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2026年05月29日13:53

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予定帝王切開にしていればなぁ

個人差の大きい話なんでざっくりいきます。

35歳を過ぎるといきなり妊娠率が下がるし、流産率が上がる。
「確率」の話なので100%ではないけどね。
だから、自分の人生に「子供」を考えている場合には
よほどの事情がない限り35歳より前のほうが自分の体が楽だと思う。
筋力が保たれてるからいきみも上手だし、陣痛が数日続いても耐える体力あるし、
自然分娩でも帝王切開でも、傷の治りがいいし、
お産のあとの子宮回復もたいてい順調。

その次は35歳から40歳までの期間。
妊娠率はじわじわ下降、流産率はじわじわ上昇するけど、
(流産率はおおよそ30%から40%)
結婚年齢が遅くなった日本では、この年代の「おかあさん」が多いかもしれない。
30代前半とはくらべものにならないが、まだ体力気力あり。
職場にいれば「一番活躍する働き盛り」の年代だものね。
がんばれちゃう。
でもがんばりすぎて退院後に体力低下によるトラブル(産後うつとか)は増えるけどね。

40歳すぎると妊娠率はともかく流産率は一気に50〜70%に跳ね上がる。
排卵はしても卵巣の卵子が「受精能力が低い」ものが増えてくるので
人工授精をかけても妊娠しにくいし、
体外受精で取り出した卵子に精子を振りかけても卵子に入っていかない、
入っていっても細胞分裂がうまくいかない。
精子をとっつかまえて卵子に押し込む「顕微授精」をやっても
つまりは卵子のほうの受け入れが問題なんで、受精卵になりにくい。
20個採卵して1個も受精卵とれないとか、患者に話したら自殺しそうな状況とかね。
ただ、卵子全部がダメになってるわけじゃないので、
妊娠したい熱意とそれにかける時間とお金(重要!)があれば、
あきらめないで治療したほうがいい。

45歳すぎたらほぼ「絶望的」だから。
不妊治療成功率は0.1%以下。
それなら45歳になる前にがんばったほうがいいよね。
あきらめたときが不妊治療が終わるときです。

この記事の人は今47歳。
自然妊娠じゃないと思う。体外受精がうまくいったのかな。
場合によっては若い女性の卵子をもらったかもしれない。
…卵子さえ若ければ少なくても妊娠まではいける可能性が高いからね。

ただし、妊娠したあとが大変。
47歳ってどう考えても27歳とか37歳より年取ってるでしょ。
それを言うなら45歳とも違うよ。体力とか回復力とかね。
妊娠できても妊娠している状態に体が耐えきれないことがある。
もともと骨が細い人は妊娠で体重増加して骨に負担かかるし、
赤ん坊にカルシウム吸われて骨薄くなるし、妊娠が原因で骨折したりするよ。
股関節の炎症がひどくて歩けなくなって、妊婦検診に車いすで来たりとか。
高血圧気味になる人も多いし、腎機能は確実に悪化する。

赤ん坊を外に出しても大丈夫!な時期までうまく妊娠継続できたら
「帝王切開」分娩を選択するのがいいと思う。
45歳すぎて流産も早産も妊娠合併症で倒れることもなく
「分娩可能週数」まで行ったんだからラッキー!
それ以上を望むとバチが当たるというもんだ。

…で、当たっちゃったわけだな。

陣痛来ても弱い、なかなか規則的な強い陣痛にならない。
陣痛促進剤をかけても効果が弱かったりいきなり過強になったり。
しかも子宮口が堅くてなかなか開かない。赤ん坊がひっかかって心拍落ちる。
分娩経過が長いと赤ん坊の体力も消費されて、落ちた心拍が戻らなくなる。
母体もここまで妊娠継続するのに十分に体力の貯金を使ってしまっているので、
陣痛の「痛み」だけでもかなり弱って食事がとれなくなったりもする。
47歳ならこのあと妊娠できない可能性のほうが高いんだから、
安全にいきましょ、帝王切開でぱぱっと赤ちゃん出してご面会しましょ。
…って思うんだけどね。

