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2006年12月08日21:00

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アール・デコ・ジュエリー〜宝飾デザインの鬼才シャルル・ジャコーと輝ける時代〜

目黒庭園美術館で開催中の『アール・デコ・ジュエリー〜宝飾デザインの鬼才シャルル・ジャコーと輝ける時代〜』を見てきました。チケットは毎度お馴染み、新聞屋さんからの貰い物。新聞屋さん、いつも有難う〜。

さて、目黒庭園美術館。私が都内美術館でオススメしたい美術館その1です。何をって建物を。
元朝香宮邸(つまり、宮様のお家)のアールデコ建築をそのまま美術館にしております(今は東京都の持ち物)。

無料のギャラリートーク(キュレーターの方が作品について解説してくれる)に参加して知ったのですが、この美術館、日本で唯一、完璧な形で残っているアールデコ建築だそうです。
他にも勿論アールデコ建築はあったのだが、戦後GHQのお偉いさんが
、そういう建物には住むのだが(まぁ、半ば強引に勝手に住んじゃったのだが、戦争の時は、往々にしてそういうコトがあるよね)、その時、ペンキ塗られて建物が傷んじゃったり、宝飾品を持って行かれちゃったりして、完璧な形では残っていないのだと。

で、何でこの建物は残ったかと言えば、時の首相が、ここを使っていたから。流石に、GHQも首相がいる場所には手を出せなかったんだそうだ。
私ゃ知らなかったのだが、吉田茂元首相は、ここで執務をしていたのだそうだ(その執務室は見られるよ)。白洲次郎も来たらしい。

麻生外相の親戚筋の麻生のぶこさん(だと思った、違ってたらスマン)が、吉田茂氏のファーストレディー代わりとして働いていた話とか、面白かったです。
西武鉄道の堤氏が、この建物を勝手に買っちゃって、吉田氏と喧嘩になった時、仲を取り持ったりしたらしいよ。

建物がそのまま残ったおかげで、美しいデザインの照明は見られる、ラリックのガラス扉は見られる、そして、そこでアールデコジュエリーが見られるワケですな。

シャルル・ジャコーという人物をご存知でしょうか?私は知りませんでした(^_^;)。
20世紀初頭に、カルティエのデザイナーとして活躍し、多くのアールデコジュエリーをデザインした人なんだそうです。24歳で抜擢されたんだって。
カルティエは、デザイナーの名前を出さないブランドなので(どのデザイナーが作っても『カルティエが作りました』と会社名で出るというコトらしい)、ブランドに詳しい人でも知らないのかも知れないが・・。

作品展示はこの方の描いたデザイン画と、当時のファッションデザイン版画が主。本物の宝石展示は、30点しかないので、本物の宝石目当てで来館した人は、ちょっと肩透かしを食うかも知れません。逆に、デザインに興味がある人や、当時の文化に興味のある人には非常〜に楽しい展示となっております。

アールデコと比較するため、ルネ・ラリックの、アールヌーヴォーの作品展示もありました。私のお気に入りは、4匹の魚モチーフのブローチ。ライトブルーが美しい一品です。
因みに、ラリックという人は、ガラスで、ハイ・ジュエリー(ダイヤやサファイアなどの高級宝石)にも負けない作品を作ったところが凄いんだそうだ。

アールヌーヴォーの時代だったが、ジャコーはアールヌーヴォーにはいかずに“18世紀の宝飾デザイン”を主流としたそうだ。その為、ルーブル美術館(1909年で、もう開館してるんだな)に通い、絵を見て模写して勉強したそうだ。
ジャコーはかなり熱心な勉強家だったようだよ。
ジャコーデザインのシガレットケースが良い。品があってシンプル。

そういえば、キュレーターさんが、ジャコーと3代目カルティエの写真&肖像画を見せてくれた。
ジャコーは、繊細で神経質そうな感じの男性(ある意味アーティストっぽい)でした。反面3代目カルティエは、岡田眞澄氏みたい(つまりイケメン)だった。どうやら、カルティエはイケメン一族らしい。

19世紀になると、プラチナを宝飾品として使うようになるそうです。・・・って、プラチナって、それまで宝飾品じゃなかったのか!!(@_@。
それまで工業製品の材料だったんだって。し・・・知らなかった・・・。
プラチナは細く伸ばして加工するコトが出来たので、レース状にして使えるのね。ラクロッシュ(会社名よね?)のレース状のプラチナ・ペンダントが見事!!網のような細工なのよ。
ジャコーのデザイン画では、リボン結びのブローチがありました。プラチナとダイヤは青色で表現するそうなのですが、このリボン結び(20cm位)デザイン画は青。プラチナ+ダイヤの20cmのブローチ。ひえぇぇぇ〜。本物はなかったのですが、キュレーターさんが写真を見せてくれた。凄く綺麗だったよ。何で、あんなにアミアミに出来るの??

