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2025年08月14日23:42

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天文学 推定太陽質量の360億倍のブラックホールの発見の経緯 

8月14日(木)

 今回のテーマは天文学である。科学の力によって、宇宙への理解が大きく進んだ。最新情報として、50億光年先で発見された推定太陽質量の360億倍に達するブラックホールの新発見について紹介する。

 目次
・第1章  太陽質量の推定360億倍のブラックホールを発見する
・第2章  遠方宇宙の観測から、天の川銀河の未来を占う
・番外編 引用文の紹介 光度と質量の関係式 
  

 第1章 太陽質量の推定360億倍のブラックホールを発見する

 詳細記事 写真出展先 WIRED 2025年8月13日付 太陽の360億倍の質量! 史上最大級の超巨大ブラックホールが発見される
https://wired.jp/article/discovery-of-ultramassive-black-hole-in-cosmic-horseshoe/

広大無辺の言葉がふさわしい宇宙は、常に謎を秘めている。このたび、途方もない大きさのブラックホールの発見は、ネット上でもトップ記事になった。新たに巨大質量ブラックホールの存在を明らかにしたのは、ブラジルのリオグランデ・ド・スル大学と英ポーツマス大学に所属する研究者による合同チームである。地球から約50億光年離れた「コズミック・ホースシュー」と呼ばれる銀河の中心に居座る超巨大質量ブラックホールの質量は、太陽の360億倍と解き明かしたのである。赤方偏移(z)は0,44。

 赤方偏移とは、遠方からの電磁波の波長が長い方にずれて観測される現象である。つまり遠ざかる速度を意味する。赤方偏移の値が大きければ大きい程、遠ざかる速度も速い。つまり宇宙の膨張を示すパラメーターでもある。

 研究チームは、夜空に暗くて一つの点のように映るはずの銀河から中心のブラックホールの質量を解き明かすうえで、「重力レンズ現象」を利用した。アインシュタインの一般相対性理論によると、重力によって空間が曲げられる。光を含む電磁波は、曲がった空間に沿って進む。つまり重力源が巨大であればあるほど、影響も大きくなる。

 重力レンズ現象により、光源となる天体付近に、「Radial arc」が出現する。さらに背後に存在する銀河が放つ光が、巨大重力源によってゆがめられ、特殊な像として浮かび上がった。相対性理論の産みの親にちなみ「アインシュタインリング」とも呼ぶ。W=mgの式の通り、重力は、物体の大きさに比例する。質量m[kg]の物体にはたらく重力は、重力加速度g[m/s2]で表す。比例定数は 重力加速度g である。

 写真=推定太陽質量の360億倍のブラックホールが見つかった母銀河の写真 出展先はトップの参考記事より
フォト

 像の歪み方を調べることにより、巨大重力源の質量を推定する。なお、ブラックホールの周囲をめぐる星の運動の測定も、遠い銀河の場合難しい。幸いにも銀河中心の星の密集地帯バルジと呼ばれる部分は、明るく、質量の推定は可能である。数多くの観測事例から、バルジの大きさとぶラックホールは、おおよそ比例関係にある。

 ただし正確にブラックホールの質量をはじき出すには、望遠鏡を使っての星の動きを測定することに限る。今回使用するのは、2つの望遠鏡である。一つは、赤外線に特化したヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTである。もう一つは、可視光線から近赤外線をカバーするハッブル宇宙望遠鏡だった。VLTは、チリの雲の奥を見通せる赤外線の波長で星の動きを計測する。一方でハッブル宇宙望遠鏡は、より波長が短い可視光線で、Radical arcを分析する。異なる波長で観測する2つの望遠鏡から得られたデーターを突き合わせて、確認作業を行う。記録された情報から、物理法則を駆使して、ブラックホールの重さを導き出す。

目に見えないブラックホールの情報を知る手がかりは、周囲を取り巻く星である。

 地球からみて、遠方であるほど、個別の星の運動を計ることは難しい。星の集合体である「球状星団」や「散開星団」を用いて、分散速度を出す。ニュートンの万有引力の法則 G=Fr2/Mm に基づくと、2物体間の距離に働く引力は、距離の2乗に反比例する。つまり、2天体の距離が近づくほど重力作用が大きくなる。遠心力と重力がつりあうことから、ブラックホールとの距離が近づくほど、星の分散速度は上がっていく。推定速度は、秒速400kmとはじき出した。