産む人のほうがね。
「このあと妊娠できないんなら今じゃないと陣痛経験できない」
とか言い出すんだよね。
この人もそうだったんじゃないかなー。
そうでもないと、47歳に自然分娩させないと思うわ。
案の定、最悪分娩経過ランキングトップ5位以内に入る「陣痛中脳出血」。
手術(帝王切開と脳外科手術)間に合って赤ちゃん、母子ともに生き延びたけどさ。
「これでよかったの?」みたいな悲惨な状況だよね。

「妊娠分娩は命がけ」ってのは「みんな違う」からなんだよなー。
医学がいくら進歩したってお産経過は医学的なもんじゃないからさ。
「@@さんがうまくいったから自分もその方法で」っていうわけないんだよ。
はっきりしてるのは「年齢が高くなればそれだけ危険が増える」こと。
…まあ20代の脳出血で脳死になった妊婦も見たけどさ。
でもどう考えても40歳すぎたら20代よりあちこち内臓壊れてきてるでしょ。
負担かけたくない、妊娠だけでも負担だから
せめて「一番の体力イベント」である分娩は負担かけないで行いたい。
…って産婦人科医は思う。

人工呼吸器を長期装着して声帯が傷ついて声がでないのは、そのうち治る。。
でも、麻痺した片手は動かない。
リハビリで多少の改善はあっても、おそらく一生、不自由なまんま。
今はまだあんまり歩いてないはずだけど、
歩き始めたら足の麻痺もはっきりしてくると思う。
排尿、排便もコントロールできるまでしばらくかかる。

赤ちゃんが歩き始めてもかあちゃんは車いす、
赤ん坊のおむつがとれてもかあちゃんのおむつは続くだろうね。

この人もたぶんわかってるだろうけどあえて書く。
妊娠は「目的」じゃない、分娩は「ゴール」じゃない。
無事な妊娠経過のあと母子とも無事に分娩終了して、
そのあとで赤ん坊のいる生活が始まる。
赤ん坊の人生がそこからやっと始まるときに、
一番のキーパーソンであるかあちゃんがしゃんとしていてほしいのよ。

前回帝王切開の人が「次の妊娠は陣痛を経験したい」とか言うけど、
そんなの経験しなくていいじゃん、無事にお産して赤ちゃんと暮らせたらいいじゃん。
陣痛なんかそんな特別なものじゃない。

夜明けの富士山山頂からご来光を拝んで「いい経験だった!」とか
そんなもんとは絶対に違うんだよ。
富士山は山頂より上には登れないが、人生は分娩後も続くんだよ。

「なんで最初から予定帝王切開にしなかったのよ」ってタメイキ出るが、
もしかしてものすごく経過順調だったのかな。
医者のほうで「でも帝王切開のほうが安全」って言えないくらいに?

ワシの患者さんでね。30代前半の人だったけど。
2週間ごとの妊婦検診で、前回まで順調な経過だったのに、
その次の検診時(34週かな)に異常な高血圧あって緊急入院、
帝王切開で手術室入室、そのタイミングで脳出血おこした。
陣痛きてなかったんだけどね。
…つまり高血圧になったらあとはいつ脳出血起こすかわかんないってことだよね。
もう手術台に乗ってて麻酔科もいたから超高速で赤ん坊出して
入れ替わりで脳外科に開頭してもらったけどね。
赤ん坊はもちろん助かったし、確か1か月くらいで母親も退院したはず。
…まあ一応、普通のおうち生活はできる状態ね。
実際には大変だったと思うけど。

いきなりくるんだよな…

危険を承知の上で、っていう言い方するけど、
患者は「まさか自分がこうなるなんて」って絶対に思うんだよ。
宝くじ買うときは一番いい状態、「7億あたった!」をつい思い受かべるのと同じ。
ワシらは患者がこうなったら最悪ってのをいつも考えてる。
「最悪」でさえなかったらどうにかなるからさ。
その意味では、母子とも命があるんだから「最低の最悪」ではないんだけどさ。


女性ボーカリスト、出産めぐる後遺症で半身まひ「赤ちゃんのお世話も出来ない毎日」
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=8&from=diary&id=8805074
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