メビウスの輪

これは日曜の話だが思い出したので記しておく。
毎週日曜日はトイレ清掃の仕事をしている。
前の日記でも記したが男子トイレが俺様の戦場だ。
モップ、雑巾、マジックリンが俺様の三種の神器。
その日も汚れた便所に完全勝利する我輩の姿があった。
キレイキレイになった便所を確認して汚れた雑巾を洗面所で洗う。
清掃用の洗い場もあるのだが、便所の洗面所の方がお湯が出るのでデリケートな私の肌にはこちらの方が良い。
雑巾の汚れも落ちてギュッと力強く雑巾を絞る。
自慢の怪力でものの見事に水切りされる雑巾。
だが水を絞りきろうと、思い切り腕の力を入れたせいで給水口のセンサーに触れてしまった。

ジャー

「あっ」

雑巾はまた水を含んだ元の姿に復元された。

「・・・・・(;-_-) =3」

今度はセンサーに触れないように高い位置から雑巾を絞った。
ビチャビチャと水が撥ねて洗面台が濡れてしまった。

「あー、イカンイカン」

気持ち下げて雑巾を絞った。

ジャー

「あっ」

雑巾はまた水を含んだ元の姿に復元された。

「・・・・・(ﾟ皿ﾟﾒ)」

給水口のセンサーに触れず、洗面台に絞った水が飛び散らない微妙なラインで雑巾を絞る。自動でお湯が排出される事無く見事に雑巾を絞りきる事に成功した。

「さて2枚目の雑巾・・・」

2枚目の雑巾を取ろうと洗った雑巾を置いた。

ジャー

「あっ」

雑巾はまた水を含んだ元の姿に復元された。
家での掃除の癖で洗った雑巾は洗面台の上でなく無意識に洗面の中に置いてしまったのだ。

「・・・・・｡･ﾟﾟ･(>_<;)･ﾟﾟ･｡」

メビウスの輪とはこういう事か。
神秘的な出来事に涙する日曜日の午後だった。
これが噂の自動蛇口。