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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十二章 特訓と成果10

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十二章 「特訓と成果」10 ひとひら



―― ひらり ――



レナスの頬に触れた、一片のピンク色をした花びら。
それを指先につまみ、視線だけで眺める。



《いったいどこから…?》



上体を起こし、視線を走らせ、辺りを見回す。



―― ひらり ――



今度は髪に触れた。



再びレナスは触れたものを手に取る。
同じ薄いピンク色をした、花びら。


温かい風が頬を撫で、新たに舞い降りるピンク色が、直接視界に入り込む。


どうやら、頭上からだと気付き、レナスは顔を上げる。



《わぁ…綺麗……。》



今まで、何も無かったはずの場所に立たずむ、一本の大木。
しかし、変わっている。

葉をつけているはずの先端一面、ピンク色の花で覆われている。
こんな花は見た事が無い。



《この花…。》



その場に立ち上がり、ひらひら舞い降りる花びらに触れる。



《見たことも無いのに…》



どこか懐かしさを覚える。
掌を翳し、舞い降りる花びらが指の間をするりと抜け出る。



「そこに居られるのは…どなた…?」



背中から聞こえる、透き通った声。
まるで、温かい春の風の如く、それは優しい声だった。


振り返りその人物を確認する。
レナスが着ている白装束と同じ物を身に纏い、それを繋ぎとめるための、腰に巻いているリボンが鮮やかな赤い色をしている。
恐らくは20歳前後と言った頃合だろう。風がそよぐたびに、さらさら靡く、漆黒の長い髪を腰まで下ろした姿が印象的で、肌の色は透き通るように白く、この世の物では無いかの様な、美しい女性だった。


「貴女は…?」


まるで呟くように、囁くように言葉が零れる。
質問してみたはいいが、レナスは、その人物を、昔から知っていた気がした。


「私は、ずっと、ここに居るの…。この木の下に…。」

「この木って……。」


再び大木を見上げる。
知るはずもない、この巨大な木。そして花。


「あら…?その赤い髪…。」


女性は、レナスに視線とめる。


「そっか…、ここへ来てしまったのね…?」

「……?」


まったく意味が解らない。
聞きたいことは山ほどあった。

此処が何処なのか。
この女性は何者なのか。
何故、この女性と同じ民族衣装を着ているのか。

たずねようとした時には、女性の言葉の先が紡ぎ出されていた。


「自分の世界へ、お戻りなさい。」

「待って…貴女は…?!」

「……いずれ…解るわ…。」


黒髪の女性が手を翳す。
光が差し込んだ瞬間、レナスは自分への変化を目の当たりにする。


「服が…」


見覚えのある服。
白いシャツと、赤とオレンジのストライプのネクタイに、黒いローブ。
それは、ここに来る前まで、身に纏っていた、レナスの制服。
彼女は、いつの間にか、白装束から、元の服に戻っていたのだ。


「さぁ…帰りなさい。」

「待って…!!」


瞬く間に、光が包み込む。
薄れていく空間…。


《待ってよ!!貴女は誰……?!》



遠のく…意識が、空間が。



そして、意識の中で囁かれた言葉。



「私は…ここから動けないから……」


視線を落とし、悲しそうに笑う。
更に更に遠のいてしまう女性。


腕を力いっぱい伸ばす。


「駄目!!ここに居たら…駄目!!」


届かない。遠のく。


「腕を掴んで!!早くっ!!」


叫ぶレナスの言葉だが、ただ宙を舞う。




【……彼を……お願いね……。レナス…。】




知る筈も無い、名乗った覚えも無い名。
何故…知ってるの…?



抜け出して…!そこにいちゃ駄目!!





《レナス…》




《レナス…?!》





「レナス!!?」


はっと瞳に飛び込んで来た。


「アル…?」


気付いた時には、アルティアがレナスを揺さぶっていた。
まるで寝覚めの悪い夢見だった気がしたが、ベッドに横になっていた訳でも無さそうだ。


「どうしたの…?急に黙っちゃって…。」


レナスは、言葉を紡いだまま、目を開いたまま、白昼夢を見ていた。
肉体を離れた意識がぼんやりと戻って来る。


「いや…なんでもない…。何の話だっけ?」

「パトローナスの話…ですが…?」

「あぁ!!そうそう!!」


まるで振り払うかの様に、明るく振舞い、シオンの言葉に、うんうんと頷いてみせる。

しかし、頭の中では、違う事も巡ってしまう。


  《なんだったんだ…?あれは…。》


「ねぇ、無駄な事なんかじゃないと思うんだよね…。パトローナスの事、許可くんない?」

  《あの人…、どこかで会った?違う。会った事なんか無い。なのに…》

「このままじゃ、ギルの事、1年で何とかならなくなっちゃうし…。」

  《懐かしかった…。》

「出来るだけの事するからさ…。お願い!!」

 

