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さしゃの二次小説(ハリポタ)コミュの本編第十二章 特訓と成果3

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ハリポタ二次小説 レナスの物語

第十二章 「特訓と成果」3 無駄




「だーかーらー…。ホグワーツが創設されたのは西暦993年だってば…。」


ハグリッドの小屋に来たのはこれで何度目だろう。
それは良いけど、何故か訓練では無く、勉強を見ていると言う、異様な形になってしまう毎日。

翌日に提出の課題が手付かずのまま残ってるとの事で、毎回泣きついてくるギル…。


それなのに……


「いろんな年号があって、わけわかんねぇよ〜!」

「まず、覚えようとしろ!」


テーブルに向かって、顔を突き合わせながら出す問題に、一切答えられないギルに多少イライラした。ここまで物を知らないのか…?ってね。
何より【課題を提出できさえすれば、頭は空っぽでも良い】という根性が気に入らない。


「だってさぁ〜!苦手なんだから、しょーがねぇじゃん!」

「それを何とかするために、私達が手を借してるんじゃないのか?」

「うん!答え教えてもらって、ちょー助かる!!」


ついつい声が荒くなる。
少なからず、見てくれと言われたから手を貸している。
自分の時間を割いて……。


それにも関わらず、回答だけを求めて、頭に入れようとしない。


「あ、あの…2人とも、落ち着いて…勉強しようよ。」

「アルティアの言うとおりだぞ?ビスケットがあるんだ、食うか?それとも、茶がいいか?」


アルとハグリッドが、私とギルのやりとりを、ハラハラしながら見てるのは分かている…。

だけど……!


「お前…、頭に入れて、【自分の物】にしようとは思わないのか?」

「俺が嫌いな物知らないだろ?!勉強とニンジンだ!以上!ちなみにお肉が大好きです!!」


胸をはり、顎を上げている…満面の笑みでVサインと言うおまけまでつけて…。
というか…威張って言う事じゃない。
深い溜息が出てきてしまう。腹の底からイライラしたのは久しぶりだ…。



正直そこまでは、まだ良かったんだ…。




「勉強なんかしたって役に立たねぇじゃん。【無駄】な事なんじゃないの?でもさ、ちょーちょれーの、答え書いてあれば、先生とか適当に誤魔化されてくれるしぃ〜!」


ケラケラ笑う、少年の軽い言葉。
それが、私の神経と言う神経を逆上させた。


「ギル…ちょっと…失礼……。」

「うえっ!!」


返事を待たず、私は彼の制服の胸倉を掴みこれでもかと言うほど締め上げた。
立ち上がりざまに倒れた椅子は、激しい音を立てて地面にぶつかる。


「レナス!?」

「おい!何しとるんだ!やめろ!」


アルとハグリッドは、さすがに止めに入ろうとしていた。
無理も無い。
身長差が40センチ近くもある上級生が、下級生の胸倉を掴んだまま、テーブルから引き摺り下ろし、床に仰向けの状態で捻じ伏せているのだから。


「…止めないでくれるか…?」


手を出そうとする2人を一瞥し、動きを制した。
自分でもわかる、どんな目付きでソレをしていたか。

射殺す様な、光のない眼差しで…。
そんな風に【人】を見たくは無い。

自分の鼓動の音で耳からは何も入って来ない。


……気に入らない……


視線を床に戻す。そこでは、私より小さな体が震えている。
私の顔を見つめてくる脅えきった顔。


「いい気なもんだな…?私達はお前にとって、都合の良い【回答マシン】と言う訳か…。」

「え…?」


目を見開き、言葉にならない声で答えてくるギル。
私は、耐えられなかった。


「勉強っていうのは…。半強制の上に成り立っている義務だからな。面白くなくて当然だ。でもな…」


腹の底から出てくる当たり前の言葉。


「お前が【無駄】だと言った勉強って言うのは、【知識を得る事】だ。それは、誰かが必ず確かめて後世に伝えてきたもの。私達は、それを知る事で新たに自分の物に出来る。いわば、それはその者の【財産】だ。」


