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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十二章 特訓と成果13

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十二章 「特訓と成果」13 司る者


「これって…【ウンディーネ】…だよね…?」


小刻みに震える手で人差し指を、霧の集合体であるパトーローナスに向ける。


「やっぱり!レナスなら知ってると思った〜。」


嬉しそうに頬をパラ色に染め、アルティアが振り返る。

だが、レナスは口をあんぐり開けて、考えを巡らせている様子。
そのだらしの無い口元の事は、本人は気付いてさえいない程の驚きと衝撃。


《有り得ない…。そんな筈…ない…。》


レナスの頭の中で繰り返される言葉。
今度は額に手を当てる。まるで悩み事を抱え込んでいるかのような…。


「ねぇねぇ!ウンディーネって何?!」


頭を抱え、一生懸命に謎を解こうとするレナスの頭の中に響く、知識が薄い少年の素っ頓狂な声。

彼に呆れた視線を向けると、その緑の髪をゆらゆら揺らしながら、アルティアの袖を引っ張っている。


「ウンディーネ】って言うのは、別名【ニンフ】て言われる精霊なの。人間の女性の姿をしてて、【四大元素】の一つで、【水】を司るとも言われているんだよ?」

「うぉ!すげー!!だから髪が濡れてるのか!」


目をキラキラさせて、まるで遊園地で乗り物に並ぶ子供の様に、飛び跳ねるギルガ。
その度に、緑の髪が上下に揺れる。


しかし、彼ははっと何かに気付いたかの様に、その動きを一瞬静止させ、アルティアを覗き込む。


「ところで……ヨンダイゲンソってなに…?」

「お前…解らずに『すげー!』って感心したのか…?」


ガックリと項垂れるレナスからの突っ込み。


「だって、なんか、凄そうじゃん〜!」


再びキラーンと目を光らせる少年。


やっぱり解ってなかったんだね…。
そんな言葉を、飲み込んだアルティアは苦笑いを浮かべる。
ギルガが、四大元素などという言葉を知っているとは到底思えなかった2人。
当然といえば当然か…と、内心諦める。


【四大元素】
別名【エレメンタル】

【ノーム】は土。小人のような精霊で、寿命が長く、知識に富んでいるといわれている。
【シルフ】は風。小さな少女のような容姿に、透明に近い羽根をはやした妖精。
【ウンディーネ】は水。女性の姿をしていて、海に住まい、人間に好意を寄せるものも少なくない。
【サラマンダー】は火。別名『火トカゲ』とも言われている。大きなトカゲの姿をしていて、炎の中で生活するという。

第5番目の元素として、【エーテル】という物資を司る原型が存在する。
このエーテルと、4つの特性の(熱・冷・乾・湿)それぞれが加わることによって火・水・風(空気)・土の四元素が誕生されるといわれている。
このそれぞれの精霊が、エレメントを司り、宇宙はこの4つから成り立っていると言っても過言ではない。



「って…説明難しいよな…?」


頭から、プスプスという音と共に、煙を噴出しているギルガ。
これ以上知識を詰め込んだら、本当にボンっとショートしてしまいそうな程だった。


「難しく考えなくていいんだよ?魔法使いには杖が必要な様に…。土、水、風や空気、火って人間が生活する上で、絶対に無くてはならないもの。それを総称して四大元素って言うってだけだから。」

