mixiユーザー(id:429476)

2008年10月09日16:39

28 view

西洋絵画の父 ジョットとその遺産展

損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の『西洋絵画の父 ジョットとその遺産展』を見てきました。
損保ジャパンさん。どうやら“ルネサンス”シリーズをやっているようですね。フィリッポ・リッピ、ペルジーノ(どちらも好きな画家なので、嬉しかったです)ときて、今回はジョットですよ!ルネサンスより、若干前の、ゴシックと、ルネサンスの間くらいの画家・・という印象なのですが。私の中では。

しかし。まさか、ジョットが来るとはなぁ〜。
だって、ジョットって、壁画が多いじゃないですか。壁剥がして持って来るワケいかないじゃないですか。しかも、ジョットの大きな絵は、イタリアは、文化財管理が厳しいので(特に、板絵は、湿気の多い日本に持って来るのは、かなり勇気がいるだろうからね)、そうそう貸してくれないし・・・。

どうするんだろう?と思ったのですが・・・。
結果、ジョットの作品、ちゃんと4点来てました。有名な“パトヴァのスクロヴェーニ礼拝堂”(ユダがキリストに裏切りのキスをする場面の絵が有名だよね)の絵は、パネルでの紹介になっていました。

ジョットが出現する前の絵というのは、型があって(見本があると言えば分かりやすいのかな?)絵描きの職人達は、その絵を見本として絵を描いていました。でも、ジョットは、実際の人物を見て描き、自然な表現をする・・という革新的なコトを行った人だそうです(今は、当たり前だケドね)。明暗技法を使い、表情や身振りに真実味を持たせ、三次元的な奥行きを生み出したそうです(それまでの絵は、二次元的で、何かペッタリしてる)。なるほどね。だから、西洋絵画の父なワケか。

ジョットの『サン・ジョルジョ・アッラ・コスタ聖堂の聖母子』。
今回の目玉の絵画がコレです。
かなり大きなジョットの絵。青い衣に、赤いドレスを着た聖母が、膝に幼いキリストを座らせています。キリストの手には“神の教え”を表す巻物。後ろには天使が控えています。
まだマリアの表情は硬いし、キリストは、あまり子供っぽく描かれていないのですが、それでも、ジョット以前の絵画と比べれば、随分、表情や仕草があるな・・と思いました。当時の人は、コレを見て「生きてる人間がいるみたい!」と言って、吃驚したそうです。

私が1番吃驚したのは『殉教助聖人』があったコト。ステンドグラスの作品なのですが、顔の部分は、ジョットが手を入れたのでは・・と考えられているそうです。
私「えぇ!教会から、ステンドグラス引っぺがして来たの?」と若干本気で思いました。
違いました(当たり前!)。
教会の方には、今は複製のステンドグラスが嵌っていて、この本物は、美術館所蔵になっているそうです。だから借りられるのね。

で、前述のスクロヴェーニ礼拝堂の壁画は、流石に引っぺがして持って来られないので(笑)、パネル展示で説明がなされてました。
“ユダの接吻”の場面は、やはりグッと来ますね。
てか・・・。何故、ユダヤの兵士に「こいつがキリストだ!」って教える方法が接吻だったんだろう?腐女子としては、色々考えちゃうじゃないですか・・・。男性同士でチューしてるワケだし・・・。ユダ×キリスト・・??私は、絶対天国へ行けないと思います。

最期の晩餐の絵が面白いです。ダ・ヴィンチの絵を見ても分かるのですが、キリストと弟子は、皆一列に並んでご飯を食べてるんですね。実際はそんなの有り得ないワケで。
で、ジョットはリアルに描くコトをモットーにしたので、ちゃんとテーブルを囲んでご飯を食べています。
この絵は、聖人の後姿を描いた最初の絵になるらしいです。んが。聖人の金冠が、後姿の人は、顔の前に来てしまってる!コレではご飯が食べにくい!ジョットさん。そこまで気は回らなかったらしい。
後世になると、もっと立体的になります。金冠は板のように描かれて、ちゃんと聖人の角度によって、一緒に動くようになるんだよ。

『死せるキリストへの哀悼』聖ヨハネが、大きく手を広げ、非常に芝居がかった感じで嘆いています。コレも革新的な表現なんだろうね。

ジョット以外で面白かったモノをつらつらと。
聖ゲオルギウスの写本の画家『聖母子と洗礼者ヨハネと福音書記者ヨハネ』中央にマリアに抱かれたキリスト。左に洗礼者ヨハネ。右に書記者ヨハネが描かれているのですが、面白いのが、絵の周りに何かガラスケース(ビーズ入れみたい)が沢山ついているんですよ。で、何か名前が書いてあるみたい。
コレは、聖人の遺物入れだそうです。聖人の骨や髪などを入れておくモノね。確かに、何か細かいモノが入ってるケースもありました。でも、聖人の遺物の方は、殆どなくなっちゃったみたい。

