■「お金、ちょうだい」コンビニで刃物強盗か 男性店員けが 逃走していた42歳の男を強盗傷害の疑いで逮捕 東京・昭島市
(TBS NEWS DIG - 11月02日 12:16)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=266&from=diary&id=9012351
先日、葉真中顕氏の最新作、「鼓動」(光文社文庫)を、読んだのを、この記事で改めて思い出したよ。
最初に葉真中氏の作品に触れたのは、「ロストケア」だったねえ。
所謂「8050問題」・・・要は、80歳の親を介護する、50歳の独身の子供に代表される問題で、映画化もされたんだが、こっちは尺の都合からか、重要な部分を、幾つもカットしちまい、まるで、「親の介護に苦しむ子供の為に、その親を何十人も殺した、大量殺人犯の介護士」って、間違った印象だけを与えたかも知れん。こいつは、是非、原作を御一読されるのを、どなたにもお奨めするよ。これは、介護に拠る相対的貧困を、詳細に描いた大傑作なんで。
でな、この「鼓動」だよ。
この作品のテーマは、ネットスラングの「無敵の人」。
絞殺されたホームスの老女の死体に、灯油を掛けて燃やしてる真っ最中に、通報に拠り逮捕された、18年引き籠りの40代独身男性の逮捕から、物語は始まる。
逮捕された容疑者の供述から、「自宅で父親を、ナイフで滅多刺しにして殺した」と。
その発言通り、父親の半ば腐乱した遺体が、その家で見付かり、当人は、「親父は、末期ガンで、介護なんてしたく無かった。ホームレスの女は、汚らしくて目障りだから、殺して焼いた」と。
で、物語は、この容疑者が思い出す、その過去と、その事件の真相を捜査する女性刑事(奇しくも同い年だ)の、交互の視点から紡がれる。
共通してるのは、ふたりが経験した、バブル崩壊後の、就職氷河期時代と、その後30年も続いた、「喪われた、実態経済」でなあ。
読み続ける内に、よく判るのは、「本当に、ひとは些細な違いで、就職の機会を喪い、労働意欲を、所謂ブラック企業で喪失し、精神を病み、正社員で優遇されてた、親の年金を頼りに、引き籠るよーに為ったか」だが。
この物語の容疑者は、たまたま、生れ付きの容姿や運動神経が、誰かに劣ってると、思い込んだせいで、生涯童貞。
その一方で、捜査する女性刑事は、同年齢で、結婚→出産→離婚を経験。
離婚の理由は、「自ら産んだ子供を、どーしても愛せねえから」と。故に、親権は別れた元亭主へと。
ブラック企業に限らず、この小説では、喪われた30年の間に、登場した様々な貧困ビジネスが、幾つか紹介されてる。
引き籠りの子供を、親から高額なカネ貰って強制的に、部屋から連れ出し、隔離した場所で、強制労働に従事させ、その上前を刎ねるNPO法人や、前述の殺されたホームレスの老女を生み出す、「返済の手段に、年金手帳を奪い、死者の住民票に名義変更して、以後、当人に成り済まして、年金を受け取り続ける、組織的なヤミ金融」とかだが。
・・・読後、心底痛感させられたのは、「誰でも、少しのボタンの掛け違いから、『無敵の人』に為るんじゃねーか」と。
この容疑者が、「死刑に為りたいので、誰でもいーから殺す」の、心理への変化や、犯行の実態は、この一冊を読んでほしいよ。
・・・ま、この記事に関しては、誰も死なねーで何よりだったけどね。
但し、この手の後先考えねー犯行ってのは、「無差別殺傷と、時に背中併せ」だったりすんでなあ。
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