近頃よく耳にする医療現場の崩壊。
小児科や産科の医師不足による診療科目の廃止や、緊急搬送先の人手不足による救急患者の死亡事件。勤務医の超過労働。
いつも疑問に思っているのが、そうした事案のほぼ全てがなぜか「病院」の事情だということ。
開業医関係で話題になるのは、コンタクト診療の不正請求とか、医療過誤とかの犯罪関係。
社会問題としての医療の懸案に、開業医は無縁であるかのようだ。
我々一般人からすると医者はみな医者だけど、もしかすると開業医と勤務医というのはまったく別の職業なのかもしれない。
この前、公立の病院から内科医がいなくなってしまい、内科を閉鎖するというのがニュースになっていたが、辞める医師の理由が「開業のため」とのこと。
だったら、別に地域から内科診療がなくなるわけじゃないんだからいいんじゃない、と思ってしまうのだが、そういうもんではないのか。
不思議に思うのは、あんなに忙しく働く勤務医の収入が、夜間診療もしない開業医より少ないという事実。患者の払う診療費は、いったいどこに消えているのだろう。
開業医は自腹で施設を作って、高価な診断装置だってそれほど効率的に運用も出来ないだろうに、どうしてそれでも病院経営よりも潤うのだろう。
聞く所によると開業医や小病院と大病院では、診療報酬が違うらしい。
初診料については先般、2700円で共通になったらしいが、再診料は未だ開業医710円、大病院570円で大病院の方が2割ほど安い。
しかし、それがあれほど格差ある勤務や収入実態を説明しているとは思えない。
1日50人の再診患者を扱ったって7000円しか違わないのだから。
今、厚労省は診療報酬改定を検討しているが、わずかばかりの小手先の改定で現状が改善されるとはとても思えない。
再診料の違いも医師会の意向を汲んで現状維持しそうだし。
開業医と勤務医が同じ職業にならない限り、抜本的な改善にはならないように思うのだが、この二つを決定的に違えているものはいったい何なんだろう。
もう一つ聞く所によると、ロビー活動でよく耳にする自民党支持団体日本医師会は、主に開業医の団体だということ。勤務医の代弁者ではないのだ。
何だかこの構造って、経営者側とそれに対する労働組合、その関係から外され不当に搾取されている非正規雇用者の問題に近いような気がするのは気のせいか。
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