「おぉ!なるほど!」


アルティアの解りやすい簡単な説明に、ポンと手を合わせて、納得するギルガ。
その光景を見て、レナスが眉を寄せ、いじけたい気持ちに駆られたのは言うまでもない。


「悪かったな!難しい説明でぇ〜!」

「だって、まず【司る】ってのが解んねぇもん!」

「四大元素以前の、お前のお頭の問題じゃん…」

「うぇ!ひでぇ!!」


アルティアの方が…教師に向いてるのかもしれない…。
私…自分が知ってる【知識】の説明をした…。


「レナス、ギル君みたいな子の為に、すこし解り易くしてあげるのもいいかもよ?」


心情を察したアルティアからの、優しく温かい言葉は、レナスの胸の内に広がっていった。

彼女は教師に成るのが目的で、自分に知識を詰め込ん出来た。
それこそ、死に物狂いで。
しかし、【それだけ】では、足りないものがあると、初めて気付かされた気がした。


「そうだよね…。いくら、私が知ってる事を連ねたって、伝わらないんじゃ意味…無いよね。特にギルみたいな子には…。」

「うん…。多分ギル君みたいな子には、難しいかも…。」

「だよね…。ギルみたいな子じゃ、仕方無いもんね…」


アルティアと、レナスが同時にキョトンとしているギルガに、じーっと注目する。


「………なんだよ…その、【こいつ頭悪いからなぁ〜】みたいな目は!!」

「あぁ、100パーセント正確に伝わったみたいで良かった!!」

「うげ!マジレナスひでぇ!MRH!!」

「変な言葉作るな!そして、私の名前を加えるな!」


レナスがギルガの頭を鷲掴む。じゃれ合う様子の2人を見ていて、何とも微笑ましいのだが。


「駄目だよ、レナス。ギル君は好きで【バカ】な訳じゃないんだから…。」


アルティアのダメ押し。


「うっわ…アルティア姉ちゃんが一番ひでぇ!!」


大ショックという表情をしたまま、ギルガがアルティアを凝視する。
当のアルティア本人は、自分が放った、鬼発言に気付いてさえいない様子だった。


「アル…。お前、いま、ギルが【バカ】ってはっきり言ったぞ。」

「えぇぇぇ〜〜!!ごめんなさい!つい…本音が…。」

「アルティア姉ちゃん!鬼だぁ〜〜〜!!可愛い顔してるのに鬼だ〜〜〜!!!アルティア姉ちゃん鬼!!まじチョーAOなんですけどー!!」


鬼というか…天然炸裂のアルティアは、おろおろと困った顔をしている。
そのやり取りに、つい笑いがこぼれる。


先程まであったレナスの中の疑問がスゥっと軽くなった気さえした。


半透明の霧の集合体である女性に、レナスは視線を向ける。
すると、その女性は、自身の波打つ青い髪を玩びながら、レナスに向かい微笑む。

高度な魔法使いであればあるほど、パトローナスも意思を持つ。
アルティアのものはまだ未熟ではあったが、形を具現化し、髪の色と瞳の色がうっすら解り、このパトローナス自身が意思を持っているかの様に振舞っている。

彼女の魔法使いとしての潜在能力は十二分だといえるだろう。


レナスは、微笑を向けるパトローナスに歩み寄り、上から下まで眺める。


「なんで……人の姿をしたパトローナスなんだろうね…。」


まるで、ウンディーネ自身に問いかけるように、言葉を呟く。
そっと手を翳し、霧の集合体である、ウンディーネの頬に触れてみるが、霧は揺らぎ、形を崩した。

すこしつめたい間隔が指先に伝ったが、それは紛れも無く霧に触れた感覚に似ていた。
手を引っ込めると、また霧が集結し、形を元に戻す。


疑問が再び膨らんできた。


パトローナスは獣の姿をしているはず。何故人の姿をしたパトローナスなのか…?


顎に手を当てて、一気に集中する。


「レナス…?どうしたの…?」


突然黙りこくったレナスを心配したのか、アルティアが背中から声をかけた。


「いや…。疑問だったんだけど…。有り得ないことじゃ…無いのかもしれない…。」

「何が…?」

「どうして、ウンディーネなのか…。」


ギルガまでもが、ただ事では無いと感じたのか、固唾を呑んで見守る。


ウンディーネは…魂が無いんだ。だから、人間との間に子供を作って、魂を自分自身に得ようとする。魂がある物に生まれ変わる事を夢見て。


「いわばこのウンディーネも魔物とされてる。神獣、妖魔といった、獣の形をしていなくても、彼女は精霊。だから人型であっても、それは人じゃない。」


パトローナスは、本人の性格や、性質によって時には形を変える。
いわば……パトローナスを見れば、その者が何を考えているか、何を望んでいるかさえも、わかってしまう事もあり得る。


人間に…憧れる精霊…か。


再びウンディーネに視線を向けるレナス。
次に彼女の目に映ったのは、優しい微笑ではなく、どこか物悲しそうな、落とした視線の表情だった。


「あぁ…ごめんね。貴女は…アルティアの守り神…でしょ?落ち込まないで…?」


再び手を翳し、青い髪のパトローナスに触れる。
そのレナスの申し訳なさそうな仕草に、顔をあげ、少しだけ笑ってみせる女性。


「にしても、すごいじゃん!アル!人の姿をしたパトローナスなんて、初めてだよ!」


何かをフォローするかのように、くるりと振り返り、明るく振舞うレナス。


「やっぱ、アルは特殊な才能があるのかもしれないね!!」

「そ、そうかな…?ありがとう。」


レナスの褒めちぎるような態度に、居心地が悪くなっていくような気分のアルティアだったが、そこまで褒められると、なんだか自信つくような気分になるのも事実だった。


「えっと、もう戻っていいよ?ありがとうね。」


パトローナスに向かい杖を振ると。瞬く間に、女性は姿を消した。
辺りには、女性が居た事を物語る、霧の余韻だけが漂っている。





「すっげーーー!!俺にもあんなのが居るって事だよな!!」

「感心してないで、これをお前がやるの。」


レナスが、ギルガの頭を鷲づかみ、向き直らせる。
見本と言うものを見せられ、やる気十分のギルガは、杖を力いっぱい握り。それを振り回して喜んでいる。


「おっし!俺も若いお姉ちゃんがいいな〜。優しそうだったし〜。」

「お前の場合、ねずみとかだったりして…。」

「え〜。かっこよく無いじゃん…。」

「パトローナスの形はそれぞれ違うもの。かっこよさとか気にしちゃ駄目って事。真面目にやらないなら、帰るぞ。」

「わかった、真面目にやるからぁ〜!」


慌てて向き直るギルガ。は、口の中でぶつくさ言いながらも、真面目に取り組む姿勢を見せた。


「今回は、呪文と集中のみ。召喚については考えなくていいからね?」

「うん。わかった!」


講師と生徒という構図が完全に出来上がる。


「呪文は覚えた?」

「バッチシ!!」


親指を立てるギルガ。



レナスとアルティアに背中を向け、杖を握る手に力を込める。



ゆっくりと、瞳を閉じ。



集中する。




彼のパトローナスを呼ぶために、イメージをする。



今までにあった、沢山の幸福な思い出と共に……




****続く****

コメント(2)

ちなみに…

この作品における、パトローナスと、ハリーポッターでのパトローナスの扱いが多少異なります。

あくまで、このパトローナス達の解説は、ハリーポッターには無いものなので、あらかじめご容赦ください。
アルティアのパトローナス。ウンディーネ。

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