私のお気に入りプラチナ宝飾品は“バンドー”。バンドーとは、額のところにくるんと巻いて、羽飾りなどを付ける装飾品。昔の映画を見てると出てくるし、高畠華宵の絵などにも描かれています。
ジョルジュ・ブーケ/シャルル・デロジュによるデザインのバンドーは、小さな無数のダイヤと大きなアクアマリンで飾り立てられた豪華なモノ。いくらするんだコレ・・・。

ジャコーデザイン画のバンドーはオニキスなどを使い、派手さはないけど、シンプルで綺麗でした。

他、面白かったのは、帽子留め。当時のパリの女性は、髪の毛を纏めて帽子を被るのがエチケットだったらしいのだが、その帽子を留めるのに使ったピン。
アールデコは、幾何学模様がモチーフとして使用されますが、コレもそんな感じ。楕円や丸や四角を上手く使ったデザイン。
私は、白い輪に黒い小さな丸(フジTVのマークの睫毛がないやつみたい)がついたデザインが気に入りました。
キュレーターさんも言っていたが、コレ、現代でもピンブローチにしたら可愛いと思う。全然デザインが古臭くないの。
ジャコーは、この帽子留めで、色々デザインの実験をしたそうだ(大きいモノで実験すると、沢山の宝石を使うから、いざ失敗した時、大変なコトになるからだそうだ)。

現代もある豹柄。それも、この時代から始まるのね。
しかも、その由来が・・・由来が・・・

ニジンスキーだったとは!!

私、吃驚。ニジンスキーは、男性バレエを変えたと言われる天才バレエダンサー。私、大好き!!というか、耽美屋さんは好きな人が多いはずだ(笑)。バレエ・リュスだな。

彼の演目に『牧神の午後』というのがあるのだが、牛柄の全身タイツのようなモノを着て踊るのね(この絵があったよ。ニジンスキーが、牧神の午後の恰好をして座ってる絵)。
1912年に、ジャコーはシャトレ座で、ニジンスキーの『牧神の午後』を見て、衝撃を受け、動物の毛皮モチーフの宝飾品を作るようになるんだそうだ。
豹柄の指環とか、今のデザインと言っても可笑しくないよ。
浜崎あゆみさんがしてたら、女子高生買うと思う(笑)。

ジャコーは、カルティエのデザイナー。なのに、展示品の中に、プラチナとダイヤを使った小さなスミレのブーケのブローチがあり、何故か製作が“ラクロッシュ”。何故かと思ったら、コレはジャコーが娘さんのプレゼントの為に作ったモノらしいのだが、カルティエで作ると高くつくので、自分でデザインして、ラクロッシュに製作を依頼したんだって。
カルティエって、社員割引はなかったんでしょうか?(^_^;)
それとも割り引いてもらっても高かったのかな?一流ブランドだし・・・。

銀に光る小さいケド、可愛いブローチでした。

他にも、マハラジャの王冠のデザイン画や、金を使った(世界恐慌の時は金が流行ったんだそうだ。不況に金は強いんだな)シガレットケースの本物などもありました。
他には、東洋のモチーフの品など。
(蒔絵をそのまま切り取って、小物入れにしたりしていた)

あ、東洋のモチーフといえば、カルティエの為の年賀カードのデザインは、浮世絵でした。雪の中に傘を斜めにさした着物姿の美女がいる。北斎の絵で似たような絵があったような気がした。

薔薇を幾何学模様にして使ったシガレットケースも綺麗だったな。この薔薇は、華宵も好んで使ったよなぁ〜。

当時のファッションの歴史が分かる、なかなか面白い展示会でした。

ミュージアムショップに、古代ガラスを使ったアクセサリーが売っていたが・・・10万円とか、買えませんがな・・・(^_^;)。
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