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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十二章 特訓と成果14

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十二章 「特訓と成果」14 パトローナス



ギルガの小さな背中に宿るかのような集中力を、レナスは垣間見た。


興味を持った事、好きだと思ったことには、関心を示し、何処までも知ろうとする。
ほんの、些細な…他愛も無い事がきっかけで。


レナスは、内心確信する。


もしもギルガが、いろんな事に興味をもったら…?
その底知れない魔力も然る事ながら、知識に富んだ者へと変貌していくだろう。レナスやアルティア以上の…。

それこそ、ダンブルドアや、クロウディアに匹敵するであろう事が伺いしれる程に。


《こいつ……化けるかもな……。》


腕を組み、小さな背中を見守りながらも、ほくそ笑むかのように口角を上げる。


視線を送るのはレナスだけではなく、アルティアも同じだった。
彼が集中力を高めれば高めるほど、ビリビリと空気が緊張していく。


《ん……?》


レナスが眉をひそめた瞬間だった



凍りついた空気が、まるで背中を突き刺していくかのような重苦しい空気。


息をするのにも困難な程の圧迫。

レナスの隣からも、ぜーぜーという息苦しそうな、喉の音が耳に入ってくる。

視線をアルティアに向けようとするが、それさえも出来ない程に体が強張り動かない。


まるで電気が走ったような体の感覚。
圧倒され、一歩下がろうとしたが、そこで足が動かない事に始めて気が付いた。
苦しい喉元と、胸元を撫で癒そうともするが、腕さえも上がらない。


動けない……。



何が起こってる……?



しかし、何が起こっているわけではない。
それは、ギルガの集中力が発したものなのだと、レナスもアルティアも理解しての事だったのだから。



そして紡ぎだされる…呪文





「【エクスペクト・パトローナム】…!」




上から下に振っただけの拙い杖の扱い。
しかしその扱いとは裏腹に杖先から噴出す、眩いばかりの閃光。




「まて!!」



手をなぎ払い、全身にまとわり付いた空気の混濁を跳ね退け、ギルガに走り寄ろうとしたが遅かった。


光の閃光は、容赦なく稲光し、瞬時に講師2人の視界を奪う。


まるで射殺すかのような激しい光の渦に、必要の部屋全体が飲み込まれた。


先程のアルティアが放った穏やかで囁くような光とは明らかに違う。目に付き刺さる様な、強力な光に、講師達は目を力いっぱい閉じ、腕を翳し、光を軽減する事しか出来ないで居た。





暫しの静寂





頭の奥がズキズキと脈打つ。
あまりにも強い光が視界から脳にダメージを与えた。


「うぅ……。」

「なに…今の……」


呻くような声と疑問。
レナスは、閉じた目を押さえ、痛みを軽減させようと、必死だった。

目頭を押さえ、あるいは掌で軽く押し、目の奥の痛みが少しずつ治まって行く。

やっとの事で開いた右目。
しかし、そこは白い光がぼんやりと渦を巻くだけだった。額には髪が張り付く感覚があるにも関わらず、いつも視界に入ってくる筈の赤みを帯びた髪が視界に入ってこない。

そのぐるぐると巻く渦に、吐き気を催す。
足を地に着いている筈、しかし視界だけがぐるぐる回る光景は、異様なものだった。

やっと右目でものをとらえた。
うっすら見える緑。徐々にそれが、ギルガの髪だと認識できた時に、やっと左目を開く事に成功する。


周りを確認しようと、アルティアに視線を走らせるが、彼女はまだ光の攻撃によるダメージに苦戦しているようだ。






「キィィーーーーーー!!!」



耳を劈く程けたたましい、鳥の鳴き声。


レナスは、まだ完全に回復していない視力で、音のした方に目を凝らす。
まだズキズキとした痛みが治まったわけではない。


しかし、視界に無遠慮に飛び込んでくる、その藍色の翼。



「うそ…だろ……?」



徐々に形を成す。
藍色の翼の正体。


パトローナスだという事は瞬時に解った。



しかし…これは…。




「でかい」



まるで、主人であるギルガを自分の子供の様に広げた翼で包み込む、その仕草。


やっと、瞳を開いたギルガは絶叫する。


「なんだこれぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜!!!」


召喚した本人が一番驚いていては世話は無い…。


多少の頭痛があるものの、完全に回復した視力で目の当たりにするその巨大な鳥。


たった一度、見て触れただけの、高度な技術をようする召喚魔法。しかし、ギルガはそれをやってのけた。


《すごい…。》


ギルガを一瞬見たあと、巨大な鳥をに注目するレナス。

そのパトローナスは、頭の形は鷲に似ている。そこに乗っかった金色の猛禽類独特の目。
全身藍色に包まれた羽根だったが、胸元にだけ、ツキノワグマの様な白い三日月の模様がある。


キィィーーーーー!!


