お隣さんちのKちゃんは男の子で、私より学年が下だった。背も私より小さい。それにすぐに泣き出す泣き虫だった。
今思えば、泣いていた時の顔しか思い出せない。
Kちゃんの側には、いつも短毛で雑種犬のピケがいた。とても大人しい犬で、近所の子供達に揉みくちゃにされようが、吠えることすらしない。忍耐強い犬だった。
昔の人はペットとして犬を飼うというよりは、番犬として玄関に住まわせていた。だが吠えもしない犬なので、ご用達にはならない。それに結構放し飼いにされて、遊んでいる子供達と一緒に居る事が多かった。
Kちゃんが皆と一緒に遊んでいると、ピケもじっとご主人の様子を見つめていた。
ある時、Kちゃんが遊びなのに規則を護らなかった事があり、みんなが「それはダメだよ〜っ!」とKちゃんを叱った。
Kちゃんの顔は、途端に崩れ始め「シクシクッ」と泣き始めて、次第に「ギャ〜ッギャ〜」と大泣きになった。
その時のピケの様子は、ご主人さまの周囲をウロウロしながら、寄り添いながら、なんとか宥めようとしていた。更には共にじっと耐えているようにも見えた。
「そんな事ぐらいで、泣いてはみっともないですよ。ワンッ

」と言っているようにも感じた
ピケはみんなの宝物だった
お風呂にはあまり入れてもらえなかった為か、思い出すと、今でも犬臭い懐かしいピケの匂いが漂ってくるのである。
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