込み上げて来るもの。
胸の辺りで止まって、一気に鼓動を速め、息が荒くなる。

息が…出来ない。


「お前は、その知識を【苦手だから】という理由で放棄してきた。なのに、形だけで得ようとする。」


―― 気に入らない ――


「少なくとも、アルも私も、死に物狂いで、その財産である知識を得て来た。半人間であるが故のハンデ。お前になら分るよな?」


脅えていた筈の表情。
驚きへと変わり、まっすぐに見つめて来る水色の瞳。


「知識を得たからこその今がある。少なくとも、私とアルも、半人間としての制御くらいは出来る。簡単な事で翼を出してしまうようなヘマはしない。けど…お前は…?」


何を伝えたいのか分ったんだろう。
今度は眉を寄せ、視線を落としている。


「形だけ誤魔化せばいい。知識がなくたって構わない。【無駄】だから。――その根性が今のお前を苦悩させている。違うか?」


眼に力を混めて睨む。
焦点が合わない。


「苦手だからやらない。出来ない。そう開き直って、努力しようともしない奴にくれてやる【財産】なんか持ち合わせていない!!」


言葉にする事で徐々に、逆上して沸騰してた感情が治まってくるのが分った。
彼の服を掴む手からも、力が抜けていく。


「その【無駄】な事で溜まったツケは、自分で払うんだな!」


吐き捨てる様に言った。
力なく手を放し、立ち上がる。


気付いた時には、彼に背を向け、ありったけの嫌味を込めて放った言葉。


「お前の為に割く時間が惜しいよ。」


小屋の入り口に手をかけて、その場を後にしていた。


「レナス、待って!」


そんなアルの声も聞こえて来たけど…。
足はいう事を利かない。


堕ちた感情を引っさげて、私はホグワーツの城へと足を進めた。




無駄で…悪かったな……!!



*******



「それで、何故、我輩の所なのだ?」

「最近、研究に身を入れてなかったから、何かやろうって思って…。」

「の割には、手が動いていないようだが…?」

「これからやるって!」


何故かやってきたのは、魔法薬の教室だった。
睨まれてるのは分っている。
ズラリと整頓された教室の机の一つに、乱雑に荷物を置き、椅子に座って突っ伏す。


どうしても、回ってしまう。
【無駄】と言う、思苦しい言葉が。


「らしくないな…。」


セブルスのその言葉に、突っ伏したまま、身を丸めた。
正直、説教だったら聞きたくなんか無い。


「お前は、教師に成る為にホグワーツへの就職を希望しているのだろう?教師は知識を与えるために居る。それを拒否した人間が、教師になど成れるはずも無いと思うがね。」


優しさの欠片もないセブルスの言葉が刺さる。


「解ってるんだけどね…。」


突っ伏してた顔を上げた。
でも、どうしても視線だけは上げる事が出来ない。


うつらうつらと、言葉だけが宙を舞う。


「物を教えるのは…別に良かったんだ。どんだけ知らなくたって、これから学んで行けば良いんだから。財産ってのも…別にどうだっていい。やる気が無いなら、楽しく出来るように、得られるように配慮すれば良い。それも教師の仕事だと思うから。」


考えがまとまらない。
うまく言葉にできない。

腹が立った?本当にそうなの?


「きっと…そうじゃないんだ…。」


私がイラついた理由


きっと…


「悲しかったんだと思う。今まで必要だと思ったから、一生懸命学んで来た事とか。今やってる研究も、そのうち実を結ぶ。そう信じてやってる。なのに…」


あの子は……


「【無駄】だと言った。簡単に……。」


溢れて来る。
頬を伝って流れ出て来る、生暖かい物が、酷く邪魔に思えた。
目の前が滲んで、言葉が詰まる。

視線がこちらに注目してるのが解る。
どんな意味を込めている視線なのかは、正直解らない。


「あの子は、きっとそんな事、考えても居なかったと思う。責めるのは間違ってるて解ってる。そんな事も理解できないで、教師になんかなれるわけがないって言うのも解ってるよ。」


だけど…


だけど……!!