 詳細 天の川銀河中心のいて座aスターの質量推定。『 天 文 教 育 』 誌
ブ ラ ッ ク ホ ー ル の重さ 2: 超 巨 大 ブ ラ ッ ク ホ ー ル
福 江 純 ( 大 阪 教 育 大 学 )ページ5より
https://quasar.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/~fukue/POPULAR/05wyp3_BH2.pdf


以下のページに書かれた式で遠心力と重力が釣り合っていることを表している。

JSEX 一般社団法人 宇宙エレベーター協会 1.前提知識より
https://www.jsea.jp/about-se/what-is-spaceelevator-01.html

Fc(遠心力)=r分のmv2乗 =G r2乗分のmM=Fg(引力)

(m;衛星の質量、v:衛星の速度、r:地球の中心からの距離、
  G:万有引力定数6.673×10-11、M:地球の質量)

 例えば、地球の周回軌道を回る人工衛星は、地球の引力Fgと遠心力Fcが釣り合っている。



バルジ内で周回運動する星の分散速度から算定されたブラックホールの大きさは推定太陽質量の360億倍に達した。同様の手法で算定したブラックホールの中では、最大規模になる。なお観測史上最大値とされるブラックホールは、太陽質量の618億倍、クエーサーの明るさから質量を求めていた。

 過去の観測事例から、銀河中心のバルジとブラックホールの大きさは比例関係になる。今回測定したコズミック・ホースシューの中に存在する推定太陽質量の360億倍のブラックホールと、母銀河の関係には当てはまらない。母銀河の大きさの割には、ブラックホールが極端に重いのである。

 研究チームによると、もう一つわかった事実がある。2つの銀河同士が合わさる「化石銀河群」と呼ばれるタイプだと明らかにした。2つの銀河が接近し、ブラックホール同士が合体して、巨大化したとみられる。まさに「眠れぬ巨人」の名にふさわしい存在だった。

      第2章 遠方宇宙の観測から、天の川銀河の未来を占う。

 50億光年離れた領域「コズミック・ホースシュー」を観測した結果、地球を宿す太陽系が属する天の川銀河の運命も考察できる。現在230万光年離れたアンドロメダ銀河とは、時速40万キロで接近している。外部からの作用が働かない限り、互いの重力により、ますます距離は詰まっていく。45億年から50億年後には、2つの渦巻銀河が合体して、一つのレンズ状銀河になると予測されている。天の川銀河中心のいて座Aスターの質量は推定太陽の400万倍、対してアンドロメダ銀河中心のブラックホールの質量は1億倍と桁違いに大きい。アンドロメダ銀河中心のブラックホールに、いて座Aスターは完全に取り込まれることになる。2つの銀河が混ざることにより、大きな変化が生まれる。ガス雲が濃縮して、新たに星を作る可能性が高い。我々人は、確実に歳をとり、やがては寿命を迎える。単独の星も人と同じ運命だった。星の集合体銀河スケールで物を見ると、年老いても、他の銀河と衝突合体をすることで、若返る機会があった。星が活発に生成されるスターバースト状態になっても、材料に限りがあり、落ち着きを取り戻す。2つの渦巻銀河から一つの楕円銀河になると、再び歳を重ねていく。やがて、星と共に寿命を迎える。

 写真=おとめ座の方向に6000万光年先のバタフライ銀河 掲載元 CNN.co.jp 2022年8月12日16時付け より https://www.cnn.co.jp/fringe/35191806.html
フォト

 天文学者は、天の川銀河とアンドロメダ銀河が合わさり、新たに「ミルコメダ」と呼ばれる銀河になる過程を、遠方宇宙の観測結果から予測している。

 おとめざの方向に6000万光年先に、今まさに衝突している2つの銀河の姿が浮かび上がった。カタログ名「NGC4567」と「NGC4568」である。2つの天体をあわせて、蝶に似た形から「バタフライ銀河」と呼ぶ。互いの銀河中心同士までの距離は2万光年である。それぞれの銀河の縁の部分に存在する年老いた星から成る「球状星団」が、真っ先に影響を受ける。重力の相互作用により、それぞれの星がばらばらに散っていく。球状星団の解体から始まり、徐々に中心部の星も軌道が不安定になる。5億年後には、ほぼ完成した楕円銀河になるとみられている。

