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大好きな人が忘れられない。コミュのサヨナラボタン  *2-1*

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色んな拙い作戦を練って。
罠にかけようと思っていたのに。


アナタが私を見た瞬間、私は怖くて逃げ出したかった。


         *


 *2* 
はだすすき 穂には咲き出ぬ 恋をぞ我がする 玉かぎる ただ一目のみ 見し人ゆゑに


         *


乾杯の音頭は、やっぱり聞こえなかった。
前の方の人たちから順に、ウェーブの様に小規模な乾杯が行われていく。後ろの私たちにはそれが乾杯なのかどうかも良く分からなかった。前の方では後ろが付いていけてないのを察したのか再度乾杯が行われている様だったけれど、やっぱり声はざわめきで聞こえなかったし、前は前で繰り返される乾杯に戸惑っている様だった。
「えーっと、もう乾杯は終わった・・・のかな?うちらも乾杯する?」
弘さんがそう言ったので、乾杯の為に立ったままどうしようかと迷っていた私たちも、周りに少し遅れてささやかな乾杯をすることになった。
そのまま弘さんが音頭をとる。
「かんぱーい」
かんぱーい。7人が弘さんに続いた。
コン、と8人でグラスを当てあいながら、みんなそれぞれ目を合わせて軽く会釈する。
私も会釈をしながら、控えめな自己紹介をすることにした。
「あの、初めまして・・・横山です」
一番最初にグラスがあたったのは、偶然にもさっき目が合った、斜め前のあの人だった。
「あっ、どうも。佐々木です」
「初めまして」
「初めまして」
佐々木さんは例の微笑を真っ直ぐ私に向けて挨拶する。
その笑顔をすぐ目の前で見てしまって、やっぱり素敵だな、と思うけれど、同時に恥ずかしくなって私は視線を横に逸らしてしまった。
逸らした目線の先には佐々木さんのお友達が居た。
「初めまして、俺は森田です」
森田さんは私のグラスに自分のグラスを当てながら自己紹介をしてくれた。
「初めまして・・・。お二人はお友達ですか?」
「あぁ、そうです。同じ学部で・・・。えっと、横山さんと石塚さんも友達?」
森田さんが、弘さんのグラスを鳴らしながら私たちに聞いた。
「そうです。学典で仲良くなったんです。でも弘さん、石塚って言うんですね」
最初から下の名前だけで自己紹介していたし、苗字を呼ぶ機会も無かったから、そういえば弘さんの苗字を私は知らなかったのだ。
弘さんも知らなかったようで、裕葉ちゃん横山っていうんや〜初めて聞いたやんな、と言っている。
へぇ〜と頷き合う私たちを見て、佐々木さんと森田さんは笑っていた。
「ん?二人とも本当は初めましてなんじゃないの?」
佐々木さんが笑いながら突っ込みを入れたので、実はそうなんです〜と弘さんと冗談を返しながら、あぁこの人冗談とか言うんだなぁと少し意外に思った。顔は似ていないけれど芸能人で言うなら、佐々木さんは福山雅治のような雰囲気だと思った。
芸能界に詳しくないから、もしかしたら世間の福山さんのイメージと私のイメージは違うかもしれないけれど、とにかく優しそうで冗談は言わなさそうな雰囲気の人だった。

私達の後に、次々とみんなが自己紹介をしていくことになった。
ニックネーム、学校名、趣味・・・。
だけどいつの間にか隣や後ろのテーブルの人たちも参加していて、私にはとても覚えきれそうには無かった。

そして結局、全員が自己紹介を終わった後、私がフルネームを覚えたのは斜め前のあの二人の名前だけだった。
佐々木博幸さんと森田慶喜さん。
佐々木博幸さんと森田慶喜さん。
頭で繰り返す。そしてグラスを置いてふと目を向けると、気付いた佐々木さんが確認するように私の名前を呼んだ。




         *




打ち上げが中盤になると、テーブルを移動する人がとにかく多くなった。
私たちのテーブルも、端なのにと言うか端だからと言うか、早くも酔っ払った人や色んな人が多くなって、自分の皿がどれかも分からない状況になっていく。
でも何よりこのテーブルには女の子が多くなっていた。

「えー!博幸って同志社なの?私もー!!凄い、偶然だね〜」
「博幸と慶喜って、どこ出身なの?」
「博幸君は趣味とか何?」
「佐々木君は何飲む?森田君は〜?」

佐々木博幸と森田慶喜。
最初ののんびりした空気はもうどこにも無かった。
目の前は、酒の所為ではない盛り上がりを見せていた。
彼らの周りには常に2・3人の女の子が、正に入れ替わり立ち代りしている。

・・・すごいなぁ・・・。

何だかあっけに取られてしまった。成程、これがモテ男子?
最初こそ佐々木さんと話せれば良いなぁと思っていたけれど、気付けばもう既に話し掛けられる状態ではなくなっていた。

そんなやり取りを見ているうちに、そんな彼と仲良くなりたいだとか、割り箸のおみくじに運命を感じてしまった自分が馬鹿みたいだと思った。私には、彼女達に混ざる勇気も無い。
同席して名前を覚えてもらえただけ良かったのかも知れない。
最初から、私には縁がなかったのかも・・・。世の中そんなに上手くはいかない決まりになってるんだから。
それに・・・。
話せたとしても、私はきっとまともに話すことが出来ないだろうと思う。
彼氏が欲しいとか、佐々木さんと知り合いになりたいとは思うけれど、本当のところ私は男の人が少し苦手だった。
嫌いな訳ではないけれど、男の人の前ではどうしても緊張してしまうのだ。大学生になっても男友達1人まともに居ないのはその所為だった。
早い話、免疫が無いのだろう。
中学も高校もしっかり共学だったのに。
高校では女4〜6人男4〜6人の仲のいいグループがあって、10人位で飲み会やキャンプにも行ったけれど、男友達と言うよりは仲のいいクラスメイトで、結局最後まで若干の緊張は解けなかった。思えばきちんと話した記憶もあまり無い。飲み会でもキャンプでも、ずっと女友達と話していたような気がする。
だから佐々木さんに憧れはするものの、今回だけの付き合いなのだと思う。
それは、佐々木さんの周りに女の子達が居ても居なくてもきっと同じだったに違いない。






今日、笑顔が素敵だなと思える人に会った。
それだけ。
きっとすぐに忘れてしまう。
打ち上げが終わったら、もう会うことも無いだろう。
そう、思っていた。

コメント(1)

続きが遅くなってしまってすみませんでした!!
しかも短文&内容が薄い・・・。精進します!
気付けばこもコミュに私以外に6人もの人が参加してくださっていました。本当にありがとうございます!!

それと、コミュの決まりを変更しました。
トピ立ては管理人じゃなくても出来るようにしました。
忘れられない人について、語り合っていただければ幸いです★
独りじゃ乗り越えられなくても、誰かが支えてくれれば踏ん張ることもできますよね!

えっと、私はいつもお話の最初?に歌を入れてます。
万葉集からの引用です。
前回の歌の意味は
「ずっと一緒に居ようねと言いながら、貴方が触れた私の手。今、この手を見るたびに、涙が浮かんでしまいます」
というような意味で、今回の歌は
「たったひと目見ただけのアナタに、私はこんなにも心を奪われてしまいました・・・」
という感じです。
今も昔も、想う気持ちは同じですね。。。
和歌大好きvvvキレイな日本語大好きvvv
・・・私も文章力を頑張って磨いていきたいです!

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