おおう!ベルナルド・ダッディの絵があるよ。ダッディの絵も好きです。
『磔刑図』。十字架にかけられたキリスト。すがりつき嘆き悲しむマグダラのマリア。天使がキリストの血を受けているのですが、ちょっと「おっとっと〜」という感じで水芸みたいでした(不謹慎!)。

マルティリの磔刑図の画家 中部イタリア、フェッラーラ『嘆きのマリアたち』怖え〜。顔が怖え〜。山姥みたいな顔のマリア、怖い!!
と思ったら。この絵、壁画だったらしく、実は、横に、十字架にかけられたキリストの絵があって、それをマリア達が見上げてる・・という構図だったのだろう・・というコトでした(キュレーターの方が言ってた)。
なので、目一杯嘆いているのだな。感情表現を、ジョットから引き継いだ例だそうです。

ジョヴァンニ・デル・ビオンドと工房
『聖ドンニーノの物語』。聖ドンニーノの起こした奇跡が描かれているのですが、途中、斬首された自分の頭部を拾い上げ、頭部を持ったまま自分の埋葬地を探すシーンがスゲエ。で、この方、自分で首持ったまま、棺おけに入ったそうな。
面白いのは、後ろに、森などの背景、リスやら、川で泳ぐ魚やらドジョウやら、物語と関係ないモノが沢山描かれている。
当時、絵の注文主の言うコトは絶対。絵描きの職人は、自由に絵を描くコト(表現するコト)は出来なかったのだが、どうやら、この頃になると、注文主も「まぁ、背景を描くくらいは良いですよ。」と寛容になって来たようです。

この頃、マリアが幼児キリストにお乳を与える・・といういかにも「お母さんと子供の図」という感じの、ほのぼのする『聖母子像』が沢山描かれたそうです。今回も何点か来ていました。ほのぼのする絵なんだケド、16世紀に入ったら「マリアが乳を出している絵なんて、不謹慎じゃないか!」というコトになって、描かれなくなってしまったらしい。14世紀の方が、その点では、寛容だったんだね。ちょっと吃驚。

ビッチ・ディ・セレンツォ『降誕図』。天使が描かれているのだが、色彩豊かで凄くカラフル。全体的にカラフルな絵でした。降誕図なのに、厳か・・という雰囲気ではないのが、逆に面白い。

今回、ジョット以外で1番気に入った絵。
ロレンツォ・ディ・ニッコロ・ディ・マルティーノの『バーリの聖ニコラウス、大天使ミカエル、聖ラウレンティウス、聖ユリアヌスをともなう聖母子』
大天使ミカエルがイケメンなんだよぉ〜!!(結果、そこか?)
ミカエルは竜を倒したコトでも有名で、この絵でも、足元に竜が倒れています。そして片手で剣を持つ。恰好良い〜。
やっぱり、大天使ミカエルはイケメンじゃなきゃなぁ〜。

聖ニコラウス。即ちサンタクロースですね。彼は、貧しい娘さんの為に、窓から黄金を投げた・・という逸話で有名なのですが(コレが転じて、子供にプレゼントくれるサンタクロースになるのだな)、手にしてる黄金が、砲丸投げの玉くらいデカイのよ。それをいくつも持ってるの。コレ投げられたら危険じゃねえかな?と思ったりした(^_^;)。娘さんに当たらなくて良かったね・・みたいな感じで。

他にも、ジョットなら、嘆きの聖母のフレスコ画や、ジョットと工房の聖母子の絵なども来ていました。

凄く楽しくて、フワフワ夢見心地で、結果5時間半くらい美術館にいたという・・(^_^;)。

やっぱり私ゃ、宗教画好きだはぁ〜。聖人の逸話とか面白いもんなぁ。

お土産は、自分の土産にポストカード7枚くらいと、あとどうしても我慢出来ず、図録を買った。最近寝る前に、この図録を眺めてから寝るのがマイブームです。

ギャラリー・トークにも参加したのですが、色々分かって楽しかったです。14世紀の頃が、イタリア(当時、イタリアなんて国はないが)は、豊かだったんだそうだよ。ルネサンス期より、実は14世紀の方が経済的にも安定しており、華やかで豊かだったのだそうだ。
その時代に生まれた、美しい色彩の絵画。ご興味がある方は、行ってみて下さい。11月9日までやってます。
1 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2008年10月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031