 《彼女の顔を見てると…懐かしくて…泣きたくなって…》



 《抱きしめて欲しいって》



 《綺麗な花だったのに…あの場所に居させたくなくて…》

 

 《それに、【彼】って誰の事っすか……?》



頭の中にひたすら繰り返される問答。
それを、振り切るかの様に、レナスはダンブルドアたちの説得を試みるが…。


「レナス…。パトローナスはその者を取り巻く使い魔のようなものなのじゃ、それを説得やら、手懐けるというのは…。」

「聞いたことが無いとか、知らないって理由で許可出さない気じゃないよね?!」

「何かが起こったら、どうするのじゃね?」

「そのために、あんた達教師が居るんだろ?!私の薬の時には、許可くれたじゃん!なんで今回だけ駄目なのさ!!」


討論が、まるで口論になっていく。


「まず確信がないのじゃよ。パトローナスをどうにかした事で、どれほどの影響があるか…。危険な事か、そうでないのかさえもじゃ。」

「そんな……。」


視線を落とすが、徐々に怒りを露にしていく。


「このまま…ギルは、ホグワーツを出ないといけないの…?」

「校長先生…。私達、頑張りますから!お願いします。」


懇願するレナス、そしてアルティア。
それをおろおろと見つめる少年ギルガは、一体何の話か理解に苦しんでいるようだ。


「お前達が何を言おうが、我輩達は何が起こるかも解らん、魔法界に無いものに、おいそれと許可を出す事は出来ん。」

「だから…このまま、ホグワーツを出てけって?!」


一歩進み出るスネイプに対して、声を荒げ


「あんた、それでも教師かよ!!」


叫び散らす



「誰もやった事ないんだったら、私たちが最初にやった人間になればいいんだろ!?最初っから諦めるなんて、どうかしてるんじゃ無いのか!!!?」


鋭い目付きで、スネイプの胸倉を掴み、捻り上げる。
レナスの剣幕を現すかのような、スネイプの胸元のローブに寄る皺。


止める者は誰一人として居ない。


レナスに冷ややかな視線を下ろすスネイプ。


「お前は、物事が見えていない様だな…。」

「なんだと…?」


更に視線を鋭くし、握った拳に更に力が加わる。
今にも杖を振り上げる勢いでギリギリと睨みあう2人。


「お前に耐え得る力があったとしても…ディバインにそれが備わっているかどうか…それが問題だと言っているのが、解らんのか!!」


一気に血の気が引いていく。
自分で、繰り返した言葉。


【結局最後は、自分の力に頼らなければならない。自分達に出来る事は、限られている。】


再び、頭を巡る言葉。


「危険を最小限に抑制するのも、教師の務めでは無いのかね…?」


スネイプの言葉で、自然と彼の胸倉から手を放し、ギルガの方を見やる。


小さな少年は、レナスと目を合わせることが出来ない。
肩を落とし、視線は床を這っている。
まるで呟くように、恐る恐る言葉にする。


「俺…諦めるよ…。迷惑かけるくらいだったら…。」


絶望にも似た言葉。
どんな思いで、その言葉を口にしているのか…。
それを思うと、レナスは身を裂かれる思いだった。


「お前さ……。簡単にそんな事言うの…やめてくれないか…?」


唇をグッと噛み、レナスは、頭を働かせる。


何か、良い方法は無いか…。
何か…!!


頭の固い教師達を、説得して納得させるだけの、良い方法…!!。



何か無いのか…!!何か……!!



打つ手は…残されていないのか……?








何も思いつかない。






自然と肩が落ちてしまう。
視線を上げられない…。







漂う



絶望







どうにも…成らないの…?




「……確かに、東洋でも【守護霊】は存在します…。」



意外な人物からの助け船だった。低く、ゆったりとした独特の話し方と、その声色。
皆がシオンに注目する。




****続く****

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