 今回コズミック・ホースシューのブラックホールの質量の算定に際して、天文学において新たな観測手法を確立した。推定50億光年も離れていれば、周囲の星の動きからブラックホールの質量を探りだすことは出来なかった。重力レンズ現象により、増光されたことで、星の動きが見えてきたのである。従来の技術では、ブラックホールが吐き出したガス雲により一つの光点にみえる「クエーサー」が頼りだった。明るいクエーサー程、強いエネルギー源を持つことが、間接的に証明されていた。クエーサーの絶対光度から、ブラックホールの質量を求めていたのである。

ブラックホールは、その名の通り黒い穴で、光を発することはない。周囲を取り巻く星の動きから、存在を割り出していた。いかにブラックホールは、銀河の成長と星の誕生にかかわっているのか、一つ一つ謎を紐解くことで、人類誕生までの道筋が明らかになる。天文学は、まさに万物の起源に探る究極の学問だった。

 写真=いて座からケンタウルス座の天の川 2022年6月2日 撮影地南半球のオーストラリアのバランディーン ツインスターゲストハウス より 出展先:天体写真ギャラリー ID 82907  https://www.astroarts.co.jp/photo-gallery/photo/82907
フォト

  番外編 引用文の紹介  光度と質量の関係式 




 続いて 光度と質量の関係式を、天文学辞典から引用する。

以下 天文学辞典 質量-光度関係(星の)引用

https://astro-dic.jp/mass-luminosity-relation/#:~:text=%E6%98%9F%E3%81%AE%E8%B3%AA%E9%87%8F%E3%81%A8%E5%85%89%E5%BA%A6,%E3%80%81%CE%BA%20%E3%81%AF%E4%B8%8D%E9%80%8F%E6%98%8E%E5%BA%A6%EF%BC%89%E3%80%82

星の内部で発生したエネルギーが放射によって運ばれる場合には、光度L、質量M の間の関係は大ざっぱには L∝μ4M3/κ となる(μ はガスの平均分子量、κ は不透明度)。不透明度が電子散乱で支配される高温の領域ではκ が定数となるため、大質量星の光度は質量の3乗にほぼ比例する。ただし、光の放射圧が効いてくるほど大質量の星では、質量への依存は緩やかになる。 一方、不透明度がクラマース型となる中小質量星では質量依存性が強くなり、光度は質量の約5乗に比例する

                              <引用終わり>

 以下 クライマースの不透明度 引用
https://astro-dic.jp/kramers-opacity/

 高温で水素とヘリウムが完全電離した状態の気体における不透明度の近似法。不透明度は 、水素とヘリウムの束縛-自由遷移によって数万度で極大をとり、より高温側では温度の上昇につれて減少する。この近似ではこれが温度の-3.5乗に比例し、密度に比例する形として与えられる。

            <引用終わり>


詳しい式が書かれたページ 「第一部 ー2− 宇宙の科学」 表面温度と評者エネルギーより https://www.s-yamaga.jp/nanimono/uchu/kousei-4.htm#%E8%B3%AA%E9%87%8F%E5%85%89%E5%BA%A6


 


過去の宇宙関連日記

・2025年2月6日付 素粒子物理論からZARDの坂井泉水の行き先を考察 ブラックホールやダークマターについて
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1989353995&owner_id=32437106

・2024年10月5日付 2022年10月29日(土)国立天文台三鷹キャンパス 一般公開レポート 超新星爆発 天文学者との会話 ブラックホール撮影、地球外惑星から植物を探すプロジェクト 最新2024年10月1日から3日大規模フレアが発生 
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1988535013&owner_id=32437106

・2021年5月26日付 スーパームーンと皆既月食が重なる 天体招介 さそり座AR星 星団Westerlund2  5月26日付コロナ情報
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1979355428&owner_id=32437106

・2019年10月5日付 10月初旬の天文ニュース!銀河を形作る宇宙網を発見!地球外生命体に迫る
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1973206425&owner_id=32437106

“太陽の360億倍”の質量、超巨大ブラックホール 国際チームが発見 その大きさは「過去最大級」
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=32&from=diary&id=8433061

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