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2026年05月26日15:45

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遠い山なみの光

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 ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロが自身の出生地・長崎を舞台に執筆した長編小説デビュー作を映画化したヒューマンミステリー。日本・イギリス・ポーランドの3カ国合作による国際共同製作で、「ある男」の石川慶監督がメガホンをとり、広瀬すずが主演を務めた。

1980年代、イギリス。日本人の母とイギリス人の父の間に生まれロンドンで暮らすニキは、大学を中退し作家を目指している。ある日、彼女は執筆のため、異父姉が亡くなって以来疎遠になっていた実家を訪れる。そこでは夫と長女を亡くした母・悦子が、思い出の詰まった家にひとり暮らしていた。かつて長崎で原爆を経験した悦子は戦後イギリスに渡ったが、ニキは母の過去について聞いたことがない。悦子はニキと数日間を一緒に過ごすなかで、近頃よく見るという夢の内容を語りはじめる。それは悦子が1950年代の長崎で知り合った佐知子という女性と、その幼い娘の夢だった。

1950年代の長崎に暮らす主人公・悦子を広瀬すず、悦子が出会った謎多き女性・佐知子を二階堂ふみ、1980年代のイギリスで暮らす悦子を吉田羊、悦子の夫で傷痍軍人の二郎を松下洸平、二郎の父でかつて悦子が働いていた学校の校長である緒方を三浦友和が演じた。2025年・第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品。(映画.comより)







<2025年9月7日 劇場鑑賞>

 カズオ・イシグロは好きです。と言っても原作を読んだことはなく、いつも映画ですけど。一番はやはり「わたしを離さないで」。この映画を見たときは衝撃でした。「こんなこと、絶対に許せない。いくらお金があっても、これは許されていいことではない」とかなり憤ったのを覚えています。しかし、その頃は、気が付けば「アイランド」とか、似たような話がいくつも映画化されていたのでした。イシグロ氏には、若い頃見た”格調高い古典劇”のイメージを持っていたので、余計にショックだったのかもしれません。



 そしてこの映画です。冒頭は、ハーフの女性ニキがイギリスに住む母悦子(吉田羊)を訪ねる場面から始まります。作家志望の彼女は、激動の戦時中を生き抜いた母の物語を本にしようと考えていて、母の話を聞きに来たのです。そして、母の回顧が始まります。



 若い頃、原爆で家族を失った悦子は、ある篤志家に世話になり、彼の息子と結婚して一女をもうけていました。しかし、何らかの理由で離婚し(だったと思う。死別ではなかったと思う)、新たにイギリス人と結婚したのを機に、娘を連れてイギリスに移住します。しかし、娘は外国になじめず深く悩んでしまいます。ニキは、この後生まれた次女ということになります。



 今回、母の悦子がニキに語って聞かせるのは、長女を身ごもっていた、日本に住んでいたころの話。近所にははっきりした顔立ちの美人、佐知子(二階堂ふみ)とその娘がいました。華やかな佐知子と友人になった悦子ですが、なかなかに付き合いの難しい人だった、そしてその娘もちょっと放任されていた、みたいな話でした。



 でもその話って、ちょっと待って・・・。みたいな展開になります。







<ここからネタバレ>

 結局、友人の話としてさんざん聞かされたそれは、母自身のことだったのではないのか。そして、母はひょっとしてそれを後悔しているのではないのか・・・そんな感じで終わります。誰も明確に語らないので、結局なぜイギリス人と知り合ったのか、佐知子は本当に存在したのか、義父の教育信条と息子や時代背景とのズレが結局何だったというのか、わからないことは結構そのままでした。これをヒューマン・ミステリーと呼ぶのかどうかは、私個人的には微妙かな、と思いました。世の中には、自分のことを「友達の話なんやけどな」といって、さも他人の話のように語る人は、たくさんいます。なので、ラスト近くで「それは母自身の話ではないのか」と娘ニキが気が付いても、「それがどうしたんよ」くらいに思ってしまい、あんまり衝撃を受けなかったのです。ひょっとして、原作を読めばもっと理解できるのかもしれません。もっと難解なのかもしれませんが。



 登場していた女性たちはみな美しく華やかで(みんな、裕福だったのでしょうね。だからあんなに華やかだったのかな)、目には美しい古典劇でした。一度イシグロ氏の本、何でもいいからトライするべきですね。よし、するぞ!
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