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2006年12月24日16:39

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ナイス・エイジ(再演)

注:以下、ナイロン100℃公演『ナイス・エイジ』の感想を書きます。ネタばれになっている部分もあると思います故、ネタばれがお嫌な場合は読まれない方が宜しいかと存じます。

では、ネタばれOKの方のみいらっしゃいまし〜。

**************
ナイス・エイジ(再演)
世田谷パブリックシアター 
ソワレ

あらすじをざっくり紹介〜。

西暦2000年。ボロアパートに住む、廻(めぐり)一家。廻家は、元々裕福な家庭だったが、長女・想子(新谷真弓)が日航機墜落事故で亡くなり、母・澄代(峯村リエ)はアル中となり、父・時雄(佐藤誓)は、親交があった芸人神田正・・通称カンダタ(坂田聡)に借金を背負わされ、結果、貧乏になり不幸に陥ってしまった。家族の喧嘩も絶えない日々。
そんな中、そのアパートから出て行くように頼みに来た、大家の境井夫妻(池谷のぶえ・原金太郎)。
実は、この境井夫妻は、タイムパトロール隊の一員。
しかも、このボロアパート自体が、タイムマシーンで、風呂の湯加減により、行きたい時代が設定されるというモノだった。

そうとは知らない廻家。父・時雄は、風呂に入ろうとして、タイムマシーンが作動。時雄は、1964年・・自分が高校2年生の頃にタイムトラベルしてしまう。
そこで、時雄は、高校2年生の自分や友人。若手芸人だった頃のカンダタ。そして、亡くなった自分の母親・富佐子(立石涼子)に出会う。

一方、現代の廻家。
長女・春江(長田奈麻)は、タイムマシーンを作動させ、1985年の世界へタイムトラベル。まさに、日航機墜落事故のある日。春江は、まだ、飛行機に乗っていない、姉である想子を何とか助けようとする。

長男・時次(大倉孝二)は、葉子と名乗る女の子(松永玲子)を家に連れてくるが、この女の子は少し言動が妙だ。
実は、この女の子は、移動者と呼ばれる、未来からのタイムトラベラー。
長女・春江の娘であった。
そんな中、時次も1964年にタイムトラベル。

母親の澄代は、幸せだった頃へ戻ろうとタイムトラベルを試みて、お湯の温度の設定を失敗(笑)。2046年の未来へ来て、春江の娘、葉子と出会う。

勝手に色々タイムトラベルをされてしまい困ったタイムパトロール夫妻は、皆を連れ戻そうとする。
時雄を捕まえるも、途中で逃がしてしまい、時雄はさらに過去、1946年にタイムトラベルし、そこで、今まさに、特攻に志願し、出兵しようとする、叔父に出会う。

皆、勝手にタイムトラベルをする現状に嫌気がさしたパトロール隊員の境井・妻は、色んな時代で細かいイタズラをし、結果、捕まりパトロール本部に連行される。この現状を元の状態に戻すには、『レベルB』の発動を・・という本部。
『レベルB』とは、最低限の情報のみを残し、全ての人間の記憶を抹消するコト。

さて、どうなる廻家。春江は無事、想子を救えるのか!
時雄は、未来を変えられるのか?
長男、時次は、何やってんだ!(笑)

こんな感じのお芝居です。

もう少し細かく説明すると、長男・時次は、器用で不器用。ヒーターを改造してエアコンを作ったりするが、そのエアコンは喋りだしたり、絵を描こうとして、高性能ライトを作ってしまったりする(笑)。
時次役の大倉氏。大倉氏はずるいね(笑)。1人で笑いを持って行っちゃうような感じですよ。
動きが変なのかな?

オチを言ってしまえば、廻家は何一つ変えるコトは出来ない。
それどころか、レベルBの発動により、折角カンダタが残してくれた遺産(カンダタは、時雄を連帯保証人として、借金押し付けて逃げるが、1999年に厚底サンダルを作り、大儲けする)も、忘れてしまい、受け取るコトは出来ない。
しかも、レベルBの発動により、家族間の記憶も消えていく。

かなり、苦い後味が残る芝居だったのですね。
初演を見ているはずなのに、「タイムトラベルする」以外の場面は、殆ど覚えていなかった(^_^;)。

ストーリーは、ケラ氏お好みの、時間と空間を入れ子細工にする方式。但し、殆どの場面で、時間の交差はないので、見やすい演出になっています。

時雄が、亡くなった母親に出会う場面が良いです。
1946年当時で、まだ、時雄は生まれていないが、後々自分の母親になる人に「もし、子供が産まれたら、母親の手料理を食べさしてあげてくれ」と言う場面。
時雄はお金持ち(元兵器工場。後に、新幹線の設計で儲けたらしい)だったから、コックの作る料理を食べていたんだな。
母親は「私は料理はからきし出来ないわ。それなら美味しい料理をコックに作ってもらった方が良いわ。」と言う。
時雄は「たとえ不味くても、母親の作る料理は嬉しいものだ。」と答える。

何か・・・切なくなった。

時雄が唯一母親が作ってくれた料理を、母親に言う場面(何か変な表現だが)も好き。
時雄「豆腐を薄く切って、片栗粉つけて揚げたやつ。持集(もず・時雄の友人)の家で食べて、それが貧乏臭くて・・・、凄く美味かった。帰って来て、母親に作ってくれとせがんだ。」
結果出来たモノは、吃驚するほど不味かったが、それでも時雄にとっては、美味い、不味い以前の、本当に嬉しく、美味しい食べ物だった・・と。
母親は、時雄の話を聞き「私もいつか(子供に)作ってあげようかしら。」と言う。
後々、本当に子供に作る、唯一の料理なんだケドね。

この後、母親とダンスを踊る時雄のシーンも好きだったなぁ〜。

思えばこの芝居は、色んな家族の関係性が見える芝居なんだな。
春江(ガンで亡くなってしまうのだが)の娘・葉子は、どうしても母親に会い、過去に自分が母親に酷いコトを言ったので、それを一言謝りたくて、タイムトラベルをするし。

それでも、ケラ氏らしいのは、タイムトラベルをして色々な経験をしても、結果、本来の家庭そのものは大した変化を齎さない・・というところ。
母親と父親は喧嘩するし、やっぱり家族はどこかギクシャクしたままだ。
関係性は、そうそう変わらないというコトか。それとも、未来はそうそう変えられないというコトか。
こんな部分も苦いです。

細かいギャグが結構好き。
タイムトラベラーの罰が『どんどん大きくなる籠に入れられる』だし。どんどん大きくなるだけなので、結果、自由になっちゃうんだケド(^_^;)。
池谷さんは、初演にも出ていたと思いましたが、この役合ってますね。エキセントリックな部分が非常〜に良いです。

あと、タイムトラベラーは7人しかいないのに、コードネームが834という全て同じ番号というのも可笑しい。本部から「834」と呼ばれるが、夫婦そろって834番だから、どちらが呼ばれたのか分からない。
境井妻の「何で皆、同じ番号なの!数字は無限にあるのに!!」という台詞が可笑しい。確かにな(笑)。

ところで、このナイス・エイジ。
今見ても、1985年の風俗って凄かったな。と思いますね。
セーラーズだの、おニャンコだの。
1985年、中学・高校生だった私は懐かしく思い出しました。

ただ、残念だったのは、舞台美術の関係で、私が座った、前の方の席からは、2階部分で演じる演技が見づらかったコト。
この辺りを、もう少し考えて欲しかったかなぁ〜。
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