小さな腎細胞癌を有する腎臓のレストア腎移植への利用 1.担癌腎を移植に利用すると癌が再発・転移するか 1997年に発表された「ペン論文」は、The Israel Penn International Transplant Tumor Registry における1988〜1997年のデータをもとに、再発転移率117/270件(43%)、全身転移患者66名の死亡率67%と記載している。21) この論文では、ドナー由来の持ち込み癌(transferred cancer)とレシピエントに新たに発生した癌(de novo cancer)が区別されていない。その後の欧米の解析で、レシピエントの生じた癌の多くは、免疫抑制を受けたレシピエントの細胞由来の悪性腫瘍であることが判明している。19,22-26) 上述のごとく、担癌腎を利用したレストア腎移植例は計78例に達しているが、いまだ再発・転移例は1例も記録されていない27)(Nicol例の1例で、ドナー腎における新たな小径腎癌の9年後の発生と部分切除が記載されている10))。