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大好きな人が忘れられない。コミュのサヨナラボタン *2−3*

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弘さん、どこ行ったんだろ・・・。

周りを見渡したけれど、人の多さに探すのを諦めた。
3人分のグラスを持ったまま、仕方ないのでテーブルに戻ることにする。
そこにはやっぱり、女の子は一人も居なくなっていて、佐々木さんと森田さんが二人だけでお酒を飲んでいた。


私が近寄ると、森田さんが手招きして、お帰りと言った。


「あのー・・・弘さん達、どこに行ったか分かりますか?」
「あぁ、何か知り合いの子?が居たとかで、さっきどっかのテーブルに行っちゃったよ〜」
「そうですか・・・。お茶、どうしよう。届けた方が良いのかなぁ」
「ここに置いといたら良いんじゃない?」
「んー、そうですね。戻ってくるかもしれないですしね」
「うん。まぁ、飲まなかったら俺飲むし」


グラスを置きながら、3人になったテーブルに座る。
元々友達である二人の会話を邪魔したような気分になって、ちょっと気まずい気分になった。

それにしても。
なんでいきなり3人きりなんて状況なんだろう。
これってまさかご利益?ご利益ですか?
でもでもでも。
でも!確かにチャンス下さいとは言ったけど、ただでさえ男の人と上手く話せないのに・・・いきなり3人って・・・!
気まずい。気まずいです神様。上手く話す自信ありません。
どうして弘さんまで・・・。
それとも佐々木さんと二人きりじゃないだけマシなんでしょうか?

神様。
これはチャンスなんですか?私、頑張っても良いんですか?




「裕葉ちゃんはさ、どこに住んでるの?」
「はいッ?」

ちょっと電波な事を考えている所に話を振られて、軽く動揺する。

「あっ、えっと、北大路の近くに住んでます」
「北大路ってどの辺だっけ?」
「烏丸線で、今出川より二つ北に行った所です」
「あぁ。バスターミナルあるところやんね?」
「あっ、そうですそうです」
「へぇ〜同志社と近いよね?」
「近いですよ〜。今年、夏期講習で同志社の講習受けてたんですけど、自転車で10分かからない位ですよ」


北大路、今出川(同志社)までは下り坂でとにかく速く着く。夏期講習中、初めての京都の夏。暑くて暑くて溶けそうだったけれど、何とか無遅刻無欠席を保てたのはその距離のお陰だった。
6時間プラスお昼休み1時間の講義が終わった後は日も落ちてくるので、何とか生きて行けたのだ。
内地の夏は辛いな、と痛感した。流石に10月に入った今は涼しい、というか肌寒くなってきてはいるけれど。


「同志社の講習受けてたん?何の講習?」
「京都の文化について学ぼう、みたいな・・・?能を観たり和菓子食べたりしてました」
「和菓子?それ授業なの?めっちゃ良いなぁ〜」
「十二単とかも着たんですよ〜!」
「え?それも授業?」
「はい、一応。着たい人は着ていいよ、みたいな感じで」
「それで着ちゃったんだ?(笑)」
「だって十二単着るの憧れだったんですよ」


日本人に生まれたからには一度着てみたかったのだ。
森田さんがちょっと驚いたように、笑いながら私に質問する。


「マジで?え、何学部だっけ?」
「文学部史学科です」
「しがく・・・?」
「日本の歴史を・・・一応、勉強してます」
「あ〜なるほどね〜!」


それにしても十二単着るとか凄いな〜、珍しいね、と二人は興味をもってくれた様だった。
でも・・・よく考えたら十二単が憧れな女子大生はちょっと変わってる部類に入るんだろうか・・・と心配になる。
自分は友達や講習で知り合った人達とノリノリで写真まで撮って喜んでいたんだけれど・・・。


いや、別に良いよね?引いてないみたいだし。
会話も・・・ちゃんと出来てる・・・よね?おかしくないよね?


何だか思っていたより気まずくもなく話せているような気がするのだ。
話を振ってくれる二人のお陰だろう。
緊張もそれほどではない。

だけどやっぱり、どうしても佐々木さんの目を見て話すことは出来なかった。
森田さんにはそうでもない、というか、きちんと目を見て話すことが出来るのに、意識してるからなのか何なのか、佐々木さんが相手だと目どころか顔も恥ずかしくてよく見ることが出来ないのだ。
その所為で、質問どころか返事もそっけなくなってしまう。
気付けば森田さんとの会話ばかりで、佐々木さんとの会話がどんどん少なくなっていってしまった。
ちゃんと話したいと思っても、あの笑顔を見ると勝手に視線が逸れてしまうのだ。


駄目だ・・・。
せめて何か二人に振れる会話・・・。


「あー、そういえば何かサークルとかに入ってるんですか?」


ありがちだけど、会話が広がる話題。


「俺バスケやってるよ〜!」
まずは森田さんが答えてくれた。

「バスケ良いですね〜!森田さんバスケ似合いそう。私運動壊滅的だから運動出来るの羨ましいです。・・・佐々木さんもバスケですか?」

なるべく自然になる様に、と目を向ける。
中高はバスケやってたけど、と佐々木さんが微笑んだ。
「今は一応野球入ってるよ。ほとんど行ってないんやけどね。3年目なのにユニフォーム真っ白やし」



そうなんですか?と笑いながら佐々木さんを見る。
なるべく目は逸らさないように・・・。



そして彼と目が合う。

彼は私を見て話す。

私に、微笑む。



あぁ、やっぱりだめだ。







今度は目を逸らすタイミングが分からない。




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