揺らぐ。気持ちが。


今まで積み上げてきた、自分自身が、揺らいでしまう。


本当に大丈夫なのかとか、こんな事してて、本当に成果が得られるのかとか…。
あんなに、あんなに誓ったのに。


やれるだけの事をやればいいって、あんなに誓ったのに…。


こんなにも簡単に揺らぐ自分も


嫌い。


ギルガのやる気の無さにイライラしたのは事実。
それでも、あの言い方はただの…


やつあたりじゃないか


シオンになら兎も角、いや…シオンにもなんだけど…
まだ13歳のギルガに八つ当たりするなんて……


最低だ…。



「研究の成果も得られず、停滞している事実。今まで積み上げて来た事への全否定とも取れる言葉。それで憤りを感じるのも、わからなくは無い。」


言葉を聴いた時、眼を見張って、彼を見た。
意外だったから…。自分でもまとまらない考えを…どうして、こうも簡単に紡ぎだす事ができるのか…。不思議だった。


「お前は決して無駄な事をしている訳ではない。それは他人がどうこう決める事でもない。お前が決め、信じて進んできた道だろう?」


【それを、お前が迷ってどうする。】


その言葉で止まらなくなった。
全てを救い上げられたような感覚が、体を伝って、広がる。



なんで、この人は…。



欲しい言葉をくれるんだろう…。



一見厳しくて…


それでいて…


すごく優しいんだ…。



「うん…。ありがとう…。」


ふわりと広がって行く、暖かくなった気持ちを言葉にした。


嬉しかったから



「それにしても…そんなもので揺らぐ柔な決意だったとは、存じ上げなかったが?」



ぬがっ!!!??



優しいと思った瞬間にこの態度か!!
薄笑みを浮かべて、顎を上げている陰険魔法薬学教師!

さいって〜〜!!優しいと思った私がバカだったわ!!

文句と言う文句が、とめどなく出てくる。


「たま〜〜に、やさっし〜と思ったら、そういうオチなわけ?!あたしの、この感動を返して下さいませんのこと?!」

「優しくされたくて、ここに来たのかね?そうは見えんが?」

「そりゃまぁ…そうだけど…。ってそうじゃない!!なんだよ!傷心なんだから、優しいまんまで終わったっていいじゃん!」


犬歯をむき出しにして、出てくる言葉をぶつける。
制御なんか出来るはずもない。


――― でも 本当はね ―――


このホグワーツに来て、誰よりも私の事を見ていてくれたセブルスに、聞いてほしかった。


う〜〜ん……。
なんだろう?


アルから言わせればこれって恋なんだそうな…。

そんなんじゃ…ないんだけどな…。



あぁ…分かった



ダンブルドアがお父さんだったら…。



この人は……




おにいちゃん ???









ぷっ!!







そう思った瞬間に、まるで、横隔膜が痙攣してるみたいに、クツクツ笑い出してしまう。


この人が、お兄ちゃんって柄かよ?!


勝手にあぶれて、弾けて行く。
泣いていた事実が、ものすごく小さな事だったんじゃないかって思えてしまう程に。


「怒った後に笑い出す元気があるなら、大丈夫そうだな。」

「え?」


そっと頭に添えてくる大きな手。
少しツンとする薬品の臭いがして、すごく柔らかくて優しい手つきが心地良かった。
この人に撫でてもらうのは…正直、誰よりも心地が良い気がした。


「迎えが、来ているようだが。」

「はい?」


私の頭からゆっくり手を下ろしたセブルスが、扉の方に視線を向けている。
その先を私も追うように、振り返る。


「…どうも。」

「うが!!し、シオン君!!じゃなくて、ウォルハさん!!」


扉に背を預けるように、腕を組んでこっちを見ている。
なんとなく、気恥ずかしくなった。

というか…


「お前、いつからそこに?!」

「さぁて…いつでしょう…ね?」


全く気が付かなかった。恐らくは、気配を消して居たのだろうとは思う。
ってか…迎えって?


