ひゃくとおばん、警察密着映像
先日、金曜の昼11時半。オンライン会議の真っ最中に、末尾「0110」から着信が来た。
——警察相談ダイヤルと同じ番号。
しかも市外局番が西日本のもの。
緊急性が高いのかと思い、仕方なく電話に出た。
「徳島県警の○○です。いま、お時間よろしいでしょうか」
50代ほどの、やたら歯切れの悪い声。
そして突然こう言う。
「相川孝という資金洗浄グループの主犯が逮捕され、
家宅捜索で“石渡名義の楽天キャッシュカード”が見つかりました」
ここで私は思わず「100人分も事情聴取してるんですか、大変ですね」などと気を遣ってしまう自分がいた。
しかし次の瞬間、空気が一変した。
「石渡さんがグループの一員である可能性もあります。
いまから事情を聞くので、第三者に聞こえない場所を確保してください」
いやいや、私は会議中だ。
15時にかけ直してくれと伝えると、あっさり電話は切れた。
会議の合間に番号を検索すると、周辺の番号はたしかに徳島県警に近い。
——本物に見せかけるための巧妙な偽装。
15時半。今度は「警視庁捜査二課」を名乗る男から着信。
「向こう(徳島県警)の心証を悪くしないように」
「誰かと相談する素振りは罪を認めたとみなす」
——ドラマみたいな口調で畳みかけてくる。
続いてLINEへの切り替えを要求された。
警察手帳らしき画像も送られてくる。
フォントも配置も“それらしく”作り込まれている。
40代半ばの刑事風のおじさんが画面に現れ、淡々とこう告げる。
「相川はあなたの写真を指さし、名前まで言い当てています。
あなたの口座を40万円で買ったとも供述しています。
6000万円の資金移動があり、10%の手数料を渡していた、と」
知らん。相川なんて1ミリも心当たりがない。
とにかく落ち着きたくて「コーヒーを入れてきます」と席を外すと
「画面の外で怪しい行動はしないように。グループと口裏を合わせていると見なします」
と監視じみた物言い。背筋が冷えた。
そして極めつけはこれだ。
「検事に掛け合い、あなたの口座を18ヶ月凍結します。
資金調査のため、これからお伝えする口座へいまから振り込んでください」
——ようやく目が覚めた。
これは、完全に詐欺だ。
その後もしばらく「捜査ごっこ」を楽しませていただいたが、最後は「振り込むのか、振り込まないのか!」と怒鳴られ、
「絶対に払いません!」と言って電話を切った。
後で調べたところ、
・電話番号と氏名が一致するのは名簿が出回っている
・“できそうな相手”だけ上役に引き継がれる
・0110も偽装可能
——とのことだった。
あまりにも巧妙だから、騙される人が出るのも当然だと思う。
でも最後の「振り込め」で気づけたのは、これまで警察が広報してきた詐欺対策のおかげでもある。
みなさん、本当にお気をつけください。
少しでも「変だな」と思ったら、自分で最寄りの警察署に確認の電話を入れること。
被害を防ぐいちばんの方法です。
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