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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十二章 特訓と成果4

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十二章 「特訓と成果」4 言いたい事




「で……何故、隠れるんです…?」

「だ…だって…。」


何も話さないまま、歩くうちに、いつの間にか薬草学の教室の扉が目の前に飛び込んで来た。
危うく通り過ぎてしまいそうになった足にブレーキをかけ、立ち止まってみたものの…まだ心の準備が出来ていない事にやっと気が付く。

慌ててシオンの背中に隠れて、そのローブを掴むという、自分でも思っても無い行動をとったのは良いけど…。


隠れてどうなるんだ…?


冷静さを取り戻して、渋々シオンの背中から放れる。


「まぁ…貴女の言い分もあるでしょうから、あとは…貴女次第…ですかね…。」

「……う…ん…。」


決して謝ったほうが良いなんて言わないシオン。そういえば…セブルスもそうは言わなかった。


私はここに何しに来たんだろう…?
ギルに謝りに来たの?
とりあえず…泣いてるって言うから…、……泣かせたのは、私だから…。
だから、その責任を取らないとって思った。


きっと私だけの言い分をぶつけた事で、ギルガは落ち込んでるんだろうと思う。誰だって嫌味を言われて悔しくないはずが無い。

そんな風に思わせたかった訳じゃ…無いのに…。


「まだ…準備は、必要ですか?」

「え?あ、うん…。…大丈夫!」


自分の両頬を軽くピシャリと打って、気合を入れる。

泣かれたり、喚かれたら、その時はその時。
全力でぶつかるなら、それも仕方ない。


よし…行くか…!


決意を固めたと同時に、シオンの褐色のてがノブに添えられる。
狭い廊下に、鈍い音を反響させながら、開く扉。
扉から見える位置には、ギルやアルの姿は見えない。

そろ〜っとシオンに視線を戻すと、彼は優しく微笑んで私を教室の中へと促す。

息を吐き、一歩進み出る。

魔法薬の教室と同じように、この教室もまた薬草を扱う為、直射日光を受けない作りになっている。
その為か、夕方以降は少し暗く感じる。

夜目が利くとは言っても、一瞬解らなかった。
机に突っ伏す生徒と、その背中を撫でる生徒が居る事を。


「あ…レナス……。」


その声のする方に視線を向ける。
アルティアが私の名前を呼んで、そのすぐ隣にはギルが背中を丸めて居た。


「……ぁ…うん…。」

「れ、れれれれ、レナスゥゥゥ!!!??」


私が返事をした瞬間、凄まじい音が教室に響いた。
耳を劈くかと思ったその音の正体…。

慌てて立ち上がったギルが、勢いあまって机やら椅子やらを倒したのもある、何よりその廊下にまで響いた、ギル自身の声。

顔をしかめて、耳を塞いだけど遅かったみたいだ…。
まだ、耳には音が染み付いていて放れない。頭の中で大反響しているキーンという耳鳴り。

傍で見ているアルも、私のすぐ後ろにいるシオンも、既に耳を塞いでいた。まるで、これを予測していたかの様に…。


あぁ…だからか…。
煩くて敵わないって言いたくなるシオンの気持ちが解った瞬間。


まだキンキン言ってる頭の中を覚まそうと、首を振る。


「やぁ…ギル……―― ??」


声をかけようとした時には、既にそこには居なかった。
辺りを見回してみたけど、やはり居ない。


「まさか…帰ったのか…?」


振り返った時、腰の辺りにしがみつかれる感覚を覚えた。
視線を落として、飛び込んでくる光景。

胸元よりも小さな身長。その緑の髪が擦り付いて来る。


「お前何やってんだ?!」


腰の辺りに腕を回して、顔を胸元へと完全に埋めている。
ギル以外の人間だったら、完璧に変態扱いされるレベルだろうな。


「れ、れなじゅぅぅ〜〜〜!」

「げっ!!」


やっと顔を上げたかと思うと、そこはもう……。


いうなれば……。



悲惨な状態だった…。



グジュグジュに泣き腫らしたのであろう顔。
ジュルジュルに流した鼻水。
閉じない口から流れ出るこれは……よだれか…。


あぁもう…。



そりゃもう付いてますよ。



あたしの制服に…べっとりと…鼻水と涙とよだれが混ざった、ネバネバした最強のものが……。



「………あのさ…、ちょっと放してくんない?これあげるからさ。」

「ふぅえ?」


ローブのポケットからハンカチを取り出し、それをギルに差し出す。
泣く事を忘れてしまったかの様に、今度はキョトンとした表情で、私を見上げてくる、あどけない顔。この光景は何処かで見たことがある。懐かしい感覚。

そう…まるで…。

散々泣き明かした後、おもちゃを差し出されて、一瞬で泣く事を忘れておもちゃに夢中になる…赤ん坊の様な…。


あれ?この感じって…何処かで…。


「ギルガ君…レナスを怒らせた〜!ってずっと泣いてたんだよ?」

「え?怒らせたって……。」


笑顔を溢しながら、アルが私達を見つめる。
訳が…解らない…。
徐に、ギルに視線を落としてみると、私の手渡したハンカチで、顔を拭いて、まるでティッシュの様に鼻をぢ〜〜〜〜〜〜ん…と思い切りかんでいる。


