◎「歌う電車」消えゆく運命 京急の136両、交代へ(asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0604/TKY200806040141.html
>「歌う電車」。動き出す時の音が音階のように聞こえるため、そう呼ばれて親しまれている車両が京急電鉄にある。モーターのノイズを、「消せないなら、いっそ音階に」という遊び心から生まれたが、新車両の導入に伴い、今後5〜10年で姿を消すことになりそうだ。当初は「耳障りだ」という声もあったというが、新旧交代で耳にする機会が少なくなるにつれ、名残惜しい「調べ」に感じるかもしれない。
>「耳障りだ」という苦情もあったが、「何の音なのか」「どこから聞こえてくるのか」などという問い合わせも多く寄せられたという。
>だれかが音階を調べ、「ファ・ソ・ラ・♭シ・ド・レ・♭ミ・ファ・ソ〜」に近いことも判明。京急の依頼で、この音階を取り込んだ曲をロックバンド「くるり」がつくった。この曲が05年7月から1年ほど同社のテレビCMで流されたことで歌う電車はさらに知られるようになった。
>しかし、2100形の製造はすでに終了。新1000形も3〜5次車では、同じシーメンス製でも「歌わない」モーターが採用され、さらに「外国製は修理や部品調達に時間がかかる」として最新の6次車では国産のモーターが使われている。
>このため、歌う電車は現在の136両をピークに徐々に姿を消す運命だ。ドレミファインバーターに使われている半導体の耐用年数は10〜15年。だが、そのころには交換部品が手に入らない可能性があるため、京急のすべての電車は5〜10年で「歌わなくなる」見込みだという。
>京急は「車両が愛されるのはうれしい。でも、電子機器は早めの対処が必要。安全面や乗り心地などを優先していきたい」(広報宣伝担当)としている。(鈴木剛志)
(以上・引用)
京急といえば、ドレミファ電車でしたが、
確かに最近の新型車は、音が静かになる電子機器に変わっていました。
ちなみに京急独特かというと、以前は常磐線を走っていた電車にも使われてました。
こちらは現在、水戸の周辺で第二の人生を送っています。
ただし電子機器は改造されたので、今はドレミファの音が出ません。
と言うことで、現在は京急だけがこの音がするんですが、
車両の寿命の前に、半導体の寿命が来るので、そのタイミングで取替えですか。
ちょっと寂しいです。
ドイツのジーメンス社の遊び心だとかで、良く考えたなぁと思いました。
(↑ドイツ語で読めば『ジーメンス』。電気屋の意地として、『ジーメンス』で書きますw)
電車のモーターを回すときに、いきなり電圧をかけると電流が流れすぎてモーターを壊すので、最初は少しずつ電圧をかけていきます。(このいきなり流れる電流を突入電流と言いますが)
モーターの回転が速くなると小さな電圧ではパワーが足りなくなるので、段々電圧を上げていきます。(最初からかけると、パワーが過剰になってしまいます)
さてそのときに、昔は電気抵抗を入れて、その抵抗でモーターにかかる電圧を調整していたんですが、抵抗ってのは電気を熱に変えるだけなので、要するに無駄。
そこで考えられたのが、モーターのスイッチを入れたり切ったりを繰り返す方法。
例えば電気を10秒間つけているのと、5秒間付けて5秒間消すのとでは、単純に消費する電力が半分になります。
これくらい長い時間でオンオフを繰り返したら、誰の目にも明るいときと暗いときははっきりわかりますが、
これを例えば、1000分の1秒単位で考えたらどうでしょう?
1000分の5秒毎に電気をオンオフ繰り返すとなれば、人間の目には半分くらいの明るさになったと認識されます。(ちらつくかもしれませんが)
こういう原理で、モーターにかかる電圧を制御しています。
(本当はもう少し深いんですが、どうでも良いです)
そして一昔前の電車の音の原因は、1秒間に行うこのオンオフの回数(=周波数)が、人間の耳で聞こえる周波数と一致してしまったことで起こる現象です。
一昔前は、技術的にオンオフの回数を上げられなかったのです。
勘違いしているのは、最近の電車がうるさくないのは、音が出ないんじゃなくて、
人間に聞こえない(聞こえにくい)周波数で、オンオフをしているからです。
いわゆる、超音波ってやつですね。
ちなみにこのオンオフの回数は、ある程度なら自由に設定できるので、
ジーメンスの技術者は、遊び心で音が聞こえてしまうなら、音階にしちゃおうと、こういうことをやったんでしょうね。
遊び心のある技術者って、ステキです☆
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