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2025年08月01日14:39

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ゆきてかへらぬ

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京都。

まだ芽の出ない女優、長谷川泰子は、まだ学生だった中原中也と出逢った。20歳の泰子と17歳の中也。どこか虚勢を張るふたりは、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。価値観は違う。けれども、相手を尊重できる気っ風のよさが共通していた。

東京。

泰子と中也が引っ越した家を、小林秀雄がふいに訪れる。中也の詩人としての才能を誰よりも知る男。そして、中也も批評の達人である小林に一目置かれることを誇りに思っていた。男たちの仲睦まじい様子を目の当たりにして、泰子は複雑な気持ちになる。才気あふれるクリエイターたちにどこか置いてけぼりにされたようなさみしさ。

しかし、泰子と出逢ってしまった小林もまた彼女の魅力に気づく。本物を求める評論家は新進女優にも本物を見出した。そうして、複雑でシンプルな関係がはじまる。重ならないベクトル、刹那のすれ違い。ひとりの女が、ふたりの男に愛されること。それはアーティストたちの青春でもあった。(映画公式ウェブサイトより)





<2025年3月9日 劇場鑑賞>

 この映画は、多少の脚色はあっても、基本は実話なんでしょうね。とても濃密な映画でした。なにか、凡人ではない才能を持ち合わせた人たち独特の世界・・・そんな感じがしました。たとえば、中原中也はお金持ちのお坊ちゃま(だと思うよ。学生なのにお金の心配もなく自由気ままなんだもの)、それだけに繊細で自我が強く、感性が鋭いため、どこか人とは違う雰囲気を纏っています。そこへ現れたのが、女優の卵、長谷川康子です。彼女もまた”不思議ちゃん”で、どこかミステリアスだけれども壊れそうで、そして自由です。17歳だった中也は年上の女性(康子20歳)に虚勢を張り、お金に困ってるだろう彼女を住まわせることにします。もちろん、お互い惹かれるものを持っていたからですけどね。この辺から、もう独特の雰囲気で、例えば凡人の私なら「住まわせてもらってるから、ご飯はちゃんと作らなきゃ」とか、少し媚びるような態度になってゆくと思うのです。でも、康子はさにあらず。常に自由で自分の色を崩さない。もちろん、中也もそこに惹かれたのでしょうが、危ういながらもバランスの取れた、お互いがお互いのインスピレーションとして存在しうるカップルとして、成り立っていたように思います。もちろん、凡人の私から見れば”とても危うかった”のですが。

 やがて二人は何かを成し遂げるべく、東京へと出て行きます。ここで中也は大学を辞めたようです。転校したのかな。お金のあるお坊ちゃまは気ままでいいですね。生活の心配なんてしたことないのでしょうね。私との根本的な違いはそこです(笑)。

 そしてここで康子は、自らも才能ある文芸評論家であり、また、中也の詩人としての才能をいち早く見抜き評価していた小林秀雄と出会うのです。時として感情を爆発させながらも才能ある詩人と、知的な大人との間で、不思議ちゃん康子は揺れ動きます。中也と住んでいたはずの康子はしかし、最終的には秀雄と結婚することになります。でも、やはりそれは順風満帆ではなく・・・。

 書いてしまえばなんてことのない話に見えますが、なかなかどうして。見ごたえのある映画に仕上がってました。広瀬すずちゃん、いつからこんなにしっとりした大人の女性に?最初、誰かわからなかったです。この映画はすずちゃんのおかげで独特の陰を帯びたと言っても過言ではないと思います。でもね、私から言わせれば、こんな不思議ちゃん、たぶん誰と住んでもうまくいかないんです。この映画では、3人の関係と葛藤にのみ焦点を当てていますが、実際この後康子は子供をもうけたり、結婚・離婚を繰り返したりしたようです。

 しかし、きれいな映画でした。男性陣も女性も美しい。あんな才能ある人々の世界って、自分は知らないから、ちょっと憧れます。もちろん、凡人の私は”不思議ちゃん”にも激しく憧れます。次はあんな風に生まれたい。複数の男性を翻弄できるかな(笑)。


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