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2026年06月18日12:44

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いまチベットで起きていること

池谷 薫

【いまチベットで起きていること】
中国政府はチベット独自の言語や宗教、文化を制限し、漢民族への統合を図る同化政策を加速度的に進めている。
みなさんはチベットの100万人もの子どもたちが親から切り離され全寮制の学校で強制的に中国語での教育を受けさせられているのをご存知だろうか?
チベット人のアイデンティティーを消滅させ、中国政府の支配に抵抗してきたチベット民族に対する国家の支配を強化するためだ。
中国共産党はチベットのひとつの世代丸ごとを国家の中心的価値観に同化させ、党に忠誠を誓う市民に育てあげようとしている。とんでもない話である。

僕が「ルンタ」で描いた焼身抗議は、こうした無謀な同化政策への激烈な抵抗手段であった。
2013年3月3日、19歳の少女ツェリン・キは草原の町マチュの野菜市場で5リットルのガソリンをかぶり、みずからに火を放った。
その理由は彼女が学ぶ中学校の教科書からチベット語が一掃されたからだった。
焼身する前、ツェリン・キは同級生たちと何度もデモを行い、願いが受け入れないことに絶望していった。
覚悟を決めると遊牧地に帰省し、母親と3日間枕を並べた。
チベット語が読めない母親のために本を3冊買い、朝までおしゃべりをして母親を寝かさなかったという。

幸い、焼身抗議はこの4年間起きていない。
最後に行ったのはシンガーソングライターのツェワン・ノルブ。
驚いたことに25歳の彼はチベットの国民的なアイドルだった。
焼身したのはチベットの象徴・ラサのポタラ宮の前。
その理由は習近平が伝統的なチベット文字の使用を禁じたためだった。
ツェワン・ノルブは日ごろからチベット文字やチベット文化の継承・保護を訴えていた。
彼の代表曲「ツァンパ」は、煎った大麦をバターで練って団子にした伝統的なチベットの主食である。

わかっていただけだだろうか?
中国政府がチベットで行っていることは明らかなジェノサイトである。
民族が生き残るか否か、もう待ったなしの状態なのだ。
と、ここまで書いてきて、かつて日本がアジアの国々に行った蛮行に触れぬわけにはいかないことに気付く。
支配した国の言葉を取り上げ、日本語を話すことを強制し、日本名まで名乗らせた。
日本式の神社までつくって天皇を崇拝させた。
加害の歴史に身を置くことでチベットの苦しみを思わねばなるまい。
チベットの人々の非暴力の抵抗は続いている。
まだ遅くはない。
チベットに自由と平和を!
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