深夜、私は赤子のように天使の寝顔でスヤスヤ寝ていたそうな。
その時、我が相棒ユッケくんが狂ったようにバタバタ騒ぎ始めた。
「なんだ!?どうしたユッケ!!」
鳥かごの網にでも足を引っ掛けて宙吊りになってるのかと思い、
私は飛び起きた。
ユッケくんは以前、足の爪をスピーカーの穴に引っ掛けて宙吊りになった
前科があるのだ。
明かりを点けるとユッケくんは無事だった。
ユッケくんは澄んだ瞳で私を見つめていた。
まるで私に何かを訴えているような必死な眼差しだった。
「ユッケ・・・まさか・・・」
「ついに起こるのか東海大地震が!!」
時計を見ると午前3時。
日本国内は何も知らずアホ面で寝静まっている時間だ。
私は建物崩壊の際に家から飛んで逃げれるように万が一を考えユッケくんを鳥かごから出した。
ユッケくんが怯えているのでユッケくんお気に入りの曲、ファイナルファンタジーをかけてあげた。
ユッケくんはピーチクパーチク楽しそうに唄い始めた。
東海大地震の発生時刻は刻一刻と迫ってきていた。
「ユッケ・・俺に万が一の事が起こってもお前は振り返らずに生き延びろよ・・・」
肩に乗っけたユッケくんにそう告げるとユッケくんは何も語らず糞をした。
気付くと時計は朝の6時を示していた。
「ギエーッ!!もう仕事行く準備しないと時間に間に合わない!!」
ユッケくんを鳥かごに入れると疾風のように家を飛び出し、私は仕事場に向かった。
地獄・・・。
37歳ご老体、しかも寝不足の体にトラック3台分の廃材を出すのは過酷だった。
「東海大地震・・・俺はバカか?」
仕事を終えるとボロボロの体を引きずり私は我が家へと戻った。
「見せしめじゃあ」
私はユッケくんを前にして焼き鳥を食った。
ユッケくんは怯えた目で私を見ていた・・・。
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