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2008年01月15日11:03

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寒い日々

寒い日々が続く。
日本は今、寒さの底だと天気予報が言っていた。


泉ピン子主演の『女子刑務所』ドラマを見た。
シリーズものの単発ドラマで、毎回泉ピン子はいろいろな殺人罪で受刑者となる。
http://www.tbs.co.jp/jokei3gou/

もう既に10回目を数えるらしいが、毎回これを見るのが半ば習慣化してしまった。
暗く重い内容で、決して楽しみにするようなドラマではないのだが、妙にはまってしまったのだ。

最初にこれを見たのは10年以上前になるのだろう。
仕事もなく、明日をも知れない悶々とした日々の中で、昼間の再放送か何かで何気なく見たのだが、救いのない内容に落ち込んでしまい、見なけりゃ良かったと後悔したものだ。

それが恐いもの見たさが働くように、見逃せなくなってしまった。
みじめな生活の中で、より悲惨な境遇を見ることで慰めにしていたのかもしれない。


ドラマの中で設定はいつも変わるのだが、基本的に主人公泉ピン子の性格は変わらず、善良で真面目な受刑者として、罪の償いの日々を送る中、同じ受刑者たち、時には看守との人間模様が描かれる。

芸能人の慰問のシーンも定番で、実名の歌手がひとくさり泣けるコメントをして、その場にベストフィットな歌を歌う。決してお笑い演芸が慰問に来ることはない。
(こんな所で聴けば、一生忘れられない曲になるだろうなと思ったりする。一円にもならない慰問だが、歌い手は長く歌い続けたいなら刑務所慰問に行くべきだろう。一生涯のファンを作れるからだ。)

たいていこのドラマでは出所後のエピソードまでが描かれるのだが、殺人という取り返しのつかない罪を犯したピン子に決してハッピーエンドはなく、塀の中にあっても外にあっても贖罪の日々が続く、救われない話だ。


解決のない救われない話。それがこのドラマの特徴かもしれない。
サスペンスドラマのように、事件が起きてそれが解決するような起承転結はこのドラマにはない。感動的なシーンはあるが、それで何かしら溜飲が下がるということもなく、重い日々はドラマの終わりの後も続いていくことが暗示されている。
(そういえば受刑者の家族を描いた東野圭吾の『手紙』も、同じような救いのないラストだった。)
人生というのは、まさしくそうした終わりのないドラマであり、そのシンクロがこのドラマの魅力となっているのかもしれない。

寒い日々は、底をつけば春の兆しも訪れるだろう。
だが、人生はシジフォスの苦役のように繰り返される。
変化はあっても解決が存在しないのが「生」というものだ。

それでも何か良い兆しを見たくて明日を迎えるように、このドラマも同じことの繰り返しとわかっていながら、見ずにはいられないのは、そうしたわけなのかもしれない。
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