再び、鳴いて見せた。その嘴も巨大。
人一人、子供程度だったら簡単に飲み込めてしまいそうなほど。


以前レナスは、体長4メートルもあろうかと言う巨体をした、トロールと戦った事がある。
しかし、目の前に鎮座するこの鳥はその倍近くはあろうかという大きさ。


一瞬で汗が噴きだし頬を伝って滴る。


必要の部屋自身が、この巨大なパトローナスの出現により、部屋の形を瞬時に変えた。


天井は更に高くなり、広さまでもがまるで野球場のような広さになる。


「こんな奴を引っさげてたってのか…?」


思わずこぼれた言葉と同時に、金色の目がギョロリとレナスとアルティアを捉えた。


その鋭い目付きが更にか細さを増す。




『主人を誑かす者は…貴様かっ……!!』




――――……え…?





声が聞こえた時には遅かった。



巨大な鳥は怒り狂ったかのように、翼を大きく広げた。
その光景と同時に放たれる無数の光
まるで矢や、槍の様に弧を描く。


「アル!下がって!!」


とっさに隣にいたアルティアの手を取り、後方へと飛ぶ。


鳥から発せられた金色の光はザクザクと音を立てて、今レナスたちが立ちすくんでいた場所へと突き刺さる。
まるで引き裂くかのように降り注いだものは、床に刺さったと同時に、その衝撃ゆえ、ビリビリと音を立て、小刻みに揺れている。


何とか交わすが、飛びのき、着地をした際にバランスを崩し、膝を着く。



『去れ!!人間共よ!!』



怒りに猛った巨大な鳥。
頭が割れそうな程の狂気をむき出しにし、襲いかかる。

バチバチと閃光が乱れ動き、宙を引き裂くかのように蛇行し走る。


これは…イナズマ…!!


「待て!話を聞け!!」



叫ぶ様に訴えるレナスだったが、怒りに任せた巨大な鳥は聞く耳を持たない。
鋭く尖ったような金色は、一瞬見開く。同時に、落雷が轟き、爆音と爆風が吹き荒れる。


「レナス!後ろ!」


迫り来る第二撃目が正面からだけでは無いのが、アルティアの言葉で理解できる。
囲まれる、四方から。

しかし、容赦なく迫り来る稲妻は、レナスへと向かい、貫く。身軽なレナスは、辛うじて交わす事に成功する。




「くっそ……。」


避けたはずのイナズマがレナスの腕を掠めていた。
閃光が掠めたにすぎない…。
しかし、レナスの制服だけではなく、皮膚までもを焦がしていた。
焼け焦げた腕を押さえるが、痛みを感じている暇は無い。

巨大な鳥は、無遠慮に第三撃目の準備に入る。


《このままじゃ、体力がもたない。しかも、相手は雷を操ると来た…。しかも喋ってるし…。》


レナスの頭の中でいろんな事が交差していく。一番に優先すべき事…。


「頼むギル!こいつを戻して!!」


《無理だ…このまま説き伏せるなんて…。》


ギルガ本人しか頼みの綱は無い。
出せたのだから、戻す事も出来るはず。


しかし、レナスが見たのは絶望的な現実だった。


彼は、その場にうつ伏せで倒れこみ、気を失っている。
パトローナスは召喚した持ち主が気を失えば当然消えるはず。
にも関わらずこの鳥は消えずに残っている所を見ると、ギルガ自身の魔力のみが放たれている。

彼が未熟なのを良い事に、これ以上暴れ続けては一番危険なのはギルガ自身。


《止めるしかないのか…。コレを……。》


パトローナスをみやる。


《出来るのか…?私とアルティアだけで……?》


そんな問答が頭の中を掠める。


そして再びやってくる。薙ぎ払うかのような爆風と押しつぶさんばかりの無差別の落雷の嵐。
とっさにアルティアの元に走り、彼女を抱きかかえ、痛んだ腕で杖を振る。


「プロテゴ!守れ!!」


間一髪で光の矢と槍、爆風を食い止める。
しかし、どんなに杖に強力な魔力を込めようとも、踏ん張る足は無防備。自然の猛威に敵うはずも無い。
一瞬で、張ったバリアごと後方へと弾き飛ばされる。

とっさにアルティアを庇う。


「ぐっ……!」


彼女を抱えたまま後方の壁へと、まるで玩具か人形の様に打ち付けられ、体がひしゃげる。
背中を貫いた激痛。
吹き飛ばされた事で加速されたスピードに加え、アルティアとの体重2人分。何倍にも強化された衝撃を食らってはいくらレナスと言えども一溜まりも無い。

その場に、ずるずると倒れこんだレナス。
げほげほと咳き込み、制服が鮮血によって赤く斑に染まっていく。


「レナス!」


守られ衝撃を免れたアルティアがすぐさま立ち上がり、レナスを助け起こす。


「しっかりして…!」


その時既に狂気は目の前に迫っていた。
まるでスローモーションの様な、この現実。


しかし体が動かない。


杖を握るのが先か…?
光の矢が到達するのが先か…?


とっさに、レナスをギュッと抱える。


間に合わない…!


レナスを庇うように、身を伏せ、目を閉じ衝撃を覚悟する。



《誰か……!》




声にならないアルティアの声。


祈るように


叫ぶ




―― 助けて ――




****続き****

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