネイプ先生頑張ってハートハートハートハート
璃っちゃん

いいのよo(^-^)o
ゆっくり適当に楽しんでね☆

このセブちんは、私も
にヘラ〜(*^_^*)
ってなるだよ☆

シオンは、昔から【美味しいヤツ】と言うポジションなので…(ToT)


ゴーレムは、昔から有名なモンスターだし、いろいろな文献もあるけど、シンプルに正統派で(笑)

緊迫ムードは、まだまだ続く…かも…?

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

さしゃの二次小説(ハリポタ) 更新情報

さしゃの二次小説(ハリポタ)のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。