「パリ タクシー」という映画の焼き直しだそうだが、
自分にとってこの映画は
「ハウルの動く城」の実写版
以外のなにものでもない。
戦争が終わり、ふたりだけでお城で暮らし始めたハウルとソフィーが
お互いの「これまであったこと」を語り合い、
顔を見合わせて「そういうことがあったから今ふたりでいるんだね」って笑い合う。
‥みたいな後日談を描いた感じ。
倍賞千恵子は声が本当にきれいだなぁ。
年とった女性によくある「がらがら声」にならないのね。
警察に一時停止違反で止められて「すぐ入院して再手術なの」と嘘をついたあと、
にっこりわらって「わたし、女優になれるわね」と言う、そのかわいらしさ。
(画面に向かって「あんた女優じゃん」と小声で突っ込んでしまった)(笑
木村拓哉も「ハウル」のときはまだ一本調子の棒読みセリフで、
「そこがキムタクらしさ」と思っていたが、その後いろいろ学んだようだ。
表情も豊かになったしセリフもその場に合わせて雰囲気出せるし。
「あんたも大人になったねぇ」と声をかけてあげたい。
ストーリー自体は単純。
「身寄りのない金持ちのばーさん(85歳)が葉山のホームに入るときに
個人タクシーを呼び、よくしてくれた運転手に遺言で財産を譲る」という
「物語としてはよくあるけど現実にはない」系。
(銀行小切手、1億円だったよね?)
葛飾柴又帝釈天から葉山まで「東京を見納め」するために
あちこち回り道、寄り道しながらばーさんは人生について語る。
戦争で父親を失ったところから始まるのだが、なんと盛りだくさん、
普通の女性では経験できない方面までの多彩さ。
このばーさんならそういうこともあったろうな、と思わせる底力を感じる語り。
老人ホームに到着したときそれが崩れる。
「さっきの、横浜のホテルに一晩でいいから泊まりたい」とだだをこねる。
「だめです」とはねつけるキムタク。
タクシーは客を安全に行き先に送り届ける商売。
お客さんはお年寄りで心臓に持病あって、今すぐにでも何があるかわからない。
ダメ出しされたばーさんは素直にタクシーを降りて、とぼとぼとホームに入る。
キムタクはその後このことを死ぬほど後悔するんだが、
ばーさんのほうでは「これがあったから尚更好き」になったのではないかな。
ある程度の年齢になり財産と社会的な地位もあれば、何を言っても通る。
通ることが多い。
これからホームに入ればそうはいかない、集団生活のルールがある。
そのあたり、きちんと分別しないと、と当たり前のことを言ってくれたから。
最初に頼まれたタクシー運転手(明石家さんま声だけ出演)が
ぎっくり腰になって急に譲られた仕事だったが、
そのこともふくめて、この二人は出会うべき運命だったと思う。
映画の最後は、ばーさんが最初の恋人とダンスホールで踊るシーン。
(ばーさんの若いころを演じるのは蒼井優)
自分は、できたらダンス相手をキムタクにしてこのセリフを言わせたいと思った。
「探したよ」
もちろんソフィーとハウルが再会したシーンのハウルのセリフだ。
運命の二人が巡り会えたときのお決まりのセリフ。
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