「先程、薬草学の教室にアルティア殿と……、ギルガ・ディバインが来ましてね…。」


コツコツと床を鳴らしながら近づいてくるシオン。
ギルガが来たって事は……


「全部聞いた…とか?」

「えぇ…。それはそれは、すごい勢いで……。」


自然と気分と共に、視線までもが床へと落ちる。


「………あの子……怒ってた?」

「いえ…、泣き叫んでいました…。」


ガックリと肩までが落ちる。
怒って居た方が、まだ気は楽だった。


一番招きたくなかった結果。

自分で…招いた…結果。


「参りましょうか…?」

「へ?」

「自分のツケは…自分で払う…。」


彼と…話すのでしょう?


柔らかい笑顔でそう言われた。
ううう…その笑顔には、何だか救われる気分だったけど…。

なんで、この2人は…伝わってしまうんだろう……。


戸惑いがあったまま、視線を戻すこと無く、ゆっくりと首を縦に振った。


セブルスとシオンが、また対峙するかの様に、お互いをまっすぐ見ている。
また喧嘩や嫌味の言い合いになるのかとも思ったけれど…。
つい最近まで流れていた2人の雰囲気とは、まるで違っていた。


「あ、じゃあ…ちょっと行ってきます。」


自分の荷物を再び手にして、教室の扉を出ようとした時、背中から声が飛んでくる。


「レナス。今日は事が済んだら、まっすぐ寮に戻りたまえ。」


一瞬振り返って、セブルスに視線を戻すと彼は背中を向けて、既に何やら書類整理を始めている。


「先程既に、我輩の手を止めさせたのだ。これ以上時間を割くわけにはいかんのでな。故に、今日の研究開発に、お付き合いする事は出来ん。分かったらさっさと行きたまえ。」


鋭い口調だったけど…

でも…、その場で、深く、深く頭を下げた。


知ってるよ。
不器用な優しさ。


私は…知ってるよ。


背を向ける姿に、自然と笑みを洩らしてしまう。


そして、魔法薬教室の扉を閉めた。
重くて冷たい扉だけれど…


優しく、そっと。



「急ぎましょうか…。」

「うぁ!まってまって!」


扉が閉まると同時に、さっさと歩き出してしまうシオン。
着ているローブが翻ってしまうほどの勢いで。



「早くしないと……煩くて敵いませんので……。」



そ、……そんなに、



そんなに、激しく泣き喚いているのか……??!



上がった気分が、地面にめり込むかのような勢いで落ちていった。




気が重い…。

けど…これは…



自分がしでかした事のツケだから…


あたしが、自分で払わなきゃ……!!




****続く****

コメント(3)

う〜ん…。
私は正直、一生懸命やってるレナスの気持ちもわかるけど、ギルガの気持ちもなんとなくわかるかな。

全否定されたように感じてしまうのは、自信がないから。
ギルガはそんな事が言いたかったんじゃないんだろうし、正直あたし勉強出来るほうじゃないしね( ̄▽ ̄;)

でも、自分のツケは自分で払う!ってのは、ある意味名言だと思うのよね。
いや、レナスが…じゃなくて、世の中でね。

あくまで、協力してもらう事とかは出来るけど、解決するのは結局本人が、どう動くかで決まって来るんだし。

今回は、ちょっと時間をかけて作ってみました。
だんだん自分のリズムを掴んでいかないとな。
しらけさん

すまん!つい、笑ってしまった!

その…さっぱりわけワカメだ〜!

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