あれ…この光景も何処かで…。
とりあえず、ハンカチを返すと言われても丁重にお断りしようと思った。

ハンカチが無くなったのって…これで2枚目だ…。というか…私の手元に、ハンカチが無くなった瞬間だ…。


「ごめん……。」


2、3回深呼吸してから、見上げて来るギル。
まだ泣き足りないのか、謝罪の言葉を口にしながら、再び流れ落ちて来そうな涙をぐっと堪えている。


「俺…何も考えでなくで……。」


鼻声で、苦しそうに呼吸をしている。
要するに……。


「私がね…。今までレナスがしてきた事、話したの。その…薬の研究の事とか…。」


やっと、繋がった。
それでか…。



納得が行かなくて、悔しくて、泣いたんじゃない。

嫌われたと思って泣いてたのか…。



言いたい事は山程ある……。


「主役ほったらかして、何勝手に話進めてくれちゃったわけか?」


気が付くと、思っても無い言葉が口から顔を出してしまう。
こんな事が言いたいんじゃないと思いながらも…。
ソレは止まってくれない。


「お前は…ドラゴン族について…どれくらい知ってる?」

「え?」

「え?じゃない。お前の一族について、どれくらい知ってるんだ?って聞いてるの。」


まるで授業の様な質題に対して、弱々しく首を振る小さな少年。


「ドラゴン族は、1000年前、中国で【竜】と呼ばれるドラゴンが、人の世界で生きたいと地上に降り立った。その遺伝子は決して混ざる事はなく、子供がドラゴンと人間の血を両方受け継ぐ事は無かった。だけど、その代わりに、何世代も後に、完全にドラゴンの血を継いだものが生まれる。それが、ドラゴンの血を引いた一族だ。」

「……知らなかった…。てっきり、父さんも母さんも、皆俺みたいなんだって思って……。」


眉を寄せ視線を落としているギルに対して、追い討ちをかける。


「そのドラゴンの血が表に出てきた者は、一族の中でも崇められ、【特別】というレッテルを貼られて育つ。まぁ、あくまで…史実だけど。今のお前が、その一族の中でも唯一の【血を継いだ者】って事になる。」


身に覚えがあったんだと思う。
何故、どうして知ってるの?
そんな言葉を言いたげに、ただただ私を見上げるギル。


伝えないと…。


「今までお前は、自分がドラゴンの血を継いで生まれた事で、一族から【特別】といわれて生きてきた。そのために、知る必要はない。学ぶ事を許されなかった。そう言われて…。何故なら、崇められるのは、お前自身だったから。」


伝えないと……!


「お前は、今の今まで、ドラゴン族、自分の一族がどのような生き方をしてきたのか知らなかった。他人である私が知っていて、その血を継いだ本人が知らない。自分の事なのにだ。」


これ以上は追い込みたくは無い。
だけど……。


「情けないとは思わないか?生ぬるい場所で、なんとかしようともせず、学ぶ事を放棄してきた結果がこれだ。」


眉も肩も落として、今度は凹んでるのが解る。

痛い……。
この小さな少年の、小さな小さな心を、ズタズタに引き裂くようで……痛い…苦しい…痛い……。




「俺…全然知らなかった…。自分の事なのに…。」

「…だろうな…。」



一瞬の静寂の後、再び出てくる言葉。
自分でも…意外だと思った…。


「自分の事なのに、他人の方がギルの事を知ってる…。でもね…。」


つらつらと出てくる。
感情が、表に出て来てしまう…。




「私にも…身に覚えが無い事じゃないよ…。」

「え……?」




伝えなきゃ…!




****続く****

コメント(3)

これって、何処かで聞いたことがある話しなんですが…。
自分なりに解釈して、自分なりに書いてみました。

知らない、解らない。
そうやって解ろうと努力もせずに、突っぱねる事は愚かしいんじゃないかと思うのです。

一生懸命それを紡いで来た人達への侮辱でもあるしね。

あ、ドラゴンの話も、いつもながら、ハリー・ポッターには関係ございません。
あくまで、さしゃの小説の中でだけ、でございます。
ご了承ください。
>自分の一族がどのような生き方をしてきたのか知らなかった。(中略)自分の事なのにだ。

此れ、胸に突き刺さりました…。

家庭の事情が入るのでこれ以上のコメントが書けません
御了承下さい
ん〜?ちょっと事情が違うんじゃないかな?

知る由もない事を知れったって無理だもん。

ギルの場合、知りたくて知ろうとしたんじゃなくて、勉強したくなくて、知らないままでいた。

だから、ちょっと違うと思うよ?

とっても有名な、徳川家康が自分の先祖。
歴史の授業でも、勉強する機会はある。
なのにやらない。

そりゃ、お前がわるいだろ〜〜。って話。

覆い隠されてしまった物とは違うから、そんなに気にする事じゃないぞ〜〜。
というか、そう言うことを言いたくて、書いたんじゃないよ〜〜。
戻ってきて〜〜〜〜ん。

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